届けたいこと
届かない気持ち
すれ違うココロ
届かない、届けたいのに・・・・・
人は誰かを思い、思われている
しかしそれは届かない
途中でぷっつりと切れてしまう。
それは勇気がないから?
それは臆病だから?
高校二年生の春
私は風を感じて桜並木の中に立っていた。
季節はとっくに変わり暖かい日差しが彼女に照りつける。
彼女はある人を待っていた。
別に呼んだわけではない
ただ彼がここを通ることを知っていたから。
彼女が待っている彼は高校三年でもう進学も決まり今日卒業を無事に終えた。
彼とはメールなどのやり取りをしたり、遊んだこともある。
しかし別に付き合ったりなどはしていない。
いや、したいけどできない。
自分には勇気がないから
彼とは結構長い付き合いだ。
ずっと前から好きだった。
彼とはよく目が合う、それで好きになってしまった。
おそらく彼も私のことが好きなのだろう。
だから彼が行った難しい高校にも頑張って入った。
それは並大抵の努力じゃなかった。
ただ彼に会いたいと、そう思う一心でひたすら勉強した。
でももうすぐ彼は卒業してしまう。
もう会えなくなってしまう。
そんなのは嫌だった。
だから今こうしてここにいる。
思いを届けようとしている。
高ぶる思いを抑えて彼が来るのを待つ。
ただ無駄に時が流れていく。
やがて人影が見える。
おそらくそれは彼だろう。
どんどんと近づいてくる、それに比例し鼓動が高鳴る。
彼は私に気づき目を見つめる。
しかし歩みを止めることなく進んでいく。
私はドクドクと高鳴る心臓の音をあさえて
私は今の気持ちを伝えようと声をかけようとする
「あっ、・・・・あの・・・・・・・・・・」
しかし声は虫が鳴くより小さく彼に聞こえることはなかった。
緊張して他には何もいえない。
そのまま彼は過ぎていってしまった。
私はただその後ろ姿をみて後悔にくれることしかできなかった。
届かない気持ち
届けたい気持ち
しかしもう届けることはできない
彼はそのまま日の沈む方へと消えていった。
もう届くことはない・・・・・