【最終話】素敵な未来②
「おはよう・・・・・・」
誰もいない1人きりの部屋に挨拶してみた、寂しさが込み上げてきて涙が流れてきた。
ガチャ
「スレイヤー・・・・・・(泣)」
「!? どうしたんですか? アグリー?」
「ずっと傍にいるって言ったじゃない。」
「・・・・・・すみません。アグリーが食べられそうなものを探していたんです。」
スレイヤーの手を見ると、たくさんの木の実やお菓子を持っていたのだ。
「うぅ・・・・・・(泣)」
「アグリー!?」
「・・・・・・ヒック」
すると、スレイヤーは何も言わずに抱きしめてくれた。
「・・・・・・好きなの」
「・・・・・・え?」
「私、スレイヤーのことが好きみたい。」
「・・・・・・」
「?」
スレイヤーが何も言わないので、私はスレイヤーの顔を覗き込んだ。
「え?」
「・・・・・・」
スレイヤーは林檎のように真っ赤になっていたのである。
「照れてんの?」
「・・・・・・照れてません」
「でも、真っ赤だよ?」
「・・・・それは・・・アグリーが変なこと言うから!・・・・・からかうのはやめてください。」
「からかってなんかないよ!私、スレイヤーのことが好きだったみたい!」
「・・・・・・まさか、自分の恋が実る日が来るなんて思ってもみませんでした。」
「え?」
「私は初めてあなたに会った時から、あなたのことだけを見ていました。」
「・・・・・・グフ♥ 照れるじゃん!」
「食事にしましょうか?」
「うん!」
そして私たちは、スレイヤーが取ってきてくれた木の実やお菓子を一緒に食べた。
「まっず〜い!」
「・・・・・・」
「でも、美味しい・・・・・ありがと♥」
「・・・・・・無理しなくてもいいですよ。」
その日の夜、私は日課となっていた空腹感と戦っていた。
「・・・・・・お腹空いたな」
外の空気は美味しかったけれど、空腹までは満たしてくれなかった。
「おかえりなさい。今日は、ずいぶんと帰りが早いですね。どうかしましたか?」
「スレイヤー」
「なんですか?」
「お腹空いたんだけど・・・・・・」
「では、食事の準備をしますね。」
「・・・・・・スレイヤー」
「なんですか?」
「私の空腹、満たしてくれる?」
「・・・・・・」
「どうなの?」
「・・・・・・私なんかでよければ。」
「スレイヤーじゃないと満たされないから!」
「・・・・・・アグリー こちらへ」
「うん。」
「アグリー 愛していますよ。」
「顔、真っ赤だよ?」
「もぅ、黙ってください・・・・・・」
私はスレイヤーに唇を塞がれてベッドへ連れて行かれた。それから空腹感に悩まされることはなくなったのだ。その代わりにスレイヤーは毎日げっそりしている。
「アグリー、たまには我慢してください!」
「無理だよ〜。スレイヤーだってお腹空くの我慢できないでしょ?」
「・・・・・・まったく」
そう言ってスレイヤーは優しく微笑んだ。
【完】




