プロローグという名のエピローグ
こんにちは、初投稿です。
ホラー映画を見ていて思い付いた作品です。
ほんのちょっぴりでも誰かの目に止まれば嬉しく存じます。
「死刑を開始する」
立たせられた絞首台の上には、黒髪ボブのうら若き女性が立っている。
彼女は20歳の短期大学生。
見た目は何処にでもいそうで、人の良さそうな微笑みを浮かべる女性。
例えば…どんなに仕事を押し付けても、仕方ないなの一言で終わらせるようなお人好しにしか見えない女性だ。
そんな彼女はこれから死刑執行されるというのに、今日のお昼ご飯はなんだろうというような目付きをしていた。
彼女が犯した罪…
それは大量殺人。ペストマスクを被り、多くの人々をたった1本のナイフで殺していった彼女の殺害総数はゆうに35は超える。
ーーお前は何故これだけの人を殺した?
お前の動機はなんだ?
そんな警察の取り調べでも、彼女はいつものように人の良さそうな笑みを浮かべて言った。
ーー無関係でしたから。
ーー無関係?
ーーはい。偶然すれ違ったから、少し腹が立ったから、なんとなく、つまらないから、殺しました。
ーーお前…どういう神経してやがる…
ーーむしろ、関係がある人間を殺そうとする人の気持ちが分かりません。関係がある人間を殺せば、情が湧いて、殺した時に悲しくなるじゃないですか。自分が犯人だっていう足取りだって掴まれてしまいますしね。
ーー…そういうお前の最後の殺人は、短大の同級生全員じゃねーか。
ーーそろそろ足が着きそうだと思ったので、最後は派手にバラそうと思いまして。日本の警察は優秀ですから…ほら、知り合いを殺したらこうやって捕まったでしょう?
ーー!!
ずっと彼女を追っていた警官は息を呑む。
取調室で彼女は微笑みながら涙を流していたのだ。
ーーあぁ…やはり、友達を殺すのは悲しいですね。辛くて、苦しくて…お兄さん、私をずっと追っかけてくれていた貴方にだけお願いをします。私を死刑にしてください。
ーー……言われずとも、そうなるだろう。
ーーそれは良かった…私は友達に罪を償わなければなりませんから。
ーー他に殺した人々には償わねーのか?
ーーそれは無いですね、無関係ですから。
彼らの運が悪かっただけです。
「さようなら、世界」
3人の執行官が目の前のボタンを同時に押す。
彼女の体が落下した。
プロローグという名のエピローグ…
今後、亀よりも遅い投稿になると思いますが、よろしくお願いします。