赤き砂漠の惑星2・・始まりと真実
多サイトにも重複投稿作品です また赤き砂漠の惑星の続編です
ここは・・少し前までは・・
赤い砂漠の広がる不毛の大地だった・・
砂漠の場所により 砂金や白い砂とのグラデーションがあったり 水晶の丘もあったり
石油が湧く黒い水たまりの池もあったが・・
以前は文明もあったらしいが 今は見る影もない
・・海の代わりに大きな湖が幾つかあったが
それも枯渇して・・サボテンから取れる
僅かな水や地下水から補給して・・何とかしのいでいたが
・・怪物たちや水を必要しない生き物たちを除き
水を必要とする人々や動物たちが絶滅するは もう時間の問題・・
そんな時 救世主達が現れた・・
・・・天空の船・・
宇宙から 魔法の様な科学の発達した天空人達が訪れ
この惑星を変えようとした
連邦と呼ばれる組織・・科学が発達して 宇宙を旅する船が造れる
複数の幾つもの星達の者達・・だから 姿は様々だった・・
多くいた天空人(宇宙人)は元は水の中で暮していた者達・・・
地上での生活も可能で エラや鱗のある者も
水の惑星の出身者達・・
幾つもの水の塔・・水を空中にある成分から水を生み出して
流れる川を作る塔・・地下水にも流す・・
大きな湖を復活させる・・
・・失ったものの・・まだ幾つもの食糧になる種は沢山残っていたから
ドームを作り その中で育てる・・
砂漠には中継地点に 人工のオアシスを幾つも作る
ドームの中は緑の楽園になる・・
彼らの住まう快適な生活の場も・・
・・天空人と同じ様に・・
・・・天空人達の要求は 外交とこの惑星で取れる・・
住民たちには 殆ど必要のない 貴重なレア・メタルの数々・・金や銀・・石油
しかも この星以外は2つの惑星にしかない 貴重なレア・メタルが幾つも
豊富に地下に眠っている・・2つの惑星でも あまり数は産出出来ないという・・
連邦と呼ばれる組織の他に
レア・メタルや金などを欲しさに
情報を知り民間の商人の者達も多くやって来た・・
連邦が秩序を護ったので 彼らは略奪などせずに 連邦を通して
商売として 貴重な鉱物資源を 高値で買ってゆく・・
代価は 技術力の知識や機械の数々・・食料品・・布・・水・・
家畜・・そして連邦の代価は惑星の大改造
・・豊かになるはずだった・・世界が代わり
幸せな黄金の時代が訪れようとした
・・だが・・邪魔が入った・・
連邦が戦争で崩壊して・・
更に・・磁気嵐がこの星を覆う・・数百年以上も・・
磁気嵐の中では 天空船は 飛べない・・
ほとんどの天空人達が去った・・
・・中には逃げ遅れた者・・
・・使命感やこの星の住人と結ばれ愛の為に・・残った者達・・
・・・水の塔が何とか 彼らを救い・・
また時間は逆戻り・・・
・・残った者達の子孫や伝説だけが残る・・
ここでは入手できない 数々の物が多かった・・
・・・・水の塔のお蔭で どうにか生き残ったものの・・
・・時間とともに・・多くの水の塔が壊れ・・
・・どうにか故障したりしたものの
動いてる水の塔や水の塔が創り出す地下水脈に加え本来の地下水のお蔭で
人々は生き延びた・・
・・磁気嵐・・星でも 砂嵐が多く起こり
人々を困らせた・・・残された砂の惑星の人々は・・こう呼んだ・・
・・・悪魔の砂の魔人と・・
・・・そして数百年後・・
・・再び連邦は蘇り・・数百年続いた磁気嵐が治まり・・
一隻の宇宙船・・・天空の船が惑星に降り立ち・・
その天空船に一人の少年が近づき 伝えられた古い言葉で話しかけた
少年の名はファリ・・・
ファリの部族は ほぼ正しい知識を受け継ぎ 彼らが還って来るのを信じて待っていた
そしてファリの部族には天空人の子孫が多くいた
ファリ 彼の祖母と妹は種族は違うが 天空人そのもの姿をしていた
ファリの部族が最初に扉を開く事となり 訪れた天空人達を護る事となる・・
・・・数々の困難・・何時の間にか根付いた・・水の神への生贄の儀式などのせいで
他部族が やって来た天空人達が浚われたり・・
・・水の塔の修復に訪れるが・・怪物たちに襲われたり・・
・・再び磁気嵐が襲い・・
数年・・天空の船が行き来き出来なくなったりしたが
そんな困難を乗り越え・・湖や幾つかのドームを創り・・
・・・ドームの中で黄金の小麦の畑や数々の作物が実る・・
・・・交流も深まり・・多くの者が教育を受け・・世界も進歩を始めた
・・そんな中で・・砂の海の中から・・大昔の天空の船・・
壊れた宇宙船が見つかる・・・
・・・そして・・驚くべき事実が明らかになる・・
当時は まだ10代の少年・・・剣も銃器の扱いも上手く狩人として働いていた者・・
浅黒い肌に・・鋭い鷹のような青い瞳・・黒髪の少年・・
・・・祖母と妹は天空人と同じ容姿・・
・・父は部族の長・・
・・生贄を捜す為に襲って来た他の部族に母を殺された・・・
名は・・ファリ・・
初めて・・再来した宇宙船・・・天空の船を見つけ・・
代々伝えらえた・・天空人の言葉で語りかけた・・
・・・その船の中にいた少年・・レーヴ
惑星に緑を再生したり新たな作物を創り出し・・
惑星を豊かにする為に乗りこんでいた天才的な科学者で
同じ年頃のおっちょこちょいでドジで明るい少年レーヴに出会い・・
彼らを助け・・自分の部族の者達と引き合わせた者・・・
生贄にされそうになった彼ら天空人の仲間と
儀式の最中に同じ年頃の少年ナギ・ナジュアリを助け・・
古い慣習に囚われた者達・・他の部族たちを変えて・・仲間に加え・・
水の塔の一つを化け物達と戦い・・水の塔を蘇らせ・・水門を開き・・
湖に・・水路を蘇らせた・・砂漠の中に人工のオアシスも他数作った
初めて・・留学生としてナギと共に天空人達の連邦の本拠地・・水の豊かな惑星に行き
その後・・磁気嵐を鎮める手伝いも・・
惑星は水の塔や大きな湖・・幾つかのドームで沢山の作物を作り 街も創り
・・・レアメタルや鉱石などで・豊かになり・・急速に進化してゆく・・
暮しが厳しい砂漠に住む者はいなくなり 砂魚やレアメタルなどの鉱石採掘で
ドームから外に出る者達などいても 快適なドームの中に家がある それが普通となる
家畜も全て 快適なドームの中で放牧される
部族としての集まりは 同じ近くの場所でそれぞれ住む事で補われている
彼らファリ達が成長して・・それから・・・
青年となった二人は砂の海から発見された・・大昔の宇宙船・・
天空の船の調査の為に
砂の海を渡る・・小さな小型艇に乗りこみ会話をしていた・・
「ファリ・・お前さあ・・もう三年前にお前の妻で 僕の妹のエルが死んで
一人身だろう・・一人とはいえ小さな子供レムを育てるのも一人では大変だし・・
・・・そりや・・お前の祖母たちも世話を手伝ってるが・・・
知ってるよ・・ナギ・ナジュアリが好きなのは・・付き合ってるのも・・
そろそろ・・な・・死んだエルも喜ぶと思うし」
「・・・いつ気がついた?・・リーヴ・・」
赤くなり・・藪睨みがちに・・ファリと呼ばれた青年が
相手の青年・・レーヴを見る・・・
「・・ふふ・・一年前」
「・・・まさか・・両性体とは思わなかった・・
中性的な容姿で別世界の精霊のように綺麗と思っていたが・・」
「どこまで・・いった?・・ふふっ」
「それ・・聞くのか?・・レーヴ・・」
嫌そうな顔をするファリ
「それはぜひ!!!!ふふっ」
「・・・三度・・一夜を共にした・・文句あるか・・・」
赤くなって言うファリ・・
「決まりだな!それは責任は取らないと・・ふふっ
・・・頑張れよ・・もう一人くらい子供がいてもいいぞおお
僕は ファリの可愛い妹リリーシュと運命で結ばれ・・
もう三人も子供がいる・・ふふ」
「・・・・・・・」何も言わずにジト目で見るファリ
「おっ!見えて来たぞ あれが例の大昔の宇宙船か」レーヴ
「かなり大きな天空船・・宇宙船だな」ファリ
機械を操作して 外側から 天空船(宇宙船)に
近くに来た者達に危害を加える
トラップがないか あるいは 壊れて崩れそうな箇所を確かめる
「ふむ・・トラップはなし・・部分的に壊れそうな場所は2か所のみ
大きな穴が一か所か・・船のクルーの死体はない・・欠片もない
・・・壊れたアンドロイド(人工機械人間)が数体
中に入っても問題はなさそうだ」ファリ
「じゃあ 行くかい? ファリ」レーヴ
「ああ レーヴ 行くか 船の中のデータが残っているといいけどな」
にっと笑うファリ
砂漠・・砂の海の中 船の近くで 砂魚達が砂の海の中を飛んだり跳ねたりしている
「大軍だな・・仕事前だが 少し狩るか
仕事が終わる頃には砂魚達は移動してるだろう」ファリ
「サマク(砂魚)は焼いても 天ぷらにしても美味しいし
乾燥させて 茶のつまみにもいいな うふふ
僕 お酒駄目だし 頑張ってね ファリ」レーヴ
「まかせろ!狩人だ・・酒に付け込んでも上手いぞ ふふ
20分で済ませる 待ってろ!レーヴ」
その言葉通り 20分で大量の砂魚を狩るファリ
「よし! 砂魚はもう俺達の小型艇に積んだし 待たせたな行くか」
「うん 今晩のご飯が楽しみ 有難うファリ うふふ」
「なんのこれぐらい 得意技だから じゃあ入るか」
「あ!ファリ 生体センサーの検査を忘れてたぞ!」
「んっ そういえば・・」
「万が一 地中に住む怪物どもが入り込んでたら
大変だぞ ファリ」
「そうだな・・小動物程度なら いいんだが
レーザーの剣に銃も用意するか」
「強いもんなファリは・・昔 何度も剣や銃で助けてもらった」
「お互い様だ レーヴ
俺は襲って来る他部族達や怪物たちと戦ってたから
狩人としても戦士としても強くならなくては いけなかった
それに 俺は長の跡取り・・と言っても 今は部族自体が無くなり
血の繋がりの1つのグループになったけど」
「でも次の長・・グループの家長だね
それもこの惑星で一番強い権力を今は持ってる」
「まあな 最初に天空人と出会い 一番の恩恵を受けたのと
協力しあって この惑星を変えたから・・
政治の表舞台に一番多いのは 俺の部族の若者や戦士だった女性達
・・にしても このレーザーの剣は軽くて使いやすい
スイッチ一つで剣の刃が出て 敵を倒す
レーザーだから 剣の刃は空気みたいに軽い」
嬉しそうに手に取り レーザーの刃を出して 軽く振るう
「様になってる さすがファリ・・うふふ
あ・・生体センサーの結果が出た・・と・・あ!」
「どうした?レーヴ」
そう言って 生体センサーの結果の画面を覗きこむファリ
「・・・二〇匹以上の害のない小動物だが
一匹 大型の怪物 これはテンテリアだな・・人の倍の大きさで
動きが素早く血を吸い 肉を食らう・・・
大丈夫だ 油断しなければ 馴れてる 倒せる」
「うん 任せたよファリ 専門家・・戦士の君に任せた」
にっこりと笑うレーヴ
「お任せあれレーヴ ふふ まず こいつの駆除かな
じゃあ始めるか」ファリ
中に侵入する レーヴが内部の機械をいじり
空調設備とライトを復旧させた
「明るいな 空調設備が生きてて良かった」
「そうだねファリ 砂の中に生息する小動物達は光に弱いから 逃げ回ってる
壊れた大きな穴から外に逃げてるのもいる・・・あ・・」
「・・人の血と肉が好物だから もう嗅ぎつけてきたか テンテリア」
レーザー剣を握り にやりと笑うファリ
「その壁の後ろにレーヴ」
「了解 ファリ」
襲い掛かってきたテンテリアの攻撃を素早く避けて
最初の一撃を加える
腕を切り落とされ 悲鳴を上げるがテンテリアは
再び脅い掛かってくる
素早く攻撃を避けるファリ
「こいつの動きは 遅いな・・ん 腹が膨れてる
小動物どもを食べ過ぎて 動きがトロくなってるのか・・ふふん」
軽々とジャンプして 上からテンテリアを斬り倒すファリ
「お見事 ファリ」
「ん・・まあな・・あ!屈めレーヴ
後ろにもう一匹いる!!」
「でええええ!!」慌てて 真後ろのテンテリアの姿を見て
言われた通り 屈むレーヴ
銃の玉を他数打ち込み よろめいたテンテリアの身体を
ファリは走り込んで来て 再びレーザー剣で斬り裂く
ドオン!大きな音をたて 斬り裂かれたテンテリアの身体が倒れ落ちる
「・・・ふう・・なんで見逃したんだろう?」
レーザー剣を振り 血の雫を振り払うファリ
「た・・多分 センターの届かない壊れた壁の中にいたか ついさっき
入り込んだんじゃ無いかな 動きが早いから・・有難うファリ 助かった」
「どういたしましてレーヴ
そうだな・・生体センサーをONにして
ブザーが鳴る様にセットしておこう 壁の中の場合 まだ入る可能性もあるし
また侵入してくる可能性もある」
「そうだねファリ・・あ・・腰抜けた・・」
「じゃあ メインコンピュータ・ルーム
この船の全ての操作とデータ・アーカイブのある部屋
心臓部に行こうか?大丈夫かレーヴ」
手差し伸べて レーヴの身体を引っ張り起こす
「・・歩けるか? 抱えてもいいぞ
荷物はリュックの中だから レーザ剣と銃は腰のベルト それにレーヴは細見だから
・・・敵が近くに来たら 速攻一時降ろすが・・」
「だ・・大丈夫 ちょっとふらつくけど・・
力持ちさんだな ファリ」少し震える声で言うレーヴ
「まあね・・大量の荷物を持つのも狩人の仕事の一つ
食用になる大型怪物と砂魚達を抱えて 数十キロ先の俺の部族の村まで
帰るのはザラだったから・・
大抵 運搬と俺の足代わりのデアンカ(いわゆるラクダ・一部身体が機械化されてる)が
その倒した怪物に食われたから」
「大変だったね・・あ!おい!大丈夫だってファリ!!」
動きが遅くフラフラと歩くレーヴをさっと抱え上げる・・お姫様抱っこ・・
「いいから 大人しく抱っこされてろ
まだフラフラしてるから」
「・・・ん 御免ねファリ」
「いえいえ 大した事ないから・・ふふ」
軽く微笑むファリ
砂まみれの道を歩くファリ達
「・・・メイン・コンピュータルームのドアが半開きのままだ・・」
「うん ファリ」
「入るぞ ・・ん 丁度 指令席が幾つかある
そこから操作も可能か そこに降ろすよレーヴ」
「有難うファリ」微笑むレーヴ
「いいから ふふ 困った時はお互い様だ
メインの機械の方はお任せするぞ
俺はサブに廻る」そう言って隣の席に座る
すぐ傍に生体センサーの装置も置くファリ
「うん 任せてね」レーヴは馴れた仕草で操作ボタンや
コマンドを操作する
「よし!生き返った ほぼデータは無事だよファリ!!」
「さすが 幾つも博士号を持ってる天才だなレーヴ」
「えへへ まあねえん うふふ
さて どこから始めるか・・船長の個人日記が残ってる
画像も・・あ!!」
「・・この日記の画像 船長はレーヴ達や俺の祖母アリアと同じ種の天空人だが
幾つかの一緒に写ってる 男は髪型は違うが 俺の親父に瓜り二つだ!
そっくり・・あ・・この子供 多分 この男の子供は・・」
「少年だった頃のファリを幼くしたら・・この姿だよね
そっくり・・・先祖かも・・」
「・・・・日記の中のデータに名前がある
間違いない 俺の先祖の名だ・・・ファリアス
最初に伝承と言葉や子守り歌を伝えた者の一人
伝承の中にも 残ってる・・
天空人の一人と大親友だったが
何かの理由で 大喧嘩をして別れたと・・
悲しかったが 仕方ないと・・もしかして喧嘩したのは彼か?
その後 水の惑星の天空人の娘
取り残された両親から生まれた娘と先祖は結ばれ
子孫を残した・・
二人目の妻だ 最初の妻は早く死んだ 怪物に襲われて
子供の長男はその子 最初の妻との子
二番目の妻 天空人の娘エリュシュとは 二人出来た
他にも 俺の部族の者達が多く 天空人達と結ばれた・・」
レーヴが 自分の荷物の中から 手持ちの小さなPCを取り出して
傍に置き 操作している
「・・この船長 崩壊した連邦の一員だよファリ
今 僕らの方に残ってる記録とも照合が一致した
しかもリーダーの一人だ・・」
「・・取り残された組か 志願しての残った方かな?」
自分のPCと船の日記を確認 照合するレーヴ
「・・・取り残され組だね でも ギリギリまで粘ったから
志願組とも言えるかも・・」
「・・・俺の先祖のファリアスと大喧嘩した理由は何だろうか?」ファリ
「・・・それもわかったよファリ・・この人 大変な事を仕出かした・・・
惑星の原住民・・本来の民なら 少量の水で生き延びる事は可能だけど
天空人・・彼らの多くは水の豊かな惑星から来た者達が多い・・
つまり大量の水を必要としてる・・・」
「・・磁気嵐が数百年続く事も
やがて水の塔がダメージを受け修理が出来ない事も予測した
水の為に・・いや この惑星の本来の民を護るために・・」
「・・・何をしたレーヴ? この船の天空人・・船長は?」
「・・・・空想の水の神を創り出して 水の神への生贄の儀式を始めて 広めた
色んな事もその為に間違った伝承も作り 広めた
生贄用に水の惑星の住人・・天空人を捧げよと・・
わざと水の惑星の天空人を抹殺を計った
・・・そして 子孫も水を大量に必要とするだろうからと
・・そう考えて!」
「な・・なんだと・・本当なのかレーヴ
水の神の生贄の儀式で この数百年 どれだけの犠牲が出たと思う・・」
「俺の母も ナギの兄と姉も犠牲になった・・
妹リリーシュも祖母アリアも何度も浚われかけた
俺の部族は数百年 天空人の子孫が多かったから
ずっと狙われ 他部族の襲撃を受け続けた」
「俺達と同じ考えや天空人の交わった子孫を
多く抱えて護ってる部族たち以外・・
・・中には子孫が多くいて
儀式の為の売り買いの対象にしてる部族も多かった
ナギ・ナジュアリの部族もだ・・高値で買うから
それでも欲張り 浚う事も厭わない
襲撃する多くの他部族だった・・そちらが優勢で数が多い
襲撃で俺の母は浚われた 生贄にされた・・美しかったという理由で・・
姿は俺と同じだったのに・・
どこの部族かわからずに助けに行けなかった
幼かった俺の目の前で浚われた・・
まだあの時の母の悲鳴と泣いてる姿は覚えてる」
「彼奴らは母に生贄にする前に乱暴したかも知れない
生贄は綺麗な身体である必要はないから・・
そしてナギ本人も危うく 儀式で死ぬ寸前だったんだぞ
・・・ナギ・ナジュアリから最近になり聞いた
鞭打たれたり殴られただけでなく暴行をうけたと・・
複数の者達に長い間 犯されたと・・
姉や兄もだ!!
姿は水の惑星の民そのもの 彼らも美しかったと言う
まだ幼かったから弟や妹は性被害には遭わずに済んだ
それにナギ達が庇ったんだ・・
せめて妹や弟達の前で乱暴しないでくれと頼み
姉たちと共にナギは別の小屋で・・」
「・・初めての夜 ナギの震えが酷く怯えていたから
途中で止めようとしたが
ナギが続けて欲しいと言った・・
すぐにわかったよ 始めてじゃない事も 誰かに乱暴された事も
・・俺もエルという妻がいたし 乱暴されたなら
治安のいい水の惑星の可能性は少ない
選ばれた大事な留学生の一人だ・・俺と同じ・・
恐らく・・彼奴らが・・儀式前というのも予想してたが・・
前に助けた生贄にされそうになった娘を助けたが・・複数に乱暴されたと言ってた」
「まさか 長期間 しかも姉や兄達と共に乱暴されるとは・・可哀そうに
兄や姉が生贄になり 死んだら ナギ・ナジュアリ一人が・・・
彼らを相手にしなくてはいけなかった
妹のアファイアや弟のウインダム達を護る為にも・・・
ナギは泣きながら俺に許してと言ったが
俺は謝る必要はない ナギは被害者だ 悪いのは奴らだと言って
俺は口下手だが 優しく出来る限り慰めたつもりだ・・・」
「多分 浚われた母も複数に乱暴されただろうと言ったら・・
ナギが今度は俺を慰めてくれた・・
ナギ・ナジュアリは綺麗で賢くて楽器の才だけでなく
・・とても優しいから」
「俺の妹リーシュ・・お前の妻は水の惑星の民 そのものの姿・・
だが、さほど水は必要じゃない
適応したんだ! それに俺達の本来の民の血もあるから
ナギの兄や姉も水の惑星の民の姿だったというが・・恐らく適応して
さほど必要とはしなかったはずだ!
ナギ・ナジュアリの場合 姿はほぼ俺達に近い姿だが とても綺麗で
瞳が天空人と同じ美しい青紫の虹彩のある瞳・・
水の惑星の民の一つ・・古代の天空人の瞳と
手の少し鱗に耳元近くに目立たないエラがあるだけで・・生贄に選ばれた!」
「・・ナギ・ナジュアリの名前の一つは 兄から譲り受けた・・
兄の名がナジュアリだ・・
本来は一つだけだった ナギは兄の一部となり
その名ナジュアリは亡骸がない兄の墓標でもある・・」
蒼白になり 怒りに満ちた震える声でファリが言う
冷静な顔で 静かな声でレーヴは話しだす
だが瞳に涙が浮かんでいる
「・・落ち着いてファリ・・確かに犠牲は大きかった
ファリの家族も先祖達も ナギも 大きな犠牲を支払わされた・・
他のファリ達と同じ立場の部族たちも・・数百年間ずっとだ
・・ナギの事 初めて聞いた
生贄の儀式と酷い扱いの為に悪夢にうなされて
心のカウンセリングや薬の事はエルから聞いてたけど・・ナギにされた事
姉や兄がいて 犠牲になったのは 初めて聞いたよファリ
・・・当然だよね 恋人のファリにやっと最近になって打ち明けた
僕も とても悲しいよ 僕にとっても大事な大好きな親友だよ・・
知らない事にするから・・」
「生贄の儀式の内容も変化して 美しい者達も対象になった
・・・でも もう二度と生贄の儀式は起こらない
多分 喧嘩したのは ファリの先祖がそれを止めようとしたから
ファリの先祖は 正しい伝承を伝え・・
多分 血が交わる事で
子孫が適応出来ると考えた・・それに恋をしたから
あ・・ほら 喧嘩の会話の記録もある
そう書かれてる・・彼・・船長はそう考えなかったけど・・
船長は 本来の原住民を護りたかった
当時の連邦の規約の一つでもある・・友好を結んだ惑星の原住民を護る事
・・大事な記録だよ ファリ・・
とにかく 日記を見よう・・それから この船のデータも併せて
僕らの小型艇と僕のPCに移すからね・・」
「・・・わかったレーヴ 有難う 俺が口留めを頼む前に
自分から 話さないと言った 感謝するよ」
まだ青い顔で 震え 涙が浮かんだ顔でファリが言う
「・・だが正直 耐えられないかも知れない」
「当然だよファリ・・被害者だもの・・大事なナギ・ナジュアリも
辛くなったら 僕が作業をするよ 僕も辛くないと言えば嘘になるけど
科学者だから・・この担当は僕だもの なんなら 席を外すかい?
君の役目はサポートと僕を護る事 もう十分に果たした
生体センサーの方に集中すればいい
仕事が済んで帰れば
皆の暖かい笑顔と食事が待ってる 大事なナギ・ナジュアリも待ってる・・」
レーヴ
レーヴはそっとファリの背中を撫でる
「・・・まだ耐えられる・・まだ・・
それに此奴の儀式を始めた理由や経緯とやらを ぜひ知りたい!
俺の先祖ファリアスの話も・・・」震える手を握りしめるファリ
「・・・じゃあ 最初の日記のページから始めるね・・」
彼の名前はクリストファル・エセルファリス
出生はレーヴ達と同じ・・やはり同じ種族だった
なかなかの美丈夫 まだ34才の若さ
最初の日記には この惑星に着任して 大きな仕事・・惑星の大改造
最初に水の塔の三つを造った事・・惑星改造の仕事の数々
百個以上の人工のオアシス
来訪した民間の商人達との話し合い・・彼らにとても深く注意してる
取引の鉱物資源やレア・メタルを 暴利を貪り 安く買い叩かない事
住人達に決して危害を加えぬ事・・
規定を反した者 住人の娘達に乱暴した者達などを取り締まり
牢獄の惑星に送った事など・・
無法者の一団がこの惑星を襲う寸前で 惑星に浮かぶ小さな月の一つに
隠れていた彼らを捕らえた事など・・
・・・この惑星の赤い砂の風景に見せられて
沢山の映像や写真を取ってる
グラデーションを描く白と金と赤の砂漠
水晶の丘
・・この惑星の砂漠の絵も描き・・他数の作品を作ってる・・
生憎・・絵は現存してないが 記録の映像が残されてる・・
本人はアマチュア画家であまり上手くないと言ってるが
なかなか上手で素晴しい作品だった
ファリの先祖ファリアスに出逢い 友情が生まれ
どのように過ごしたかが 記録されていた
ファリの先祖達に自分達の言語や子守歌などを教えた事も・・
ファリの先祖達も 現地で判らない事や警戒心の強く偏屈な他部族に
天空人の彼や部下達が襲われたり 浚われそうになった時
すでに浚われた民間の商人達の救出も手伝ってる・・
あまり 普段は 重い責務もあり 感情を表に出さない人物だが
彼は ファリの先祖に友人達 自分の家族の話となると
途端に 無邪気な子供の様に嬉しそうに話をしている
・・・他にも多数の友達も多い・・部下にはかなり厳しかったようだ
とても家族想いで
残してきた幼い息子との会話もやメールのやり取りも残ってる
妻に早く死なれ 両親が息子を育てる
・・この惑星の原住民の美しい娘ライアと恋に落ち 娘は彼の子を宿したが
生憎 事故で死んでしまった
ファリの先祖のファリアスがどんなに優しく慰めてくれたかと詳細に記録してる
先祖の幼い子も彼を慰めている
・・恋人のライアはファリの先祖ファリアスの従妹だった
映像が他数 残ってる
「・・・母のニアヌによく似てる・・そっくりだ」ファリ
「ファリのお母さんって 本当に綺麗な人だっただね」レーヴ
「・・うん とても綺麗だ・・」
「この映像データ ファリの御父さんや僕の妻 ・・君の妹
お祖母様に見せたら喜びかな?
・・・本当は規律に違反だけど・・欲しいファリ?」
「頼む レーヴ」嬉しそうな笑顔を見せるファリ
「了解 僕のPCからコピーするね・・小型艇だとバレる可能性があるから」
「悪いな・・」
「ふふん なんの 大事な親友で 僕の義理の兄のファリの為だもん
僕の愛する妻・・君の妹リーシュや家族達の為にもね・・
さっきも怪獣じゃない・・猛獣から護ってもらったから」
互いに微笑み合う
そんな様子にホッとするレーヴ
見せて良かった・・一時どうなるかと・・
まさかファリのお母さんのそっくりの映像が見つかるなんて・・
本当に綺麗な人 女優とかモデルにもなれる・・
可哀そうにファリの言う通り 多分 間違いなく複数に乱暴されただろう・・
そして 最後は生贄に・・・彼らは非道な事を平気でやってた
人さらいも人身売買も当たり前だった 統一された政府なんてない
無秩序でそれぞれの部族が 生きる為に必死だった 水の取り合いで戦いも多かった
・・僕らがファリに出会うまで・・・
ファリも沢山戦いとかで多く人を殺したと言っていた・・
まだ・・当時は僕と同じ 十代の子供だったのに・・
でも 日記は 今は和やかなムードで 惑星改造も順調な状態の日記だけど
この先には 絶望の未来の日記の話が待ってる・・
大喧嘩の話も・・・ふう
・・そして 穏やかで 個人的な事柄には楽しげだった日記は磁気嵐の予兆で
クリストファルが不安を覚え 更に連邦崩壊により 星間戦争が始まる
深い悲しみと嘆き・・・帰還命令が下るが すでに始まっていた磁気嵐が・・
騒動でそれどころでない
・・・やがて 本格的に磁気嵐が始まり 更なる大騒動なった
必死に指揮をして 連邦の者達や民間の船の逃出をサポートする
惑星の民達を磁気嵐のせいで 嵐が多数起こり それらも救助する
気がつけば 逃れるつもりだったが 逃げ遅れ 機会を失う・・
もう二度と 息子にも両親にも 自分の故郷の惑星にも帰れない
友達にも逢えない 連絡すら取れない・・
嘆き 絶望・・・慰める ファリの先祖ファリアス・・彼の大事な友・・
慰め合う 彼と残った彼の部下達
長い時間の果て・・
クリストファルは連邦の一員として 取り残された者達・・望んで此処に留まった者達と
ファリの先祖達とともに 出来る限りの事を始める 水の塔の維持
人工オアシスは手入れも出来ずに 間もなく大嵐の為に全て消え去る・・
物資に食糧等の確保・・・一年はまだ ある意味平安だった・・
ファリの先祖と水の惑星の娘との結婚も祝福してる・・だが
水不足と労苦から 不治の病にかかり 心もやがて狂ってゆく・・
部下達も同じく事故や病で次々と死んでゆく
三年後には部下達は全て死に絶える 現地の者達と結ばれた子供らを残して・・
連邦の者は彼クリストファル一人のみ
ゆえに生き延びた全て天空人達は苦情や相談事を持ちかける
多くの悩みは 水不足・・多くの水を必要とする水の惑星の者達・・その数 数千人・・
水の惑星以外の者達にも 設備が壊れた今 体力は限界に近い・・こちらも数千人・・・
天空人の彼らへの割り当てを増やせば 本来の砂の惑星の民達が苦しむ・・
大人なら多少の水不足にも 耐えられても赤子や幼い子供には無理な話・・
・・ファリの先祖達は 彼を助け
更なる水の塔の建設もしたが・・
材料の一番大切な 空中から水を創り出す装置の材料が一部足りない
惑星外の材料・・・
しかも水の塔も嵐で壊れる事もしばしば
材料が足らず 直せず多くが放棄される・・
この時点ですでに半分近くの水の塔が崩壊した・・
・・ついに原住民たちも水不足から病となり
赤子や子供を中心に死者も続出し始めた・・
クリストファルの命も余命幾ばくもない・・・
彼クリストファルは最高の妙案を思いつく・・最悪の妙案・・・
大喧嘩の原因・・
水の神への生贄の儀式・・
最初の犠牲者は
水の惑星出身の民間船の商人の一人と原住民との間に
出来た二人の娘にその妻・・
次々と浚われて殺される・・
連邦の者としてのコンピューターの情報
そして苦情の訴えで居所は熟知してる・・
この砂の惑星に来た当初と違い別人のような 不気味な笑顔で
どれだけの者達を殺したか 笑って話をするクリストファルの映像の日記の記録がある
「・・・ここから始まったな」ファリが呟く
「・・ファリ・・」心配そうな顔をするレーヴ
「・・まだ大丈夫だ・・ここからが要だ・・
俺の先祖との大喧嘩もまだ・・」ファリ
半年で数百人が犠牲となり さすがにファリの先祖達も気がつく
最初は 病の彼を心配して 話はさけて独自で調査をするものの
わかった事は 他部族たちが 誰かに先導され
水の惑星の民達を 生贄として殺してる事
最初は水の惑星の者達だったが
天空人全てがターゲットにすり替わっていた
出来る限り 呼びかけて水の惑星の者達をはじめ天空人を
匿い保護する
仲が良く 共に惑星改造を手伝った他部族達も協力する
・・やがて多くの天空人達が彼らと結ばれてゆく・・
子孫が生まれてゆく・・・
・・それでも多くの天空人達が浚われて殺されてゆく
その子達も犠牲者は絶えない・・
・・・五百人以上の犠牲者が出る
とうとう業を煮やして 情報を持ってるクリストファルに話をする
見舞いの時に・・
ずっと前から彼の世話をしようとしていたが
クリストファルは機械で出来た人工生命体アンドロイドに世話をさせてるから
不要と断った・・
彼は さあ・・?と とぼけるだけで情報もなんのかんのと理由をつけ
開示しない・・・
そこで気がつく 真犯人が誰かを・・クリストファルは半ば狂ってる
そして 仕事に誇りを持つ連邦の人間
連邦の義務の一つ
友好条約を結んだ現地の惑星の者達を護る事・・・
一月間 クリストファルを見張る・・そしてついに現場を押さえる
危うい処で生贄を救う クリストファルを問い詰める
予想通りの回答・・そして大喧嘩・・・
クリストファルは笑っていった もうこの儀式は根づいた 手遅れだ
私が死んでも 次の者達が受け継ぐ・・・
もう二度と来るなファリアス・・・その方がいい
何も言えずに 睨みつけたままだったが
ファリの先祖ファリアスは言った
子孫の者達は 我らと血が交わったので 水をさほど必要としなくなる
必ず たとえ その姿が そのままの天空人であっても・・
・・・我らはすでに多くの者達が交わった お前がなんと言おうと
他部族が生贄の儀式を続けても 我らは彼らを護り続ける 我らの末が絶えるまで・・
・・・本来 天空船が訪れなかったら 水は消え去り とうの昔に 水に飢えたまま
死に絶えるはずだった・・
我らはその大恩を決して忘れない 見捨てない・・・お前もだクリストファル・・
我が友クリストファルよ・・・
・・・ふふ・・甘いな相変わらずだ・・水の塔の半分近くがこの時点で崩壊した
百年・・数百年後・・数千年後にはどうなると思う! まだ残っていればいいが・・
水が無くなる!!
私の船のコンピュータの計算では 磁気嵐が治まるのは数百年後だ
必ずまた訪れると他の連邦の者達が言ったが どうなるかな?
すでに連邦は崩壊して 星間戦争中だ・・忘れられるぞ・・ここは辺境だ・・
まあ 貴重なレア・メタル欲しさに
民間の商人が来るやもしれないが・・
共倒れになる前に保護するのをやめて
直系の子孫の事を考えるがいい!!ファリアス!
・・いや 我が友クリストファルよ・・俺の頑固さはよく知ってるはずだ・・
たとえ少々病で心がおかしくても・・
俺達はあきらめないし 希望も捨てない
大恩のある天空人達を護るのは我らの務めだ!!
・・・・勝手にしろ!
私を罰して殺したり 捕らえる気がないなら
私は船に帰り 最後の時までそこにいる・・ファリアス
生贄の儀式は他の者達がするから
私自身はもう行わないが・・
・・・俺自身は もう船には行かないが・・別の者に見舞いに行かせる
もしお前が死んだら
恩人として友として手厚く 遺体を埋葬するつもりだ・・クリストファル
・・・・感謝する・・有難う・・・そしてさようなら
私の大事な友達ファリアス・・・
ああ・・さらばだ・・来世があるなら やり直そう・・クリストファル
・・・・本当に楽天的だな・・こんな過酷な場所で 過酷な状況で・・
そして・・とても優しい・・有難う・・さようなら・・・ファリアス
ファリは黙ったまま泣いている レーヴもまた泣きながら作業を進めてる
突然 レーヴがハッとする・・
「まさか・・」
「どうしたレーヴ?」
「・・・彼クリストファルは僕の先祖かも知れない!! 名前に憶えがある!!
どうしよう・・ああ・・だとしたら・・なんて重い罪だ・・・とにかく調べる!」
レーヴの手を握り 黙ったまま首を左右に振るファリ
「・・クリストファルは恐ろしい とても重い罪を犯したが・・
俺達の本来の惑星の者達を救おうとしたが為の罪だ・・
遺体がないのは 埋葬した証・・許してる」
「・・・仮にそうだとしても お前は優しいから お前やお前の父も傷つく・・
皆 残らず傷つく・・
いずれにしろ この船の情報は連邦に知らせる事になってる
惑星の民が皆知る事になる
お前達に害がおよんだらどうする気だ?
・・お前の妻・・俺の妹リリーシュも子供達のアレストやエラスにリリシュも巻き込まれる・・
レーヴ・・お前自身には関係ない話だ・・・
それにまた天空人達に俺達は救われた・・」
「・・・先祖ファリアスの話した通り 水が絶え絶滅の危機だった・・
そして念願の再来の約束も無事に果たした」
レーヴは緑の守護者だ・・この惑星の緑と水を蘇らせて
新たな作物も沢山創り出した・・
それだけじゃない・・
レーヴは あの数年間の磁気嵐の中で
惑星に残されていた俺の妹や沢山の人間を護った・・
ドームの幾つかも 水の塔の幾つかも護り
時に修繕した あの磁気嵐の大変な状況で手助けもなしに」
「・・・それにレーヴ
先祖ファリアスも言っていた 来世があるならやり直そうと・・
もし子孫なら
俺の先祖ファリアスの望みを叶えた・・それ以上の事をした・・
お前の先祖の可能性なんて他の者達に話はするなよ!約束だ!
ああ・・コピーが済んだな・・帰ろう 俺達のドームへ
我が家へ・・レーヴ?」
泣きながら何度も首を縦に振りコクコクと頷くレーヴ
ポンと肩を叩く
「動けるな? 俺の母に似た人のコピーも宜しくだ」
頷くレーヴ
小型艇に戻り 大昔の天空の船(宇宙船)を後にする
口下手なファリから話を始めて 昔 初めて会った時の思い出話やら
様々な話で盛り上がる・・少しお腹が空き 砂魚を少し料理したり
ナギやファリの妹たちのお手製のお菓子や飲み物を頂く
その間にもレーヴはデータを纏め 更にこっそりのコピーやら
報告書類を準備している ドームに帰る頃には全て仕上がるだろう・・
小型艇を本部に渡し 報告書類に船のコピーデータを全て渡すと
車に乗り ドームの自宅に直行する 自動運転の車の中でレーヴが秘密のコピーを渡す
「・・そのうち大ニュースになるな・・歴史に残る・・」ファリが呟く
「うん そうだね・・あの水の神の生贄の儀式で部族間の戦いや争いも
犠牲者達 被害者達も半端な数じゃないから・・何百年も続いたし・・
ファリ達やナギ・ナジュアリ・・他にも未だにその深い傷に苦しんでいる」
レーヴ
「・・ああ・・そうだな おっと 着いたぞ
皆も出迎えてくれている」
「ナギも来ているねファリ・・ふふ 今晩も・・かな?頑張ってね」レーヴ
黙って赤くなるファリ
「お帰りなさい!ファリお兄ちゃん レーヴうう」
レーヴにしがみつき キスをするリリーシュ
子供達も 一斉に抱き着く
「はあ~い ただいま 僕の愛しい妻リリーシュに
可愛い子供達アレスト エラス リリシュ」
嬉しそうなレーヴ
「ファリが取ってくれた大量のサマク砂魚のお土産もあるぞおお」
「おおおっ ファリお兄ちゃん凄い 流石ね・・うふふ 今晩のご飯に加えるね」
「・・・ファリ お帰りなさい」
ナギ・ナジュアリが赤くなりそう言うと そっとキスをする
「おおっ!」レーヴ達が笑って二人を見守る
「ファリお兄ちゃん お兄ちゃんの子レム
ちょっとまだ御眠むみたいで 寝てるの・・夕飯には起こすからね」
「了解だ 有難うすまないな」
「いいのよん 気にしないでね ファリお兄ちゃん」
「あのね・・ファリ 御話があるの・・」ナギ・ナジュアリ
「何?ナギ・・」ファリ
「ええっと・・その」赤くなるナギ・ナジュアリ
「あ・・・じゃあ 棒らは先に家に入ってるから
後でね 二人とも・・」レーヴが気をきかせて 皆と家に入る
「・・・今晩も一緒・・出来るファリ?・・それとね
私 一人で育てるつもりだから・・私の仕事 結構御給金高いから大丈夫
・・・その出来たの・・赤ちゃん」真っ赤になるナギ・ナジュアリ
「え・・そんな どうして? 僕らで育てよう!
結婚しよう・・
お腹が大きくなる前に 僕とエルの子レムも喜ぶ
前からナギを慕ってたし 弟か妹が欲しいって言ったぞ」
「・・いいの? こんな私でも・・本当に・・沢山の・・あ・・」
キス・・デイープ・キスをするファリ
「・・・こんなに綺麗なナギに愛されて俺は幸せだ・・
余計な心配しなくていい・・今晩・・本当に大丈夫か?身体に触らないか?」
「うん・・大丈夫・・でね
女の子だったら 私の姉さんかファリのお母さんの名前をつけたいの・・
二人の分まで幸せにしたい・・」
「うん そうだ・・ナギみたいに二人の名をつけよう セカンド・ネーム
・・・確か二人の名は男にも使えるから 大丈夫だよ」
「・・・もう結婚式の話を皆にしていいか?ナギ・・早い方がいい」
「うん・・わかった ファリ・・嬉しい」
互いに身体を抱き寄せて 手を結びあう
「・・・今日のお仕事はどうだったの?ファリ・・」
「・・・いずれ判るよ・・今は上手く話す自信がないんだ」
「? 珍しいねファリ・・口下手でもよく聴かせてくれるのに」
「・・・ふふ まあね・・そんな事もあるさ・・
さあ お腹すいたんじゃない 俺はもう食べる気満々だよ」
「うっふふ そうだね ファリ」
二人は家へと入る・・暖かな団らんの中に包まれる為に・・
夜空・・ドームの中からでもよく見えて 星が煌めき 輝いている
もう誰一人 不毛の砂漠の大地で水や飢えに苦しむ事も
部族間の争いや生贄の儀式で嘆き悲しむ者もいない・・・
秩序のある新たな政府・・安全な暮らし 仕事も沢山あるし
働けない者達の保護や施設も充実してる・・
数々のドームの中には緑豊かな作物が実り
家畜たちも沢山放牧され・・人々の快適な住まいもある・・
水の惑星 天空人達と変わらない生活 彼らの惑星にも行ける エアポート(港)も宇宙船もある
・・・磁気嵐の駆除の術も見つかり 再び砂の魔人(磁気嵐に嵐)に苦しむ事もない
砂漠には人工のオアシスもあり・・そこで安らぐ事も出来る
まだまだ 豊富な鉱物資源やレア・メタルは産出を続けてる
もし 枯渇しても それに代わる産業も大きく育ち始めてる・・
ファリの先祖達や生贄の儀式を始めた者が夢見た楽園が 今ここにある・・
FIN
前話があります ^^;




