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2.商人

草原で二つの月を見上げた後、もう諦めて草むらで眠りに着いた。


頬を撫でる風にふわふわと意識が覚醒する。


「クッ、草臭ッ! あぁ、草原で不貞寝したんやったわ。

新しいわな……起きたら草の匂いするとか」


むむ? なんか。ツノの生えたウサギっぽい何かがメチャクチャ 突撃してるみたいなんやけど。おぉ、まだ無敵っぽいやん。すげー勢いで二匹? 二羽? が必死に突撃して来とる。


「ふはははーお前らの攻撃力じゃ俺の極装甲は貫けぬわ!

もう一度ママのお腹の中からやり直してきなッ! 」


と、ツノを掴んでぶん投げる。そんなには飛ばんかったけど、すごすごどっかに去って行くウサ公達


「にしても、異世界かぁなんでまたこんな、おっさんに。

アレだわな赤いバチバチしたやつ。

はぁ……余計な事するんやなかった。

まっ、しゃーないか。スマホ! はいダメー。圏外。

はぁ、流石に口ん中パサつくわ、水を求めて三千キロみたいな。行くか、トボトボ歩くか何処までも」


「異世界って事は、俺にも魔法使えるんちゃうの。この攻撃通さない防御は、俺には分不相応なくらい凄いけど、やっぱ魔法使いたいやんどうせなら! 」


キョロキョロ


「よし、うーん……

ファイアーボゥルゥー!」

……


「ウォーターボゥルゥー! 」


……


「炎よ出ろ! 」


……


「お願いします、水ください! 」


……


お願いしてもあかんか。

出ーへん所か、魔力パワー的な物も感じない。

血液に乗って温かいものがおへその辺りでグルグルまわってます。的な事も無いんすけども


なんかコツみたいなんあるんかの。

身体強化とか欲しいんやけどなーこの歳から筋トレとか拷問じゃね?

いやー困ったな。たははー


そんな感じで草原にある道をゆるゆる進んでると、後方からガラガラと何か引いてるような音が聞こえ、振り返ると木組みっぽい大きな箱を引いた馬二頭が見えたので、元居た世界では見た事無いので分からないが、多分馬車みたいなのがこっちに向かって進んでくるのが見えた


御者台? みたいな所に、太ったおっさんと、若そうなねーちゃんの二人組、人類との遭遇や。

人類か? 人類やでな……

たのむで、言葉通じてください!お願いします!

これ逃したら飢えてまう!

会話術奥義先手必勝!

基本的に明るくニコニコ先に声かければ、イヤな顔されないっしょっ


「どもどもーこんちわー言葉ツウジテマスカー」


「なんだ貴様。何故上半身裸で天下の往来を歩いてるんだ 」


そう言って声をかけて来たのは女だった。

歳の頃なら二十歳くらい、えらい美人、赤髪で肩までのミディアムヘア、皮っぽい装備に腰に剣。

マジの剣、てか鞘に入っとるから本物かわからんけどシルエットが剣ぽい


「貴様、何をしていると聞いている」


ワオッ。言葉通じるし会話も成り立つっぽい。

にしても……貴様って、ぷぷぷ。

リアルで初めて聞いたわ、映画とかの役でそーゆ喋り方するの聞いた事あるけど

なんか……若いねーちゃんに、そんな言葉遣いで喋りかけられたら……イイネ。

なんかイイ。


とは言え此処が分水嶺、上手い事取り入ってこの世界の情報と、近くに人が住んでる所あるんか最低限の事は聞き出したい、気をしっかり持って話しかける


「いやいや申し訳ない。

お見苦しい物、お見せしてしまって。

見ての通りの状態で途方に暮れてた所なんですよ。

それで図々しいとは思いますが、水下さい。もしかして水って貴重ですか? そしてなんか食べる物下さい」


圧倒的標準語、これには理由があって若かりし頃オンラインゲームをしてた時。

とある女アバターと、こんな調子の方言でチャット打ってたんやけど、その女アバターに、方言キツ過ぎない? キモいんですけどーキャハハー。

みたいに言われ、そ、そうかな? しか言い返せなくて


涙堪えながら、ソッとログアウトした記憶から、地元付近出身者以外とのファーストコンタクトは標準語をデフォルト設定にしてるのだ。


クソッ。あの女アバター、ネカマで姫プレイしとるキモ男やろ! 絶対そうや、そうに違いないわ、人の純情もて遊びやがって、思い出したらムカついて来たわ

だからこの語りかけになっているのだ。

方言話す人、あるあるだわな


「上半身裸で何も持たずに、水をくれだと。

怪しい奴め、もしや魔物の類か? 」


え?どう見ても人類やろ?まさかの人類にはこんな可愛いおじ様おらんのか?


「いやいや、違くて」


説明するため近づこうとすると


「それ以上近づくな! 近寄らば切る! 」


ぶ、武士みたいな事ゆーとるんやけど、どないしよ


「どうした、ミューズ。何かトラブルか」


幌馬車の中から二人の男が降りて来た。

見えてる限り男男女の三人パーティーか、一人はゴリラ、すんごい体格に金属製っぽい上半身鎧を着てて、コイツは背中に太い剣みたいなん背負ってる。あーあれだわ、とあるモンスター狩るゲームの大剣ぽいわ。

ほんで顔が、毛の無いゴリラみたいでしかもイカつい。こわー。


もう一人は、俺と同じ位の身長で、某ゲームの魔法使いの初期装備で見る、フードの付いたコート?多分ローブぽいの羽織って杖っぽい木を持った暗そうな男。くらー。


「リーダー、怪しい奴が水クレって言って来てる」


なぁ?さっきからこのねーちゃん俺の事不審者っぽい扱いしとるけど、不審者ならこんな明るく喋りかけんやろがい!

いや?逆に不審者やから明るく話しかける場合もあるか。納得


「ふむ、この辺りは後ろには、嘆きの森、街までも草原が続きまだまだ距離がある位置だぞ。

お前、そんな格好で何処から来て何処に向かうんだ? 」


悲しい情報に一瞬フリーズする。

嘆きの森、まだまだ距離ある、何そのパワーワード。

え……まだ歩かなあかんのか。


いやいや、歩かなあかんて言う事実に打ちひしがれてる場合とちゃう。

まずは、文明の匂いがする所まで何とか行かなジリ貧や

この先も長そうやのにレンタルサイクル屋とかあらへんのかよ。

馬車で移動しとるし無いんやろなぁ。


前の所やと、飲んで無い時は車移動、飲んだら電車かタクシー、運動なんかしてなかったからご想像の通り、太ってはないけど腹が出て来たって言う、ザ中年みたいな体型やのに、まだ歩けゆーんか。

いやーキツいっす。


あかん、ついつい愚痴考える頻度多くなってきとる。ストレスマッハや。


とにかくこの状況なんとかせなあかん。

まずはこのゴリラに何とか取り入って最低限街まで連れてってもらうか、付いて行くしかねえ。歩くの嫌だわ。


あーこのゴリラ良い人の確率高くないかな?

おーそんな困ってるなら乗ってけよ。見たいな?

ないかなーないかなー……


しゃーない、頑張るか。


おっとそうや自己紹介もせーへん人間、中々に怪しさ全開か。

熊との遭遇から自然と警戒心あがっとったかもしれん。

四本腕の熊……元気かな。

いや、良く考えたらあの熊公、俺の上の服ボロボロにしくさって、恨み晴らす為にいつか倒しに行ったるねん。ムカムカするわ!


「すいません。自己紹介も、まだで。

自分、明日晴男って言います。」 


「アシタハレオか、名字があるって事は貴族か何かか? 」


グッ。ミスったわ貴族とかおるよーな世界っぽいわな。アニメで見たわ。


「いえいえ、貴族ではないですよ。

自分が住んでた所は、こう言う感じの名前が多いんですよ。

いたって普通の住人ですよ。

ハレオかハレ、呼び方どっちでも良いですよ」  


「ふむ、ではハレは何故こんな所に? 」

 

「実はですね。昨日の話しなんですけど、頭に強烈な痛みが走ったと思ったら、気絶したみたいで、目を覚ますと後ろの、嘆きの森? って言うんですか、そこに倒れてたんですよ。

気付けば、知らない場所で、途方に暮れてても仕方ないので、小川を見つけ下流の方に歩き橋を見つけその橋から歩いて今現在みたいな感じなんですよ」


「服は、どうしたんだ? 」


「あぁ、皆さんあの森通って来たなら分かるかもですが、あそこ熊出ませんか? 四本腕の? 」


「うむ、ちょっと深く入ったら出るな。Cランク四本腕の熊」


いや、ネーミングセンスそのままなんかい。

つーかC? あれでC? 謎ランク出てきたけど上から三番目とか四番目とかかな?

ちょい強さの基準がわからんけど、魔王とかと違ったんか。メチャ強っぽかったのに哀れな熊公よ。ザマァ。


「そう、その熊に川下に歩いてる時に遭遇しまして、攻撃されそうになったんですけど、間一髪で避けた時に上の服に爪引っ掛けられてたんですけど命からがら逃げて来たので、上の服だけ無いんですよ」


よし。無敵状態の話しは黙っとこ。


コイツら悪い奴やったら詰んでまうしな。

いや? 無敵なんやから詰まんか。

うーん、解除の方法とか例えば、某ゲームのディスペルとかアレ呪い解除やったよーな気するけど、あんなんで解除方法あったらあかんし


やっぱ黙っとこっと


「なるほどな。困ってるようだし、そう言う事情なら仕方ないな」


「見た所武器も無し、水が欲しいと言うならば魔法使いの可能性も低いだろうし、よし、ローク。水出してやれよ」


「はいよ。ウォーター」


おおお! マジか魔法使い風男の手付近から水出て来たぞ!

おいおい! メチャ凄いやんけ! 何やこれ、マジか? マジなんか!


「あざーす。つかこれ飲めるんすか? 」


「そりゃ飲めるだろ。ウォーターも知らないとか何処の僻地から来たんだ? 」


「へへっ。魔法使い? みたいな人近所に居なかったんですよ」


「変な男だな」


「あ、まだ出しといてもらえますか?

頭からも被りたいんで。」


「変な男な上に図々しいんだな」


「ふぅぅ、生き返った。

助かりました。ありがとうございます」







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