7. 草原での能力確認
能力確認と生きて行く為の硬貨を稼ぎに草原に向かう。
途中にある出入り口の門番にタグを見せると
「通って良し」
なんか偉そうな物言いやなと思いながら抜けると草原が広がっていた
「あれ? あんま人おらんのぉ」
不思議に思いダッシュで引き返し門番に
「なぁなぁ、昨日来た時メチャ人おったんやけどなんで人おらんの」
気になるとすぐに聞きたくなるよね。
ホームセンターとかで上に吊るされてる看板見ながら目的の物探す人と速攻で店員さん捕まえて目的の物の場所聞く人と二パターンあるよね。
俺店員さん捕まえるタイプなんよ。
「混んでたなら南門だな。ここ西門だぞ。ここの出入りはほぼ冒険者だから余り混まないぞ」
「なるほどあんがとさん」
なるほどいつの間にか西門だったらしいですわ。
そんな不思議現象起こるんやな。まぁ良いや。
「さて気分一新ウサ公探すか! 宿代二日分払ったから時間的余裕はあるけど、手持ち寂しいからコツコツ稼いで行かなあかんしな! 目指せウサギ十匹」
「単発のウサ公おらんかの結構な頻度で遭遇するとか宿のオヤジゆーてたけどあんまり遠くまで探しに行きたく無いんよな。帰り歩くの面倒やし」
草原をテクテク五分位歩いてると
「第一ウサギ発見! 何でかこっち見とるのぉ。
特殊な人間発見レーダーでも付いてるんか? まぁええわ。
所詮最弱モンスターよ。今日の糧にしてやんよ! 」
戦闘準備開始。
鞘からナイフを抜き一歩ウサギの方へ近寄りナイフを鞘に仕舞う。
「そうやまず防御切れてないか確認せなあかんわ。うぉ! 」
当初の予定では突撃を腕で受けるはずだったのだが運動神経が良くないので突撃を避け切れず腹で受けてしまう
「あかーん! ってあれ? 無敵防御発動中でございます! ありがとう。
この感じなら時間経過で無くなるとかじゃ無いかなー?
無くならないでね防御ちゃん。チュッチュッ」
取り敢えずツノを掴んでブン投げるが二メートル位しか飛ばなかった。俺力無さすぎじゃね?
「良し次は謎鎖の能力チェックのお時間や! あ、しもた。ブン投げずに捕まえたまま鎖使ったら良かった! 失敗失敗」
「仕切り直しやウサ公よ。かかって……こいや!」
ウサギが後一歩の距離までやってきた
「鎖出ろ! 」
ウサギの方へ手をかざし念じると手のひらから鎖が出て一直線に伸びてウサギの身体を貫通した所で射出が止まる、そのまま近づくと
「止まってるな。こんなに近づいてるのに動かへんやんウサギ。
どれどれ。この鎖先っぽ尖ってて貫通してるのに出血もしてへんなぁ。どーゆー事や。
何が作用して動き止まるんや、 今ん所鎖単体で仕留めるまで出来へんみたいやけどもしかして……」
「おいおい……チートきたー! やっと異世界転移っぽくなって来たやん!
そりゃ防御ちゃん今の所何者にも何事にも肉体的には干渉されないなんて十分凄チートやと思うけど、ほな多人数に囲まれたら?何かで縛られて放置されたら?軽く考えただけでも攻撃手段が無いと詰む状況が目に浮かぶわけやん、それが相手を止める手段が手に入ったわけやから普遍的な危機からの解決手段が段違いに上がるわな!
何よ何よ、ファンタジーに転移したのに努力せなあかんのかと思ったやーん、んもう人が悪いわぁ。あざーす」
「最強の防御と、いやまだ最強かは分からんか。
この先どっかで強い攻撃受けてみな何処までの防御力か分からんし、追々試してみなあかんな。
取り敢えず今ん所四本腕の熊までの攻撃は無傷で防げる防御力って事やな」
「後はこの謎鎖……メチャ強やん!
攻撃力云々は分からんけど相手止まったで? 止まるんやで? いやもう最の強ですわ」
「さてとウサちゃんには崇高なる目的の犠牲になって貰いましょか」
止まったウサギをツンツン突いてみても微動だにしない。
ウサギの身体に触れた感じ石像みたいに固くなったりはしてないみたいだ。
ペットで飼ってる犬や猫を撫でたら、ムニムニしてる感覚そのままだ。
なのに身体がピクリともしないで止まってる。
ちょっと気が引けるが目一杯キックして見たら
「ギュッ」
と、くぐもった声が、ウサギからした
「いや、これキッツいわ。こっちじゃ現代の倫理観持って生きて行けないやろうけど、今まで当然ペットとか動物全般叩いたり、暴力振るった事も無いから相手が不思議生物でこっちに無条件で攻撃して来る魔物とは言え生き物叩くのは……なんか慣れん」
「ほんで悲しい事実に薄っすら気付いてたんやけど……
この世界倒した魔物捌いたりせなあかんやん……
魔物倒したらキラキラーってエフェクト出てやったね! ウサギ肉だよポローン。って肉だけ出て来る世界ちゃうやん」
「ええ……どないしよ。命の奪い合いなんか今までもちろんした事無いけどこの世界で生きてく上で倒すまでは頑張ってやるしか無いけども捌いたり俺出来へんぞ」
「はぁ……しゃーない当分は倒してそのまま持って行くしかないわな。手に持てるの二匹が限界やな。
はぁ……前途多難やな! 」
「取り敢えずこのウサギを、えーとどこら辺にナイフ刺したらええんや? 首かな? よしやるぞ……
いや……うーん。他の方法……無いわな」
「しゃーない。えいっ! 」
「うぉ! なんか生き物に刺すってこんな感触なんやな、めっちゃキモいやん」
「ギュゥゥゥ」
「ぎゃー! ナイフ抜いたら血が血が、かかったぁぁぁ 」
「えー……最悪やん。服にメチャ返り血付いたやん。
ほんで仕留められたけど血ダラダラ出てるのこれ、ちょい待たなあかんのか」
「よしもーええやろ。ウサギよすまんのぉ。
お前の仇は俺が必ず取ってやるからな……取り敢えず一回ギルド持って帰ろっと」
「重っ。十キロ位あるやん」
ツノを持って街の方へ歩いていると
「あかん。首で止め刺すんや無かった。ウサ公の自重でなんか首から千切れそうになっててめちゃグロい」
「しゃーないな」
ウサギの両脇を持って掲げているような感じで進んでいると開かれた門まで到着した
「おつかれーっす」
門番に挨拶して通りすぎようとすると
「待て」
「あータグか、これっすこれ」
両手が塞がってるのでタグを見せるため首を伸ばす
「タグじゃ無い。何故そのまま魔物を持ってきてるんだ」
ジル様が持ってたマジックバックみたいなんを皆さん使ってるから直で持って来る人少ないんかな?
でもアレ最低でも一千万位するゆーてたから駆け出しの少年とか持って無いやろし、このスタイルで皆んな持って来てるんちゃうんか?
「マジックバック無いからこの直持ちなんやけど、これ以外のスタイルが確立されてるんですか」
「ん? ギルドの買い取り受付で討伐用の袋貸してくれるだろ」
な、なんやて! おいおいあのデカネコ、肝心な事、俺に伝えてへんやないか!
いつかあのデカい胸、横からビターンってビンタしたるわい!
「そーなんすねぇ次から借りてきますわ」
「うむ気を付けろよ。通ってよし」
そんな門番との楽しい会話を済ましてギルドの前まで進む
あ! 両手塞がってるからスイングドア、ギコギコできへん! 今回は勘弁したるわ。
ギルドに入りデカネコを恨めし気に睨み買い取りカウンターなる所にウサギを置く
「すんませーんウサギ買って下さーい」
カウンター中に立ってるヒョロっとした男に声をかける
「おうウサギか。なぜ一匹だけを直で持って来てるんだ」
「袋借りれるの知らなくてそのまま持ってきたんすよ」
「お、おう。そうか。まぁ良い見た所傷んでも無いみたいだし五銅貨だな」
「んじゃそれでよろ」
「このウサギ魔石取って無い見たいだけど取らないのか」
「ん? 魔石あんの」
「ああ、この胸の辺り捌くと有るぞ」
捌くとあるぞ。って捌くの嫌なんですけど?
「そっちで捌いてくれんの? 」
「やってるしついでに買い取りもしてるぞ。ウサギの魔石なら銅貨一枚だな」
「んじゃそれもよろ」
「よしちょっと待ってろ」
ふーん魔石とかあるんや。
まぁ……ピクリとも反応しないから俺には不必要やな。
なんかで使えそうなら貯めればええか。
「おい出来たぞ。肉と魔石で銅貨六枚だ。確認しろ」
「あいよー確かに。んで獲物入れる袋貸して欲しいんやけど」
初報酬、銅貨六枚で六百円か、うーん行って倒して帰ってきて大体二時間弱慣れたらもうちょい早くなるやろうけど袋って何匹位入るんやろ?
一匹十キロ位やから全力で頑張っても三匹、三十キロが限界やな。
三十キロなら昔バイトした時に持ち上げたセメント袋が三十キロ付近やったはずやから多分大丈夫やろ。
「ほれこれが袋だ金は取らないが使い終わったら返却しろよ」
「あざーす。これウサギ何匹入るの」
「そうだなお前が持って来た丸ごとウサギなら四匹って所かな。
その場でウサギ捌いて肉と魔石だけ取ってから袋に入れりゃ結構な量入るけどな」
また出た捌いたら。やらんぞめんどくさいからな!
「ふーん、まぁ良いや借りて行くわ、ありがとな」
「おう頑張れよ」
さて今日の糧を更に稼ぐかと熱い視線を受付のデカネコに送りギルドを出ようと思ったが喉乾いた。そう言や飲み物飲んで無いぞ。今六銅貨儲けたしもう一狩り行く前に飲むきゃっねーな!
ギルド併設の酒場っぽい雰囲気のカウンターまで進んでそこに立ってるオヤジに
「マスター! ビールくれビール、シュワシュワしたやつ超特急でよろしくぅ」
「おう、こんな時間から飲むのか。で、ちょうとっきゅう?シュワシュワビールってなんだ?」
「はぁ……超特急は急いでって意味やなシュワシュワってのは炭酸入ったやつやん。ビールはビールだわ」
「よく分からんな」
え? マジ? ビール無いん? この先の人生どーするの?
「えーとだな麦だわ麦をなんかこうしてお酒にしてるやーつよ」
「麦……あぁエールかシュワシュワはしてないぞ」
シュワシュワして無いビール? エール?
「おう! 多分それだわ完全に! 」
「ちょっと待ってろ」
「ほれ、エール三銅貨だ」
三銅貨か儲けの半分飛んだな。
ドンッ、とカウンターの上に木のジョッキで出される
「あざーす。これ三枚でーす」
「どうも」
さてこのエール黄金色で炭酸が入って無い、匂い嗅いでみたがビールっぽい匂いがする。
本当か嘘か分からんけど炭酸は発酵する際に発生して密閉率の高い容器だと抜けなくて低い容器だと抜けるとか聞いた事あるがこの世界の酒作りの容器はスカスカなんかな?
いざ飲んで見るとうーんぬるーい。冷えて無いとかウケる。
味は炭酸抜きのビールが近いな。まぁ飲めるっちゃ飲める
美味いかまずいかと問われれば返答に困るが飲める。
「プハー、まぁまぁやなマスター! 」
「つーかよどんな酒が良く飲まれてんの」
「そうだな冒険者は基本ワインだな」
ワインか前の世界じゃあんま飲んだ事ないんよな基本ビールか安いウイスキーとかしか飲んで無いしな。
まぁブドウ踏んで樽に詰めて放ったらかしとったら出来るらしいから一番メジャーか
「ほな次ワインくれ」
「はいよ。どうぞ三銅貨な」
これも三銅貨か一瞬で儲けが家出してもーたやん
「ほい三枚ね」
「プハー、ふーんまぁまぁ美味いやん。
この芳醇な香りはヨーロッパに吹く偏西風を感じるな。マスター! これヨーロッパの千九百二十年物だろ」
「知らん」
ワイン飲みが言いそうな蘊蓄ぽい事適当に言ってみたけど冷たくされた。
まぁ年数言われてもわからんか! 俺もわからんし
世界が違うから今何年かも分からんしな
「マスター。二杯飲んで今日の稼ぎぶっ飛んだんで稼いで来るわじゃあな」
「いや、お前儲けの全部飲むなよ」
そんなマスターの気遣いを背中に受けて男は颯爽とギルドを出る
「この世界でも酒は飲めるし金も何とか稼げそうやしちょっとばっかし頑張るか」
中天を過ぎた太陽を眩しそうに手で覆い、袋を担いだ男が門の方へ歩いて行く。




