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1章-4話② 亀裂と暴風スキル!?

鍛錬を始めて、5日目。


「くそっ!」


行き詰まっている自分に苛立ち、単調な日々の繰り返しが、焦燥を掻き立てる。


問題は明確、範囲技が習得できない。

キッカケさえ掴めない――。

目の前に見えない壁があるようで、息苦しい。


大粒の汗を床に落としながら、大型扇風機の前で汗を乾かす。回る羽根から送られる風は心地いいが、心のざわめきは収まらない。


「全方位に攻撃できる範囲技――」

「魔法みたいに、ズドーンって使えればな」

「魔法って魔法使いしか使えないのかな?」


ブツブツと試行錯誤をしながら扇風機を眺めていると、ふと、ある自然現象を思い出し、アイディアが浮かぶ。 脳裏にひらめきが稲妻のように走った。


「あ!!これかもしれない!!!」


急いでギルドの裏庭へいき、思いついた行動を反復してみる。


――ブンッ!ブンッ!――

黒棒を頭上で回転させる。


――ブン!ブン!ブン!――

回転数を上げていく。

周りの土が少し巻き上がる。

空気がざわつき、何かが起きる予感はある。


――ブブンッブブンッブン!!――

ガシャン!!!!


制御が効かなくなった黒棒が手から離れてしまう。ずっと回し続けるのは、無理があり、回転数を上げるには他の力も必要だと感じる。


「イメージは悪くないはず。でも何かが足りない……」


歯を食いしばりながら、己の非力さを痛感しながらも、どうすれば他の力を加えるかを考えているとあることを思い出す。


「……試してみるか」


ジムを出て、思いついてるモノを買い物に行く。


---《表通り*スキル店》


「いらっしゃ……なんじゃ。貧乏人か」


しかめっ面する婆さん。客商売じゃないのか…一応。どういう設定なんだこのアンクは。


「婆さん。樽の中見ていいか?」

「好きにしな」


樽を漁り探し物を見つける。


「あった。これくれよ」「1000ギルだよ」


こっちくらい向いてくれよ。ほんと、このババァだけは――。

しかめっ面返ししてやる!


「イーッダ!!」


歯をおもっきりみせて、婆さんの後頭部にしかめっ面する。


「あんた……」

やば!怒らしたか!?


「亀裂にいくんだろ、瘴気には気をつけな」

「うん、ありがとう」

しかめっ面してごめんなさい。


不器用な優しさに、少し心が和らぐ。


---《表通り*噴水前広場》


すぐにスキル書を広げ、手形に手を置く。


【基本スキル】【微風】習得


「範囲技は完成はしてないけど、後は実践で閃きで習得するしかない」

石畳に落ちる夕陽が、挑戦を促すように背中を押してくれてるような気がする。


ギルド職員に、今から亀裂に入場する事を伝えて、色々必要になりそうな街中で買い集め、亀裂へと向かう。


街を出て、草の匂いに抱かれながら草原を歩く。

太陽は心地よいし、のどかで暖かく。緊張をほぐしてくれる。


しかし、それでも心の奥には、不安の影が消えない。


--《オークの森*表層》


森の入り口付近で、亀裂の光柱を探す。

亀裂は大地を割るように出現し、天高く光の柱を放つが、この光は発見者だけに見える。

一度見つければ、近づくだけで容易に場所を特定できる。


木々の間から、異質な輝きが不気味に滲んでいて、茜色の空に光の柱が突き刺さるように伸びている。


「あった」


オークの森を中層まで歩き、亀裂の入口の前に到着する。


《白*亀裂ダンジョン入場しますか?》「入場」


――ブゥーン――

転送音がなる。


1章-4話④ 亀裂と暴風スキル!?

---《白*亀裂ダンジョン》


目を開けると、動画でみた景色と同じ景色が広がっていた。

ただ、実際に足を踏み入れると圧迫感が桁違いで、肌が粟立つ。


---《残り時間59分》


「紫色のモヤがすごいな。これが瘴気か」

「浴びるだけで、持続ダメージが入るのは厄介だなやっぱ」


すでに亀裂のタイムリミットの時間が動き出している。

空気は淀み、吸うだけで体力が削られていく感覚がする。


亀裂内を探索していると、さっそく、オーク達がこちらに寄ってくる。フィールドで戦った奴と同じオークだ。


「やっぱあのオークは亀裂産だったか」

「全部で5体!やってやる!!」

オークに向かい走り出し攻撃をするディスラナイト。


「うおりゃ!」【打ち下ろし】ドガンッ!!


先頭のオークは突然現れたディスラナイトに反応出来ず、攻撃が命中し消失する。

ディスラナイトは動きを止めず、次のオークへ襲いかかる。


【回転薙ぎ払い】ズバァァンッ!!

力一杯に横一文字。黒棒を振り抜き、防御が間に合わない3体のオークは消失する。


最後の1体を探す。近くにいるはず。

瘴気の濃さで視界が揺らぎ、背筋がざわつく。


「あと、1体…どこだ!!」


死角からオークが斧を振り下ろしディスラナイトに襲いかかる。

ディスラナイトら風切り音で反応する。


――ガキィィン!!――


斧を黒棒で受け止め、押し合いになる。

殴り返すようにディスラナイトは強く押す。


「うおぉぉりゃ!!」


強く押し込むと、オークの顎を殴る形となり、そのため、オークは脳震盪を起こし頭をグラつかせ千鳥足に後退し、バランスを崩し倒れた。


その瞬間――。


「今しかない!!!」


---《残り時間24分》


――ブンッブンッ――

黒棒を頭上で回転させる。


――ブンブンブン!!――

黒棒が徐々に回転が早まる。


【微風】フワッ


――ブオオン!!ブオオン!!――

黒棒が今まで以上の速度で回転する。

指の感覚はもうない。腕の筋肉が悲鳴を上げている。限界が近い。


歯を食いしばり、全神経を腕に集中させる。


――ガガガガガン!!――

巻き上げた風が竜巻のように外へ膨張し、周辺を削り出す。

オークが立ち上がり、ディスラナイトに向かって斧を投擲する。


「この威力なら!!!」


ズババァ!ガーン!【閃きスキル*回天】習得


黒棒の回転が空気を巻き込み、渦を巻き。

暴風が辺りを破壊し、オークは暴風に巻き上げられ、空に吸い込まれるように消失した。


轟音と共に瘴気が裂け、風の壁が身体を守ってくれるのを実感する。


「ははっ!やった、やったぞ!習得した!」

「おっしゃあああああ!!」

両手を上げてガッツポーズする。


回天を習得し、回天の熟練度を上げるために、すぐに別のオークを狩り始める。


先程とは違い、スキル化した回天は発動すると、すぐさま暴風を巻き起こし、辺りを削り破壊する。風を操る感覚が自然に溶け込み、身体の一部になっていく。


回天の特徴は、台風の暴風がイメージ。

頭上以外の全方位に暴風を撒き散らす技。


強い破壊力を持ち、さらに風の壁でオークの投擲も防げる。

攻防一体の回天は予想以上凄い。


回天のお陰で狩り効率は爆上がりし、休みたい時は高台に上り、回復したらまた狩り再開する。


これをひたすら繰り返した。

時間の感覚が薄れ、ただ風と戦闘だけが世界を支配していた。


---《残り時間23分》


「ふぅ……マジで回天習得してなきゃ、俺が消失してたな」

胸の鼓動が速すぎて、耳の奥で鳴り響く。


亀裂のタイムリミットは無慈悲に終わりへと向かっている。時間が過ぎるのが早い。少し気持ちが焦り出す。


亀裂から抜け出すには、ダンジョンボスを倒せば強制送還となる。

しかし、未だにボスの気配はない。

高台から紫色の霧に染まる地面を見下ろす。

不気味な紫が大地を飲み込み、出口のない迷路のように感じられた。


「時間内にボスを倒せなきゃ終わりだ」

考えるだけで、背筋がゾクッとする。


「オークを倒しまくって瘴気を濃くしないと――。」


あと、何匹倒せばいい。

先が見えない不安は1番メンタルにくる。

焦燥感が心臓を掴み、思考を鈍らせていく。


色々考えながら何気にインベントリを開く。


インベントリの中でから不気味にスケルトンブックが淡く光っていた。

禍々しい光が闇を呼び、嫌な予感が胸を重くする。

--- 1章-5話へ続く

---【のんびり更新!】

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