21. 魔族なんかい
「うぅ……クサッ。はぁまた草の匂いがするがな……ハッ!そうや召喚したんやった。成功したんかな。ウオッ!」
目を覚まして起き上がると目の前に身長二メートル位、額から一本角が伸びていて、浅黒い肌で筋骨隆々そして背中には黒い天使みたいな羽が生えた何処からどう見ても悪魔っぽい男が仁王立ちしていた
「ん……あれれ。大きな包容力のある女神がいないんだが」
そうや。今はダイナマイトボディ女神の話しやなくてあの少女の事だわ。周りを見渡すとマルロがこっちに駆けてきてる
「ハレオ様おかえりなさいませ。本当に一月も行動不能になるとは思いませんでしたので気を揉みましたが、無事お目覚めされまして安心しました」
「おぅ心配かけたな。しょ、少女はどうなった無事か」
「はい。あちらにおられる方が奇跡の薬をお与えて下さって無事全回復しましたよ。少々お待ちください」
マルロが少し離れた所に妹マルカと共にいた少女を連れてくる
「こちらです」
連れて来られた少女をペタペタ触りながら傷がないか確認していく。金髪に青い目の可憐な少女、傷は無く体型は痩せ気味で髪の毛がザンバラになってる位で後は健康そうになってるのを見て心底安心する
「少女よ良かったな。本当に良かったな」
思わず抱きしめる
「ハレオ様この度はありがとうございます。痛いしか感じ無かった人生が痛みの無い人生になりました。本当にありがとうございます」
「かまへんかまへん。運良く治せる人を呼ぶ事が出来たから良かったわ。そうや、少女名前は何て言うの」
「はい。レイラと言います」
「レイラちゃんね。綺麗な名前やな」
ほんま良かったわ
「んじゃ取り敢えずおっちゃん、あそこに居るイカつい顔の人にお礼とご説明せなあかんからまた後で話すわな」
そう言い召喚した相手の方へ近寄って行く
「どーも。今回召喚させてもらったハレオと言います。お名前とご職業それと食事に人が入ってないかお伺いしても宜しいでしょうか。それと今回少女を救って頂き誠に有り難う御座いました。凄く助かりました」
「おう。召喚された時の思念に乗って治して欲しいと聞こえたから治しといたぞ。俺の名前はルフ。見ての通りの魔族だが人は食わないぞ。そして職業的に言うと錬金術師だ」
なるほど人食わんとは合格やでルフ君。それにしても魔族か。悪魔か思ったらちゃうんかい。つーか……この世界にも居るんかの魔族。もっとこの世界の事勉強しとけよハレオ
「ルフ様ですか。よろしくお願いします。魔族との事ですがこの世界出身なのですか」
「いや。この一月ここから動け無いものの、そこに居る兄妹や冒険者ギルド?から派遣されたと言う人族と話しをしたけど、俺の居た世界とは違うみたいだな。元いた世界は薄暗く太陽もあまり顔を出さない世界だったからな。勿論魔界全部を見渡したわけじゃないから確実にと言うわけじゃないぞ、けど多分違う世界だと思うぞ」
また異世界転移してきたんか。流行ってるんか、ってか転移してまで地元離れるの不安やないんかな、戻れるかわからんのに
「そうなのですか。それは遠い所有り難う御座います。ルフ様それでですね私の認識不足で申し訳ないんですが錬金術師とおっしゃいますけどその……体格が凄くてあまりイメージの錬金術師にみえないのですが錬金術師様なのですか」
「ああ、様付けしなくていいぞ。ルフと気軽に呼んでくれ。そうだなハレオがイメージする錬金術師ってのはローブを着て鍋で何かをグツグツ煮込んで作ってる見たいなのだろ。それは正しき錬金術師の姿なんだが俺の場合は見てろよ。ほら、魔力で錬成するんだぜ」
へぇ。ええなぁ魔力による物質創造系能力者とかめちゃかっこええやん。それはなるほどそうなんやと分かったけど、なんでそんなに肉体鍛えてるんかわからんがな
「おぉ魔力で作れるとは凄いですね。んじゃお言葉に甘えて口調崩して、それで地元離れて大丈夫やったん。こっちとしては願っても無い位ありがたいんやけど」
「それがだな……どっちかと言うと俺の方も助かったんだわ。話せば長くなるんだが」
この魔族ルフは魔界で生活してたんだが、ご想像の通り力と魔法が全てで強い奴が一番偉い。と言う世界だったみたいでルフも御多分に洩れず魔界一に俺はなる。と幼少期から訓練に明け暮れてたみたいだが、発動した得意能力が錬金術で魔界にも回復魔法の類いがあるとは言え、ポーション類があればあるほど重宝するわけだがルフ本人が求めてたのは魔界一強い男なわけで悲観してたらしい。
魔界でも薬作りの需要は物凄くあるが、この先ずっと裏方に回るのが嫌だったルフ少年は錬金術を使える事隠してひたすらに鍛えたらしい。
ルフの使う錬金術は少々特別製らしく、本人がその薬なり毒なりを舐めるとレシピが頭に浮かびそのレシピの材料を魔力で補うと言う唯一無二の能力だった。
その能力で作った回復薬で鍛えては飲み鍛えては飲みを繰り返しながら強くなっていったみたいだが、ある時この訓練強度じゃ魔界一にはなれないんじゃね?と気付きこっちの世界ほど希少では無いエリクサーを求めて彷徨い始める。
彷徨い続け見つけ買おうとしたが金が足りず仕方ないかと思っていた所、大きなお屋敷に住んでる貴族が持ってると言う噂を聞きつけ、屋敷に侵入してひと舐めして戻しバレずに抜け出せたらしい。
うん、それ泥棒だわな。
エリクサーが作れる様になったから死ぬ一歩手前位まで鍛える事ができる様になって力も付き魔界でブイブイ言わせて過ごしてたけど。
そうや魔王もぶん殴ってやろうと城に乗り込み戦ったが流石魔界一だけあって魔法も近接もズバ抜けて凄かったらしく善戦したが負け、その闘いぶりを肌で感じた魔王がウチで働かないかと食事をしながら言ってきたのを聞いた所、就職活動しに来たんじゃねぇよと何故か腹が立って、魔王の飲み物にコッソリ毒を入れたがバレて幽閉される。
数年が過ぎソロソロ処刑も近いかなと思ってた所に俺の鎖が来たみたいで召喚に応じたと言う流れらしい。
うーん。話し聞いた限り戦闘狂でカッとなりやすいっぽいな。ほんでなんで近接やねん。遠距離の魔法とか使わんのって聞いたら魔力全部を身体強化に回して全力で近接してるみたいやな。闘いとはぶん殴ってこそだろと言われたが何を言うてるんかさっぱり気持ちが分からん。遠距離からの魔法の方が安全マージン取れるやろがい。ほんで生活するのに困らん位の魔法は使えるけどロウガが使えるような強い魔法はほぼ使えないらしい。
だ、大丈夫なんかこの人。話し聞く限りヤバ目なんやけど……つーかダイナマイトボディ女神どこいってん
「なるほど。中々にハードな生活してきたんやなぁ。それでどうやろ一緒にこの世界で生きて行かへんか」
「そうだな。一緒に行くには条件があるな」
「なによ。飯位なら困らず食べさせていけるで」
「力だな。いくぞ」
「え。またこのパターンなん。なんで召喚した相手みんな気性荒いんよ」
次の瞬間ドンっと聞いた事無い位大きな打撃音がしハレオの服がビリビリに吹き飛んだ
「おお。凄いじゃんハレオ。今のパンチは魔王でも膝をついたのにやるじゃん。この拳に耐えうるなら面白そうだからついて行ってもいいぞ。しかし不思議だな、服こそ飛びはしたものの無傷か、中々面白い能力だな」
「中々面白い能力だな。じゃねえ。ほんまなんで皆んな気性荒いねん話し合いとかでええやろがい。ホンマにもうホンマにもうだわ。ほんでまたマッパやんけ。全裸ですわ全裸。でもまあ取り敢えずこれからよろしく」
「おう」
「よっしゃ腹も減ったし酒も飲みたいし取り敢えず行こうか」
そういいながら仲間の居る方へ歩いて行く




