4. リパの町
門の前まで着くと
おぉ。石作りの壁、大人が縦に、十人並んだ位の高さ。
メートルは……まぁええか。
結構な高さでございますなぁ
外周は先が見えんからデカいんやろ、多分。
どんな形の外周なんかな? とか、今ん所どーでもええ。
いきなりの転移、何故か体は無事やけど、精神が疲れとる。
ベッドや。ベッドでゴロゴロ無駄な時間を過ごしたい!
ベッド……コイルスプリングマットレスとかあるんかな。
なさそー。はぁ
木造りの大きな門、木か。鉄や無いんやな。
剣作れるんやから、鉄扉作れそうやけど、技術的な問題かの?
出来ればこの門見ながら、ふむ。この門の材質この大きさ、ズバリ元の世界の何世紀頃の文明度やな!
なんて言いながらメガネクイックイッってやりたい所だが
いかんせん知識が無い
まぁ門マニアや無いからどんな門でもかまへんか。
そんな益体も無い事考えてたら門番さんが呼んどる。
「次。おお、ジルさん。お疲れ様です。
向こうの町はどうでしたか」
「ええ、何時もと変わらずでしたよ。
森の通行も何事も無く進みましたよ」
「それは良かった。あの、ジルさん……
そこの上半身裸の中年は、なんなのでしょうか?」
「あぁ、彼は森で彷徨い、草原で行き倒れそうになってた所を、縁あって此処までご一緒したんですよ。多分悪い人では無いですよ」
「そうですか……おい、お前。そうお前だお前、隠れようとしても見えてるぞ。
此処はリパの町、通行門だ。
通行証も冒険者タグも無いみたいだけど、何処から来た? 」
なんかちょっとアランに隠れれば、面倒くさそうな所ショートカットできるかなー? なんて思ったけどバレてたみたいやな! 残念。
「どーもどーも、自分ハレオって言います。実は森で彷徨って抜けた先の草原で、ジルさんとご一緒させてもらいまして。
何処から来た? と言われても、森から来たとしか。しいて言えば、森人かな?」
そー言えば、沖縄は漁師の事、うみんちゅ、って言うらしいけど、俺森から出て来たから、もりんちゅ、かな。
ぷぷぷ。何と無く、響きがオモロい。
「あのな。森人ってのは耳が尖ってて美男美女が多い、エルフの事を指すんだ。
お前のような中年男の事じゃ、断じてないぞ。」
俺、もりんちゅ、ちゃうかったんかぁ残念。
エルフおるんやのぉ流石ファンタジー夢が広がるぜ
「と、言われてもこれ以上説明の仕様がないのですが。もしかして通れませんか?」
通行禁止か! 門番の横暴だ! 警察を呼べ。弁護士は、まだか!
「いいや、銅貨五枚で通れるぞ、払った銅貨は冒険者タグか市民証で返金されるぞ。
お前が、余りにも怪しい風体なので、止めただけだ。今回は、ジルさんもこう言ってるので、まぁ通って良いぞ。ほれ、銅貨五枚出せ」
怪しい風体って何処見たらそう思うねん!
プリティやろがい! ちょっとだらしない体しとるけどプリティやろがい!
はぁ……見る目無いってやーね。
門番としてやって行けるのかしら? って
銅貨五枚無いんすけど?
「ジル様……お金を、お恵みください。
何卒よしなに」
「突然、様付けになりましたね。
大丈夫ですよ、入る時のお金も無いの分かってましたので、渡しますよ。はい、これ」
「あざーす。ん? 銅貨五枚と金貨一枚あるんですが?」
「ハレオ殿、町の中入っても宿代も無いでしょう、そのお金なら二、三日は、食べるのに困らないはずなので活動資金にしてくださいね」
なんや……現人神か?
地上に降り立つ人類の光なんか?
おお、良く見たら神々しくも見える!
いや……流石にみえへんか。言い過ぎやな。
兎も角、ええ人検定一級くらいあるわこりゃ!
「ありがとうございます。近いうちに返しに行きます! 」
「良いんですよ無理しない程度で」
「門番さん、コレお納めください」
オラッ! 受け取れ門番!
コレが金の魔力や! ひれ伏せ銅貨五枚の前に。
ドヤっ。
「うむ、通ってよし。
お前、何回見ても怪しい風体だから、町中で問題起こすなよ!」
「はーい、あざーしたー」
通ってしまえば、こっちのもんよ門番の戯言なんか右から左に受け流すだけさ。フッ
何とか門を通り抜け、見えて来たのは、ヨーロッパっぽい町並み、石作りの建築物にカラフルな色彩、なんとなーくヨーロッパって感じがする。行った事は、無いけども。
ふーん。なんか意識高い系の女子とかが写真撮りまくりそうな町並みやのー
おぉ、獣人みたいなん居るやん、猫耳、犬耳、割と居るけど、首輪しとるの居るのー?
「あの、ジルさん。
獣人さん? が首輪してる人も居るみたいなんですけど、アレなんですか? 」
「あぁ、奴隷ですね。罪を犯して奴隷に落ちた犯罪奴隷、口減しの為に親元から離された、奴隷とか、何種類かの奴隷が居ますね。
その辺りもその内分かるようになると思いますよ。もし気になるのなら、奴隷商もこの町には、有るので一度寄ってみるのもよろしいかと」
いやいや、奴隷居るんかーい
そこまでテンプレなんかーい
そか……奴隷居るんか。
先入観でしかないけど悲しい背景背負った感じの人が多いってか殆どそんな感じちゃうの?
現代社会でゆるゆる生きてきた俺にしてみれば、ちょい気が滅入るなぁ
そー言う世界なんやな。はぁ。
「では、私は店の方に戻りますね。
疾風の風さん、今回も、ありがとうございました。また次も指名致しますので、よろしくお願いします。
アランさんこれ、依頼の完了証です。
ギルドの方に提出お願いします」
「うむ、ジルさん確かに受け取った。
また、よろしく頼む」
「ジルさんまたねー」
「また会おう」
「ハレオ殿、私の店はこの通りの先に、ございますので、余裕が出来た時に、お立ち寄りくださいね。
それでは、また」
「ありがとうございました。
必ずお返しに伺います」
めっちゃええ人やったなー
何とかして返さなあかんのぉ!
「では、ハレオ行こうか」
「ん? 何処に?」
「冒険者ギルドに登録しに行くんだろ?
連れて行ってやるよ」
「おぉ、道分からないから助かる。行こか」
「では、こっちだ」
大きな通りを進んで行くと、剣を天にかざした人物絵が描かれた看板が目に入る。
「ハレオ、あそこが冒険者ギルドだ」
テンプレのスイングドアきた!
ウヒョー! ギコギコ言わしたろかい!
テンション上がるわー
だってよ?スイングドアなんか西部劇とか映像でしか見た事無いのに実物見たら興奮するやん
スイングドアを通り過ぎて、アラン、ミューズ、ロークの後に続いて入ってく。
中に入ると受付が正面に三つ有り、結構な人が並んでいて、その後ろに並ぶ。
右手側には、大っきな木の壁にチラシみたいなのが貼られてる。
アランの番になり受付嬢と話し始める。
「うむ、今回の依頼の完了証だ、確認してくれ。ミーア」
へぇ、猫獣人っぽい受付嬢の名前ミーアって言うんや、ふーん。
めっちゃデカない? え? そんな事ある?
へぇ、夢あるやん、色んなもん詰まってるやん。
ふと、ミューズの方見て見ると、板。
まぁまぁ美形やしな。
ミーア、板ミューズ、ミーア、板ミューズと見てたらミューズがこっち見て
「貴様、さっきから何を見ている。」
「ミューズ、知ってた? 正中線て言う人体の真ん中を通る一本線は、人間の急所なんだぜ。フッ」
なんとかゴマかせたな。
「いや、貴様、胸見てただろ?」
バ、バレてたんか。ヤバい。斬りかかられそうや!
「お待たせしましたニャー
今回の依頼完了ですニャ
これが報酬ですニャ」
セーフ! 危うく刃傷沙汰になる所やったわ!
ネコちゃんナイス。
「うむ、ありがとう。ん? ミューズどうした?」
「いや……何でもない」
ふぃー難局を乗り越えたわい。
ミューズちゃん、こっち睨まないの、ロークに嫌われるでぇ! NO斬でお願いしまーす。
「うむ、ミーア、新規登録を頼む、この男だ。ハレオこっちだ。」
「はーい」
「おじさんが、新規登録するのかニャ? 」
マジでネコ語やん、はぁ……そのデカ物をニャァニャァ、イワしたい!
「こんちわー初めましてですよね?
俺ハレって言います、あれ? 初めましてのはずやのに、前世で、未来のこの場所で二人、また出会う運命が導いてくれるはず! って約束してなかったっけ?
久しぶりやなミーア……迎えに来たで!
さぁ、今晩は飯でも食べに行って今までの事ゆっくり話そうよ」
「人違いだニャ、回れ右するニャ」
撃沈、いや轟沈。流石に無理あったかー
「で、おっさん何ニャ、登録しないのかニャ」
「いやはや、軽いディスカッションやんか。ミーアちゃんが緊張で固くなってるみたいやから冗談で場を和ませようとしたんよ。
で……肩とか凝って無い?」
「真面目にしないと、マジぶっとばすニャ」
えぇ……怒った顔も可愛いとか反則やのぉー
しゃなーい、そろそろやめとくか。
「食事に誘いたいのは本気と書いてマジなんやけど、新規登録おねがいしゃーす。」
「チッ」
圧倒的舌打ち。こわー
「じゃあ登録するニャ、名前と年齢幾つニャ?」
「ハレオでーす、ピチピチの三十八歳でぇーす」
「ハレオ、三十八っと、魔法とか使えるかニャ」
「魔法って言う個性は、まだ成長段階らしくて、発動してない見たいやな!」
「魔法無しっと、特技は何ニャ?」
「特技か、なんやろ……パンチかな!」
「特技パンチと、パンチで何か魔物とか倒したかニャ?」
「ミーアをビックリさす事に、なるとおもうけど……
昨日、草原に居たウサギをブン投げたぜ!」
「パンチの話し聞いてるんだけどニャ。
特技無しっと」
「武器全般何か使え無いのかニャ?
てか、おじさん武器らしき物が見当たらないんだけど、どうゆう事ニャ? 」
「武器か……実はな、此処に来る道中、ここに居る、疾風の風と馬車でご一緒させてもらってここまで来たんやけど、武器とか触りたいやん? アランの大剣見て、筋肉的な要因で無理ちゃうか、と思い、ミューズの剣位なら振れそうかなと思ったけど、睨まれ断念し、ロークの杖で魔法でもと思ったがなんか暗そうやからやめて今に至る感じです」
「おい、誰が暗いんだ! 」
「おっと、怒るなよローク。
こんど埋め合わせするから飯でも行こーぜ。デカめの看板娘の店探しとくぜ! 」
「貴様……」
ヤバッ、剣抜きかけとる!
「ミューズさん冗談ですやん。大体俺が飯屋なんか今の状態で、イケるわけないやん。ネッ。」
「結局武器も使え無いニャ?」
おぉ! 助かったぞ! デカパイネコ! 愛してるぜ。
「まぁ、世間一般で言うと、使え無いって事になりますね。」
「得意武器も無しっと。」
「取り敢えず何も持たない人でもギルドには登録出来るニャ、先の見えなさそうな三十八の、おじさんでもニャ。
まぁ登録するニャ
登録料の五銅貨だすニャ」
また五銅貨! 何、五の数字に吉兆でもあるの?五の数字が吉です。ってやかましいわ。
「はーい、金貨でよろしくぅー」
「お釣り銀貨九枚と銅貨五枚ニャ」
「あざすぅー」
このデニム割とポケット深めやけどこの調子で硬貨増えたら速攻でパンパンになりそうやから、硬貨入れる用の袋みたいなん買わなあかんなあ。
「んじゃギルドの説明聞くニャ?」
いやそろそろめんどいな、短めでお願いしてみよ。
「うーす。短めでよろしくでーす」
「このおっさんマジで……」
「ふぅ。んじゃ説明するニャ
ランクはGからスタートニャ
上から、S A B C D E F Gってあるニャ」
「俺Sからスタートとかにならん?」
「ならん」
ニャがねーぞミーア
「上位になるほど強いから、喧嘩売る時は気を付けるニャ、まぁハレオにはあんまり関係無いニャ」
「次にお仕事ニャ、魔物討伐して持って帰ってこれば、お金になるニャ、以上がんばれ。
ラクは、ランクGスタートで、特技も何も無いから
魔物討伐はキツから薬草採取でもしてろニャ
薬草採取はボードに貼ってある、草の形覚えて草原に生えてるの取ってくるニャ。
ツノウサギが出るから気を付けるニャ。
この先何か気になったらまた聞きにくるニャ。
次聞きに来る時は、私以外の受付嬢がオススメニャ」
あのウサ公、ツノウサギゆーんか。
そのままの名前多いの!
「ニャ、タグできたニャ、ほれ受け取るニャ」
「あざうーす、これで俺も一端の冒険者か。
腕が鳴るぜ!
ところで、ミーアさんや。一応武器とか使えるようになりたいんやけども、訓練所とか無いの? 」
「ここの地下にあるニャ。
模擬武器とか置いてるから練習するが良いニャ」
「んじゃ、魔法が載ってる本とかねーの? 」
「二階に図書室あるニャ受付が居るからその人に聞けば見せてくれるはずニャ」
「最後に安い宿とか近所に無いの?」
「前の通り左に行くとクジラ亭ってのがあるニャ。
そこの店はギルドと提携してるから安いニャ。
個室、素泊まりで、一泊二銀貨ニャ」
「はーい、そこ行きまーす。ありがとうございましたー
あ、そうだ最後に」
「何ニャ?」
「ミーア、愛してるぜ」
「帰れ」
ニャーが無いぞミーア
「アラン待たせてすまん、帰ろーぜ」
「うむ、良いぞどうせ最後まで付き合ってやろうと思ってたからな」
良い奴かよ
「んじゃ行こか」
表通りを少し歩いたらクジラ亭が見えて来た
「おーあっこやわ、今日はありがとな。
アラン、ミューズ、ローク、またギルドで会ったら色々教えてくれよ」
「うむ、その時までさらばだ」
「貴様には、あんまり会いたく無いな!」
ツンデレかよデレ来いよツンしかみてねぇわ
「またな、ハレオ」
暗いとか言ってすまんのぉー今度デカパイの看板娘……
ヒィィ。ミューズさんこっち見とる、ニュータイプかよ
「じゃ、皆んなまたな」
宿に入って部屋を取り、精神的に疲れたのか、案の定固いベッドだったがすぐに眠りについた。




