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"副作用"もスキルになり得る?

村での防衛任務を終えた翌日、俺とエリスは次の目的地へと向かっていた。目的地は北方にある都市、ヴァルトレア。そこで開催される闘技大会に招待されているという。


「ヒロト、今回の大会は貴族たちも注目している重要なイベントです。勝利すれば名声が得られるだけでなく、賞金もかなりの額ですよ。」


「名声とかどうでもええけど、賞金はちょっと魅力的やな。旅の資金も心もとないし。」


「それなら、全力で戦ってくださいね。間違っても副作用で暴走しないように。」


「分かっとるわ。さすがの俺も学習するで。」


エリスの釘刺しに軽く笑って返すが、内心は不安だらけだった。スキル『代打』の副作用でテンションが上がりすぎたら、冷静な判断ができなくなる。けど、今回は計画的に戦うつもりだ。


ヴァルトレアに到着すると、大会の熱気が街全体に広がっていた。闘技場には観客が詰めかけ、参加者たちも気合い十分だ。


「ヒロト、受付はこちらです。」


エリスに案内されながらエントリーを済ませる。俺の参加が発表されると、周囲の参加者たちからざわめきが起こった。


「あれが異世界から召喚された勇者か?」

「ただのヒョロガリじゃねえか」

「スキル『代打』とかいうのを使うらしいぞ。」


「えらい注目されとるな。こんなんプレッシャーやん。」


「それだけ期待されているということです。ガンバ。」


「応援が軽すぎる…。」


苦笑いしながら控室に向かうと、そこには俺と同じく参加者たちが準備をしていた。その中でも一際目立つのは、全身を黒い鎧で覆った男だ。


「お前が噂の勇者様か。」


「まぁそうなんやけど、なんや?いきなり絡んできて。」


「俺の名はグリード。この大会でお前を倒し、俺が最強だと証明する。」


「あぁ…あんま期待しすぎんほうがええで。」


威圧的な態度のグリードを軽くいなして、俺は試合に備えることにした。


大会が始まり、次々と試合が進む。俺の初戦の相手は斧を持った大男、ブルーノ。


「勇者様、スキルを慎重に選んでくださいね。」


「おう。」


試合開始の合図とともに、ブルーノが突進してくる。そのスピードとパワーはなかなかのものだ。


「ここはこれや!スキル『影踏み分身(シャドウミラージュ)』!」


足元に影が広がり、俺の分身が出現する。ブルーノは混乱し、どの俺を攻撃すればいいか分からなくなっていた。


「今や!」


分身と連携して、俺は隙を突いて一撃を入れる。ブルーノは崩れ落ち、試合は俺の勝利で終わった。


「お見事です、ヒロト。」


「せやろ?この調子でいける気がするわ。」


だが、試合を重ねるごとに俺の体力は削られていく。スキル『代打』の副作用も相まって、テンションが上がりすぎて無駄に力を使ってしまう場面が増えてきた。


テンションを元に戻す薬草も早々に底をついた。


準決勝、相手はあのグリードだ。試合前にエリスが小声でアドバイスをくれる。


「ヒロト、彼は防御力が非常に高いです。攻撃力よりも、いかに隙を作るかがポイントですよ。」


「了解。でも、簡単にはいかんやろな。」


試合開始の合図とともに、グリードが重たい剣を振り下ろしてくる。俺はそれを紙一重で避ける。


「スキル『真空疾風斬(ヴォイドスラッシュ)』!」


風を纏った斬撃を放つが、グリードの鎧に弾かれる。


「やっぱり硬いな…なら、これや!」


「スキル『幻惑の舞(フェイタルダンス)』!」


光と音で相手の視界を奪うスキルを発動。グリードは一瞬ひるむが、すぐに立て直してきた。


「さすがやな…けど、こっちも負けられへん!」


ここで俺は一か八かのスキルを使うことにした。


「スキル『超絶ハイテンション乱舞』!」


すると、俺のテンションが天井を突き抜け、訳の分からない踊りを始めてしまった。


「ヒロト!?それは何をしているんですか!」


「わからんけど、体が勝手に動くんや!うおおお、これめっちゃ楽しい!」


その場にいた観客も選手も、俺の謎のダンスに釘付けや。さらに驚いたことに、グリードもつられて踊り始めた。


「なんで俺まで…だが、このリズム、悪くない!」


試合そっちのけで二人のダンスバトルが始まり、会場は大爆笑に包まれた。


結果、俺の踊りが観客に一番ウケたという理由で勝利が宣言された。


「これが勝利とは…」


「まあ、勝ちは勝ちやろ?俺らしい結果やんか。」


こうして俺はスキルの副作用を逆手に取り、異世界で新たな伝説を作り上げたのだった。

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