揺蕩う記憶を信ずれるか
長い時の中に
紡がれゆく軌跡は
幾重にも重なり
記憶の海を作る
今日もそのさざ波に
揺れていた
茫漠とした時の中で
かすかな今だけが見え
この今という瞬間から
どこまでの未来と過去を知れるのだろう
わからない
ただ壮大でただ美しい
この完成しない今であるから
きっと
答えなどでないだろう
そして今日も
長い時の短い瞬間に立ちながら
記憶の感覚だけで生きている
それは本当に
途方もなく淡く
途方もなく危ういことだろう
その橋を上を皆が渡り続けている
この今は
途方もない奇跡に思える
いつか記憶を信じられなくなったら
私は何者になるのだろう