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3話 とある事実と生産

もう少し生産関係の話が続きます。

 部屋にはいると女性は道具を広げて待っていた。


「早くはいってきてください。教えますよ~」


 いくらハラスメントコードやGMコールがあるにしても女性が部屋に男性と二人きりというのはどうなのだろうか?この人はもう少し気をつけたほうがいいと思う。もちろん俺はそんなことするつもりないけど…

 そういえばまだ挨拶とかしてなかったし、そろそろしておいたほうがいいな。


「名前を教えるのを忘れてたな。俺はリキトって言うんだ。よかったらフレンドになってくれないか?」


 いきなりフレンドは失礼だったかな、などと思いつつも挨拶しながらフレンド申請を送る。


「ご丁寧にどうも。私はシオンです~。生産全般をやってますので何かあったら頼ってくださいね~」


 シオンは特に迷う様子もなくフレンド申請に「Yes」を選択してくれる。怪しんでないのはありがたいがやっぱりもう少し気をつけたほうがいいと思う。断じて、断じて俺が何かするつもりがあると言うわけではないが。


「了解、とりあえず道具生産の方法を教えてもらえるか?」


「そういえば一つ気になったことがあるんですけど聞いてもいいですか~?」


「ん?何?」


 なにか変なことでもあったかな。見た目は周りと比べても特に変な部分はなかったと思うが…


「何で1700シルカなんて大金持ってるんですか?最初に1000シルカ持っているのですでに700シルカも稼いだことになります」


「特に変わったことはしてないぞ。ただフィールドに出て戦っただけだ。一応ソロでやってる」


「なら、なおさらおかしいです~。最初のフィールドでは野ウサギと角ウサギしか出ませんし、角ウサギでも1匹あたり100シルカしか入手できません。パーティーで戦えば楽に倒せるけど1人あたりの入手金額は減ってしまいます。ソロで行けば100シルカ丸々手に入りますが1回の戦闘に時間がかかるのでこの時間では難しいと思いますけど~」


 野うさぎと角ウサギしか出ない?戦ったのはゴブリンのはずだ。ホップ率が低い敵なんだろうか?でも俺はウサギすら見てないのに2回もゴブリンと戦うことになるんだろうか?


「俺が戦ったのはゴブリンだぞ。回数は2回だ。ウサギは1回も見てないが…」


「ゴブリン!?ゴブリンは最初の草原に出るはずです。でも適正レベルは6からなのですが…」


 あぁ、道理であんなに体力が持っていかれるわけだ。俺のレベルはいまだ1のまま。攻撃力も防御力も足りなさ過ぎる。それは、倒すのに苦労するわけだ。むしろ、よく俺は1人で倒せたな。


「知らなかったんだよ。最初のフィールドには人が多すぎで戦えそうになかったから人がいないところまで行って戦ったんだ。1撃で体力が3割持っていかれたからびびったぞ」


「あなたはなかなかに非常識な人みたいですね」


 失礼な、と言い返したいところだが無理だ。自分でもほかの人がやってたら非常識な人だと思うし。


「とりあえず納得はできました。それでは作業の仕方に入りましょうか。とりあえず1番簡単なところから始めますね」


「お願いします」


 俺がアイテム欄から3種類の草を出すと手前の一つをとって数ある道具の中からすり鉢に移しつぶし始める。中は草の水分で緑のペースト状になっている。


「こうやってすり潰すことから始めます。乾燥させて粉末状にすると効果の高い道具ができますよ」


 詳しいことを俺に教えながらペースト状にしたものをティーパックの袋のようなものに入れお湯の中に入れる。しばらくしてお湯が薄い緑色になってきたころに草を取り出して色のついたお湯を容器に移す。


「これを常温まで冷ましたら完成です~」


「意外と簡単なんですね」


「基本ですからね。でもこれだけだとレベル1のプレイヤーの10%ぐらいしか体力を回復させることができませんよ。ほかのいろんな方法で効果を高めていくんです」


 粉末にするっていうのもその一つだろう。ほかには、単純に草の量を増やすとか?


「さて、買い物に行きましょうか」


「買い物ですか?」


「はい、リキトさんはまだ道具をもってないでしょう。とりあえずNPCの店から道具を買わないと何もできませんから」


 NPCの店で買うんだ…。あれだけ道具があるんだから出費もそこそこだろう。だから最初にどれくらい金があるのか聞いたのか。ある程度売れるものを作らないと生産職は金が大変なことになりそうだな。


「では、行きましょう」


 シオンは部屋を借りたまま出るとすぐ近くのNPCの店に入っていく。


『いらっしゃいませ』


 中にはいるとやや機械質の声が聞こえてくる。シオンは特に反応するでもなく隅っこのほうにおいてある少し大きめのかばんを手に取る。


「この中に道具はほとんど入っています。あくまで初級用なのでいいものが作りたかったら後で良い道具を買わないといけませんが」


 良い道具か、ぜんぜん想像できない。さっき見た道具だけで十分な気がするんだが。


「あとはこの本ですね。基本的な生産の方法と応用が書いてあります。私もこの本を見ながらやってます。あと3分の1ぐらいやることが残ってますが。


 分厚いな。辞書を2冊重ねた大きさだといえば分かるだろうか?シオンの立っている横に「武器用」「防具用」とあったが道具用の1.5倍くらいの厚さだった。


「ちなみにこの2つでどのくらいの値段するんですか」


「900シルカですよ。最初の持ち金のほとんどが無くなります」


「高っ!?」


 生産だけの人はよくやっていけてるな。最初は効果の低い道具しか作れないからなかなか売れないだろうし。器用貧乏でも戦闘と生産の両方を取ってて良かった。戦闘も生産もトップになるつもりはないが生産は周りについていけるようにがんばらないとだめそうだな。いざとなったら売らずに自分で使えばいいんだけど。


「さて、部屋に戻って生産の練習をしましょうか」


 シオンは俺を置いて店を出ると宿の部屋に戻っていった。俺は慌てて購入するとついて行った。

感想の方よろしくお願いします。

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