7話 PTでの初戦闘
遅くなってしまい大変申し訳ございません。
受験生なのでなかなか時間が・・・
「じゃあ行ってくる」
俺は走り出し、ゴブリンの背中を気合とともに背中を切りつける。
「ギュ!?」
ゴブリンは一旦俺から距離を取り、そのあと棍棒を振り上げて走ってくる。俺は棍棒を振りおろそうとするゴブリンの左肩を支点にゴブリンを飛び越えて背後にまわりスラッシュを当てる。怯んだゴブリンが俺から離れる前に右腕を切ることができた。
結局ゴブリンの攻撃をアクロバットで躱しながらスラッシュを交えつつ切りつけることで1撃ももらうことなく倒しきることができた。
「ただいま、戦い方はあんな感じ。倒したことあって慣れてるから前回よりは早く倒せたけどな」
「リキト、お前スゲェな」
「本当にすごいわね」
「あの動きはアクロバットか?アクロバットは使えない技能だって書いてあったが使いこなせたらかなり使える動きだな」
褒められて悪い気はしないな。さっきの戦闘でレベルが2に上がったし、いいことだ。
「さて、次は俺の番だな」
次の相手を見つけてランカが前に出る。今回はゴブリンがこちらに気づいているから先制攻撃ができない。それどころか既にランカの前まで迫っている。
「いちっ!」
ランカが叫ぶと手に持っていた大剣が消えて大盾に変わり、ゴブリンの棍棒を簡単に受け止める。
「にっ!」
すぐに大剣に持ち替え横殴りにゴブリンを吹き飛ばす。
「さんっ!」
次は弓か、色々と出てくるな。ランカは吹き飛ばされて離れたゴブリンに向けて1本、2本と矢を当てていく。大盾で攻撃を受け止め、大剣と弓で安定した攻撃を続け俺の半分以下の時間で倒してしまった。
「こんな感じかな。どうだった?」
「すごいな、上手な戦い方だ」
「確かに上手いな、1人で3人パーティーみたいな戦い方だな」
「ええ、盾・大剣・弓のパーティーで戦う時はお手本にしたいくらいだったわね」
正直、予想外の戦いだった。本当にパーティーで戦っているみたいだったな。見ててあっけにとられてしまった。
「ランカの技能ってどうなってるんだ?」
それは、俺もリサも聞きたいことだった。でも相手のステータスを聞くのはマナー違反じゃ無いのか?教えてくれればいいけど。
そういえば新しい技能ってどうやってとるんだっけ?後で調べてみとくか。
「基本動作、盾、大剣、弓、チェンジアームの5つだな。弓はβテストの特典でもらったし、チェンジアームは新しく取ったんだ。知ってると思うけど技能はメニューの欄から取れるからね」
畜生、あからさまにニヤニヤしながらこっちを見やがって。なんで知らないって分かったんだよ。
「チェンジアームの条件は?」
「武器技能が3つ以上、適正レベルより上のフィールドで2体以上の敵と同時戦闘、その際3種類以上の武器を使うこと。当然ソロな」
「きついわね、武器だけ持ち替えて魔法で倒したらダメかしら?」
「検証済みだ。結果からいえばダメだった。おそらく魔法を使った時点でこの技能は得られない」
「なかなか取れそうにない技能だな」
俺、意外と取れそうなんだが・・・。ゴブリン相手だと2体以上でもメニューをいじりながら戦うことくらいできるし、技能を取って武器を買ったらあっさり取ることができそうだ。
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「さて、見るものも見たしこれからようやく本当のパーティー戦だな」
「戦い方とかは決めてあるの?」
「ゴブリンの攻撃は盾持ちの俺とランカで押さえる。リサは後方で攻撃、リキトは適当に攻撃しとけ」
「いいんじゃないか」
「それでいいわ」
「ちょっと待て、俺の行動がよくわからん」
俺への指示が「適当に攻撃しとけ」ってどういうことだよ。背中から切りつけるぞこの野郎。
「でもな、リキト。攻撃力は低いし、盾はないから受け止められないし、どうするんだよお前」
「なら、隙を見つけて、どちらでもいいからゴブリンを背後から攻撃してくれないか。盾だとヘイト値が稼ぎにくいからターゲットがリサに行くだろう」
「それなら良し」
言い方を変えただけのような気がするが、ちゃんとした理由があるなら納得するさ。さすがランカ指示が適当などっかの馬鹿とは根本から違うな。
「おいリキト。今、俺のこと心の中で馬鹿にしたろ」
「大丈夫だ、安心しろ。お前が馬鹿なのは当然のことだからな」
「おいこら」
「諦めなさいリュウ。リキトは本当のことしか言ってないわ」
「どういうことだよちくしょおおおおおおおお!!!」
リュウが見るからに落ち込んでしまった。別にいつもどおりのことだから放っておくけど。
「リア友3人組はいつまでコントやってんだ。正面から2匹来たぞ」
ランカの声で前を向くとこちらを睨みながら警戒している2匹のゴブリンがいた。
「俺は右、ランカは左だ。リキトは後ろから攻撃してくれ。リサは俺とコンビでやってた時みたいに援護を頼む」
「「「了解!」」」
とりあえず片手剣の方が盾が小さいので攻撃を受けにくいと判断し、右側のゴブリンの背後に回る。
「スラッシュ!」
スラッシュを発動してゴブリンの背中を斜めに切りつけるとゴブリンはこちらに標的を変える。
「やべっ!」
スキルの反動で動けない。このままじゃモロに攻撃を受けてしまう。
「ギュギャ!」
ゴブリンがこちらに向かって棍棒を振り上げたところでゴブリンの背中に火の矢が刺さる。怯んだところにリュウが回り込んできて棍棒を受け止める。
「助かった」
「援護は任せなさい」
「リキトは一旦ランカの方へ行ってくれ」
ちっ、やり返してやろうと思ったんだが。ここは言うことを聞いておこうか。
俺がランカの方へ走っていくと後ろの方でリュウが何らかのスキルで武器を振り回していた。なるほど、それで離れさせたわけだ。
リサもいまだリュウの援護をし続けているのでランカの大盾を攻撃しているゴブリンを横から切りつける。
「ギャアッ!」
突然攻撃してきた俺に標的を変え、振り下ろした棍棒を横殴りに振ってくる。すぐに俺に標的を変えたところを見ると、やはり盾ではヘイト値を稼ぎにくいのだろう。
「くそっ・・・」
無理な体制から攻撃を受け流そうとしたしたためかダメージは受けなかったが剣が弾き飛ばされてしまった。ゴブリンは再び次の攻撃のモーションに入っている。
「リキト!」
ランカが大剣に持ち替えこちらに走ってくるが間に合いそうにないな。確か武器をファンブルした時の対処法は・・・
「よっと・・・」
横振りの棍棒を飛び越えて俺とランカのあいだにゴブリンが来るように立ち位置を調整する。ゴブリンがこちらに振り向く前に走り、勢いを乗せてドロップキックを決める。
「なっ!?・・・スラッシュ!」
ランカの攻撃でゴブリンは光の粒子になって消えていく。ランカは驚いたみたいだったが、俺の思った通りに行動してくれて良かった。
リュウたちの方を見るとちょうどリサの放った風の刃でゴブリンが光の粒子となって消えていくところだった。
「おつかれ、リュウも今終わったところか」
「あぁ、俺とリサのフォローは良かっただろ」
「確かに1:9ぐらいでナイスフォローだったな」
「あら?私が9かしら、ありがと」
「おいリキト!なんで俺が1なんだよ!?」
「リサに援護してもらった時点でよけれたしな」
反撃しようと思ったら、持ち場を奪われたしな。避けてやり返そうと思ったのに。
「リキトぉ・・・。それはいいとして、アレはないだろ。かなりビビったぞ」
「でも、俺が思ったとおりに動いてくれたじゃないか」
今考えたら、ランカが対応できてなかったらちょっとやばかったな。まあ実際起こったら起こったでなんとかなっただろう。
「あんた、ランカさんに失礼なことでもしたの?」
「ドロップキックでゴブリンをランカの方に飛ばして切ってもらった」
「はぁ!?なんでまたそんなことに?」
「リキトのレベルが低いからか攻撃を受けたときに武器を弾き飛ばされてな。助けに行こうとしたんだが間に合いそうになかったんだ。そしたらこいつ、横振りの棍棒をジャンプで飛び越えて走ってる俺の方にドロップキックで飛ばしてきやがった」
武器のファンブルって最初は焦るんだよな。慌てて拾いに行って攻撃を食らう奴とか多いんだ。今回は別のゲームで経験してたから大丈夫だったんだが。
「うぅん、ファンブルの対処法としては間違っていないんだがもう少し何か無かったのかよ」
「無いな、俺のレベルだと普通のパンチやキックで怯むとは思えん。格闘系の技能があるのならまだしもそれすらないからな」
「せめて俺に一言伝えて欲しかった」
「なら、今言っとく。今後危ない状況になったら何をするか分からないから気をつけろ」
俺自身はそれほど変なことをしたつもりはないんだがな。俺がランカの立場でレベルが高かったら、ゴブリンを使ってサッカーをするね。
「はぁ、分かった。今度からは気をつけるよ」
「リサ、なんでランカが反省する側になってんだ?」
「相手がリキトだからよ。ちゃんとした理由があって無茶なことをするんだからやられる側は文句も言えないタチの悪い相手よ」
こいつらは本当に俺をなんだと思ってるんだよ。それしか方法がなかったんだから仕方ないだろう。それに普通は対応出来ると思う。
「ほら、次が来たぞ、今度から俺の対応にも気をつけろよ」
友人からリキトの行動のわかりやすい例を貰いました。
自分の前を自分と同じ方向に走っている車がいます。車の前に男の子が!あなたが慌てて車を追いかけると、数秒後に車がこちらに飛んできます。
普通は対処できません。