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 祭壇の前にはお坊さんが二人並んでお経を唱えていた。

 その声を聞きながら、どうしてあたしは死んだんだろうと考える。

 記憶を手繰り寄せようとすると、お姉ちゃんと二人で並んで歩いている場面が頭に浮かんだ。

 踏切を渡り、駅前商店街を抜けて中学校へと向かう通学路。

 ああ、そういえば車があたしたちに向かって突進してきたんだ。

 お姉ちゃんは、あの時車道側を歩いていたから……。

 あれ?

 ちょっとまって? 車は車道側にいたお姉ちゃんに向かって突っ込んできたはずだ。

 車の気配に気がついて後ろを振り返ったあたしは……。

 ……どうしたんだっけ?

 ダメだ。

 そこまでしか憶えてない。

 なんで、あたしが死んでお姉ちゃんが生き残ってるんだろう?

 あのままだったら確実にお姉ちゃんが車にはねられたはずなんだけど。

 あたしはお焼香をしている、お姉ちゃんの後ろ姿を眺めた。

 紺のブレザーに茶系のチェックのスカート。膝小僧に大きなガーゼを当てているけど、足を引くほどの怪我ではないみたい。それ以外には、手のひらに絆創膏を一つ貼っているだけ。

 ま、いいか。

 お姉ちゃんはちゃんと生きてるんだもん。

 それでいいじゃないか。

 もし二人とも死んじゃったりしたら、お父さんとお母さんは立ち直れなかったかも知れないしさ。


 嘘なんかじゃなくって、この時あたしは、お姉ちゃんが生きていて良かったって、心底そう思っていた。


 ただ困ったことに、お葬式が終わってもあの世へ続く道なんて現れない。

 お客さんはそれぞれの家へと帰っていく。

 行き場のないあたしは、家族にくっついて自分の家へと帰ることにした。

 死んだら自動的にあの世に行くのだと思ってたのに、ほんと、これからどうしたらいいんだろう。



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