2話 ザコ敵?との戦闘
とりあえず次です。
サブタイの?は次話で分かります。
フィールドに向かうととても広い草原が広がっていた。フィールドでは最前線を以降をするプレイヤーで溢れかえっている。夏の有名海水浴場をイメージして頂ければわかりやすいだろうか?自分も戦おうとモンスターが出現するのを待つ。
シュンッ
ダッ!
ドカッバキッベキッ!
だめだ、倒せる気がしない。モンスターが湧いたと思ったら周りのパーティーが我さきにと群がって瞬殺してしまうため姿を見ることすらなかった。現時点でソロの俺には倒すことどころか戦うこと自体が不可能だ。
ここに居ると時間が無駄になりそうなのでプレイヤーが群がる草原をさらに東に進んでいく。進むに連れてプレイヤーの数は減っていき、一人も見なくなったあたりで初めてモンスターとエンカウントした。
「これは、ゴブリンかな?」
現れたのは人間より一回り小さいが力強そうな腕で棍棒を振り回す人型のモンスターだった。
「さて、ようやく技能による動きが確認できるな」
ゴブリンはこちらが身構えると真正面から棍棒を振り下ろしてくる。俺は横に移動して避けたが、耳元でブォンというなんとも当たったら痛そうな風切り音が聞こえてくる。
「意外と怖いな、これ」
風切り音に気を取られて居るとゴブリンは振り下ろした棍棒をそのまま横に振って攻撃してくる。咄嗟に剣で防ぐが勢いを殺しきれず、後ろに飛ばされてしまう。慌てて起き上がると既にゴブリンがこちらに向かって走ってきていた。横殴りに攻撃しようとするゴブリンの肩を持つとそのままジャンプして背後に着地する。背中を切りつけるとゴブリンはひるんで俺から距離を取って警戒していた。
そのあいだに先ほどのダメージを確認すると体力の3割が削られていた。
「うぇ!?こんなに喰らうの?もっと少ないと思ってたんだが・・・」
俺の発言を無視して突っ込んでくるゴブリンをアクロバットの技能で補正された動きで翻弄しながら攻撃し続ける。既に10回は斬りつけたはずなのにゴブリンはまだ倒れない。武器が弱いのだろうか?最初のフィールドだしそろそろ、倒せてもいいと思うんだが。
ゴブリンは先ほどと同じように攻撃してくるが動きを覚えてしまえばどうということはない。ひたすら避けながら斬り続けているとさらに6回斬ったところでようやく倒すことができた。
「いきなりこんなにキツいのか。これならパーティー組んどけば良かったかな」
メニューを開きアイテム欄を確認してみるとゴブリンの爪が2個と革が2個入っていた。この素材を使って装備を整えていくらしい。他にも最初から入っているものなのか初心者ポーションが3個あったので1つ飲んでおく。
「そういえばこのあたりに薬草みたいなのってないのかな?」
ポーションを見てフィールドに来た二つ目の理由を思いだし、辺りを見渡してみる。
・・・・・・薬草がどんなのか分からねぇ。そういえば薬草自体見たことがなかった。辺り一面草原なので草はいくらでもあるがどれが薬草なのかわからない。とりあえず3種類草を見つけたので1つずつ持ってくことにした。
薬草(草)の採取を終えてどこかのパーティーに入れてもらおうと街へ帰ることにする。帰る途中でもう一度ゴブリンに会う。先ほどと同じように「アクロバット」と「基本動作」で補正がかかった動きで翻弄しながら攻撃を重ねていく。今回は「長剣」の最初のスキルであるスラッシュを使ってみた。
スタミナの関係で3回しか使えなかったが先ほどよりかなり早く倒すことができた。戦闘終了後説明をみると攻撃力が1.1~1.3倍になるらしい。
帰りに走っていて気がついたのだが走るや、アクロバットな動作も多少なりともスタミナを消費するらしい。全力疾走していると後半は走れなくなったが、湧いたモンスターはパーティーの皆様がフルボッコにしてくれたおかげで特に戦うこともなく帰り着くことに成功した。
「パーティーの募集、してないな」
よく考えれば当然のことだった。もうゲームが始まって2時間近く経っている。パーティーを組む人は組んで、ソロの人はソロでもうフィールドに出ていた。残っているのは買い物をする人や、もうログアウトする人、あとは職人くらいである。
「これからまた、あそこまで行ってゴブリンと戦うのもな」
正直言ってめんどくさい。近場で戦うことができないためどうしても遠くへ行って戦うことになる。すると行き帰りでそこそこ時間を使ってしまう。走ればそれなりに時間は短縮されるが、スタミナ切れの時にゴブリンとか本当に勘弁して欲しい。
結局今日はこれから持ってきた3種類の草で道具を生産することにした。
「生産方法が分からん・・・」
自分の行き当たりばったりも程があると思う。どうするべきかと悩んでいたら、近くにプレイヤーの露店があったためそこで聞くことにした。店には少し小柄な店主が紫色のフードを被って軽く俯きながら商品をチェックしていた。
「すみません、少し教えていただきたいことがあるんですけど…」
「はい、いいですよ。何ですか?」
「え?」
俯いていた顔をあげたことと優しくかけられた声で少し驚いてしまった。声が思っていたより高く、顔は自分より1歳か2歳くらい年下の可愛い女の子の顔だった。
「何か聞きたいことがあるんじゃないですか?」
「ああっ、はい。道具生産の技能を取ったんですがどうやって道具を作ったらいいか分からなくて」
「それならすぐに教えることができますよ。今、お金はどのくらいありますか?」
そういえばお金ってどうなってるんだろう。メニューを開くと右下の方に「1700シルカ」と書いてあるのを見つけた。
「メニューの右下にあるシリカってやつかな?それなら1700あるけど」
「それです、それです。1700あれば大丈夫ですね。素材はありますか?」
大丈夫って何が?教えた後に料金が請求されるのか?少しぐらいならいいんだがあまり多いと困る。とりあえず料金のことは後にするとして質問に答える。
「はい、さっき草原でよく分からない草を取ってきたんですけどそれでいいですかね」
「OKです。草はあとで調べておかないとだめですよ。毒のあるやつもあるんで気をつけてくださいね」
3種類取ってきてよかったな。1種類を多く取ってきてたらそれが毒があるものだとひどい目に会うところだった。生産はかなり先輩みたいだしあとでいろいろ聞いてみたいことも多いし、後でフレンドになってくれるかどうか聞いてみよう。
「さて、場所が必要なので行きましょうか」
「どこへ行くんですか?」
「部屋を借りるんですよ。いろいろと出すものがあるのでこのあたりだと邪魔になってしまいそうですし」
やっぱり色々と器具が必要になるみたいだ。
女性は俺が考え事をしている内に近くの宿で部屋を借りて入っていってしまう。俺も慌ててついていくと女性はすでに部屋の中で道具を広げて待っていた。