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18. 傷だらけの少女


宿から意気揚々と出たハレオは町の通りを奴隷商に向かい歩いて行く


「うーす。おひさ」


前来た時同様門番ぽいのが二人立っていたので声かけする


「ああ、前にも来た客か」


「せやで俺やで俺、入ってええかな」


「いい……まて、なんだその今日はあの狼は居ないのか」


「あの子ロウガ言うねん。今日はお留守番やな」


「ふぅ。そうか入って良いぞ」


なんやこの門番ロウガの事めちゃ気にするやん。なんでや……あぁこの前怖かったんやな。

そりゃそうか俺は慣れてしもて感覚麻痺しとるけど、あんな大きな狼が隣でおったら怖いわな


「こんちゃ俺がきたで」


「いらっしゃいませ。おや先日はありがとうございました。その後どうですかあの子達は問題なく過ごせてますか」


おぉ。今日も相変わらず胡散臭い人相と格好やな俺や無かったら討伐されとるで!

なんやろこのねっちゃりした笑みが胡散臭さ倍増させとるやんか。この世界の人は気にならんのかのぉ


「あの兄妹しっかり飯食ってスクスク育っとるで。って言ってもまだ三ヶ月ほどやけどまぁぼちぼちやっとるわ」


「それはよろしかったです。それで本日はどう致しましたか」


「今日はな生活にも余裕出来てきたから、身の回りのお世話出来そうな人探しにきたねん」


「ほうほう。それはそれは。この商店を御贔屓に頂きありがとうございます。それでご要望とかはございますか」


ここや。ここで何気無い風に。そう元の世界で友達とパネルが飾ってあってそれを指名するみたいな店に行った時の様に、あぁ先にどうぞ俺あんまなんよな。かー、あんまなんよなー。みたいなもう既にパネルチラ見して決めてるのにコイツの趣味あれなんかと思われん様にせなあかん。

いやそんなの良いじゃん友達なんだから。と思われるかもやけどなんか恥ずかしいやん。親しき仲にも礼儀ありやん。なんか余裕ある感じで行きたいやん。ここ異世界やし友達もおらんし奴隷商人にどう思われようが関係あらへんねんけども。なんか嫌やん。わっかるかなー


「あぁそうやなぁ。この前来た時に金貨百枚からです言うてたスタイルが良かった子がええかなー?

ほら居たやんこの前来た時に」


あかん。欲望が先走って興奮して指名みたいな事してもうた。これは俺が悪いんやなくストレスのかかるこの世界が悪いんや。

ちゃうんやで。前に見た時豊かな母性強めな女性やったから兄妹にピッタリやんおもうたんやで。いやマジでマジで


「この前の……あぁ最初にお声がけして頂いた女性ですね」


「あぁそうかな。あんまりぃ覚えて無いんやけどぉその人かなぁ」


さっきは完璧に指名したのに突然の記憶喪失


「残念ですがその女性は先月に出てしまいまして」


な、ナイスバディが居らんなってもうてるがな。残念


「それでですね。本日はご予算は如何程でお考えですか」


「あ、あぁ。えと今日は金貨三百枚くらいで考えてるよ」


ショックで一瞬返事遅れてもうたがな


「三百枚で御座いますか。それで女性を御所望と言う事でよろしいですか」


「そうやで。あの兄妹もやっぱちょっと年上のそうやなぁ年上の二十歳位の女性の方が気持ちも安心すると思うんよな」


めちゃ早口になってもうたけどしっかりと特徴を伝える


「なるほど、なるほどです。そう言う事なら大きな母性に包まれてあの兄妹も気が休まるでしょうね。良くして頂けてるようで流石で御座います」


な、なんや。この良心の呵責がグサグサくる感じ。ワイ悪いおっさんやないよ


「ではこちらへどうぞ」


そう言うと奴隷商人が立ち上がり廊下に出て小さな階段を地下に降りだす


「あれ、商人よ。この前通った通路や無いんやな」


「そうですね。この前は別の通路でしたが、この先を抜けると特別な商品を置いているのです。今回は金貨三百枚と大変高額な取引になりますので至らぬところが無いように、最高の者をと考えております。お客様は特別ですよ」


ほーん。購買意欲をくすぐるセールストークしてくるやん。なんか特別とか貴方だけにとか言われるとのぼせ上がるのを上手に突いてくるやん。やるな悪徳商人め


少し歩くとここにも左右に牢屋があるみたいだ


「なあなあ商人よ」


「何で御座いましょうか」


「あのよ……この牢屋に入って寝かされてる子はどうしたんだ」


牢屋の中に一人寝かされてる少女が見えた


「この子で御座いますか。戦禍に巻き込まれた貴族の子ですね。一家全員戦禍にさらされ両親はお亡くなりになったのですが、この子は運良くと言って良いのか分かりませんが、その際賊に襲われ火災にあい片目と片腕と片足が欠損した状態で発見され応急処置を施され一命を取り留めた状態でどうにか命を繋いで居る状態ですね。私どもとしましても有力な人に頼まれて断れずに、いやはやどうするべきかを考え中なのですよ」


「そか。この欠損状態ってポーションで治らんのか」


「そうで御座いますね、エリクサー。そんなお伽話でしか出てこないお薬か、何処かの大本山に座すと言う最上の回復魔法を扱えると言う噂のある聖女様でも無いと欠損が治るとは聞いた事御座いませんね」


マジか。この世界限られた人しか欠損治す魔法使えんのか。そこら辺に居るヒーラーがオールヒール。パカー。みたいに欠損した部分も治りますねん。って世界やないんかい。命を呼び戻せとまでは言わんけど魔物倒しても捌かなあかんし欠損も気軽に治らんとかやたらハードモードな世界やん。そりゃあの蛇も倒しにくる人居らん訳やな。

マルロが大人十人で倒したって言うてたからかなり強い魔物やろうし、腕でも飛ばされたら気軽に治らんのならその先の人生大変やろからそりゃ人来ない訳やわ


「はぁ分かった。この子の値段いくらなん」


「おや宜しいのですか。この先に行けば大きな母性を持った女性も取り揃えてますが」


こ、こいつ。どう考えても前の兄妹買った時から、俺がこう言う悲しい感じの子供見過ごされへんって見抜いてるやろ!こ、こいつマジでブン殴りたい


そりゃよ無視しとけばええやん。って思うのも分かるよ所詮他人事やし異世界やし。この世界命の値段が安くって消耗品みたいに消費されて、力の弱い者から順に搾取される。意味は分かるよ。弱肉強食の世界やん魔物一つ倒せない力なき者が悪い、襲われても反撃出来る力が無いのが悪い。意味は分かるし理解も出来る。けどよ……感情が追いつかん。

幸か不幸かこの世界に飛ばされても、そこそこに力がある方やと思うし余裕がある。

これが俺になんの力も無く明日のパン一つ買え無い状態なら見捨てるってか、見ないフリして日々を過ごして行くやろけど。なぜかある。何か大きな意思で俺にもたらされたのか、はたまた偶然か、この世界に飛ばされた異世界人は皆さん貰えるのか分からんが、ある力も財力も。

そして見てしまった。だから見過ごせんし助けたい。

はぁ……ロウガの事チョロいとか言うとんのに、一番チョロいん俺やんけ。


「はぁ……まぁ今日はお姉さんの方はキャンセルや」


「そうで御座いますか。では金貨十枚で宜しいですよ」


「さよか」


あかんわぁ気が滅入るわぁ。こんなシリアスな感じ俺好きやないんやけども。折角の異世界、傷付く事もなく強い力で敵を薙ぎ倒し周りからチヤホヤされながら、これぞ異世界転移チート主人公ですわぁ。みたいな感じで何の悩みも無く明るく行きたいのに思うてたんとちゃうな。死ぬほどハードモードやんけとは言わんよ。どう考えても優遇されとるけども、なんか若干リアル成分多めやないか。魔物捌かなあかんとか欠損治らんとか。いや勿論リアルなんやで。ここは現実の世界で、皆さん生きてるんやし、どこぞのボタン押してリロードすりゃさっき亡くなった人が生き返ってるみたいなゲームでもないんやけども、思うてたんとちゃうんよなぁ。そんな事考えながらも奴隷商に金貨十枚渡して兄妹と同じ様に奴隷紋を少女に刻んでもらいお姫様抱っこして奴隷店を出る


「ハレオ様ありがとうございました。また御贔屓にお願いします」


「う、うむ」


何と無くの居心地の悪さを感じながら店を出て薬屋にダッシュする


「お姉さん、中級万能薬と上級ポーションちょうだい」


「はいよ。金貨二十枚だね」


「あらどうしたんだいその子」


「これ、金貨二十枚ね。聞くも涙、語るも涙な話しなんやけど成り行きでそこの奴隷商店でこうてもうたんや」


「へぇそうなのかい、なんだかわからないが毎度あり」


「ほれ少女よこれ飲んでみ」


少しだけ口を開けた少女に万能薬とポーションを飲ませる


「万能薬の方は身体光らんかったけどポーションの方は光ったな」


「まぁ小さい怪我でもあったんじゃないかね」


「せやでな。ところで欠損治す薬とか無いかね」


「あたしゃ薬屋歴長いけど聞いたことないね」


「ですよねー。んじゃまぁありがとさん。また寄せてもらいます」


一応の処置をして薬屋を出るのであった


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