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12. 狼の名は


狼に跨った男が草原に来ていた


「なぁ狼よ。ここまでの移動中に名前考えたんやけど、どれが良いかね」


「どれだ」


「第一候補がマキシマムプラチナキングウルフドンやな。狼の毛皮白銀やし王たる威光がムンムンに感じられる良い名前だわな。

第二候補がスクリームウルフやな。これは前口上があって誰かに何故その名前なのですか。って聞かれた時に、我が王たる威光の前では生きとし生けるものは膝をつき首を垂れるそして恐怖し驚愕し叫ぶ。呼べ我が名を。我スクリームウルフ也。

どうよ。ビシビシ決まってると思わんか?

んで最後の候補が狼牙でロウガね。

どれが良いかね」


我ながら凄く良い名前の候補が出揃っとるの。特に第二候補がメチャおすすめやわな


「他は無いのか……いや待て。最後のロウガで良い」


「え。俺的には第二候補がめちゃおすすめなんやけども」


「ロウガで良い」


「第二の……」


「ロウガで良い」


「そうか……んじゃロウガって事でよろしく」


なんや王って割には保守的な名前選んだな。第二候補すげぇ良かったのになぁ残念


「んじゃまウサギでも狩るか」


「ウサギの様な弱い魔物を狩るのか」


「おう。この袋に四匹入るからそんくらい狩るぞ、それでさっき飲んだ酒八杯分だ」


「我はそんな小物狩りたくないぞ。強き魔物の方がハレオが言う硬貨をいっぱい貰えるのでは無いか。あそこに見える森の深くまで入れば強そうな気配の魔物が居る見たいだから行くぞ」


森か…… 歩くの面倒だったから行ってなかったんよなぁ。まぁ自力で歩く訳ちゃうしええかな


「まぁそうなんやけど。それなら行ってみよっか」


「よし乗れいくぞ」


「はいはい」


軽く返事を返してロウガは速度を上げて走る。鬱蒼とした森の中に突入し原付のアクセル全開位の速度で駆けていく


「おいおいすげーな。この速度で森の中走れるとか尊敬するわ。さすが四本足やな安定感が違うわ」


俺のヨイショが効いたのか更に速度が上がり少し進んだ所でスッと止まる。するとロウガが


「見ろ蛇だ。あれなら食いでがあるぞ」


「でっか!いや蛇言うても何メートルあんねん!

太さ一メートル位あって長さ十メートル以上あるやんけなんやねん」 


「あれ位なら何処にでも居るだろ。お前はここで見とけ」


あれ位って俺にして見りゃ初見だわ。

そんな事言いながらロウガは散歩に行くが如く蛇の方へ進んで行く


「いやまあ今武器無いからなんもできんねんけどってもう行っとるがな」


蛇がロウガの方を向き威嚇なのか攻撃の予備動作なのか鎌首をもたげ喉の辺りが膨らみ出した時に、ロウガが前足を軽く振る


「ほれ頭を爪で落としてすぐだ」


ドシンと音を立てて首が落ち、頭が無いと気付いたかの様に体の方が少しの間グネグネと動いていたが、静かにその動きを止めた。


「凄え攻撃力やの。ええなぁ。けどなロウガさん頭と体が泣き別れして倒したまではええんやけど、これどうやって持って帰ろっか?

袋には入らんし考えてなかったな。空間魔法みたいなやつで収納とか出来るの無いんか」


「我は魔法全般使えるが収納は使えぬのだ。獲物は倒したその場で食うから収納などいらんしな」


魔法全般使えるとか羨ましい限りでございます。魔法の使えない僕に対してのマウントかな? 怒っちゃうよ!


「ええ。これどないして持って帰ろうかな。つーか今食わんのか」


生肉好き男君やし食うんかな?


「我はハレオが目覚めるまでに、人種に肉の貢物を献上させてたのだが、調理した肉が存外うまくてな、だからこの肉を調理せよ。生でも食えるが調理せよ」


なんて無茶振りを素でしてくる


「調理せよやないわ。調理言うんはな調理専門の人がやるんや簡単なのは俺にでも出来るけど。ギルドまで持って帰れば捌いてくれるやろうけど……

待てよ。鎖よ! 出して頭に刺す! ん。お亡くなりになると刺さらんのか? 

鎖様めちゃ強やけど生命活動しとる間しか刺さらんとか使い道がやたらピーキーやの。ええ作戦やおもうたのに。

うーん。ロウガこの蛇咥えて引きずりながら走れるかな」


「それくらい造作もないが二つは無理だぞ」


「やでなぁ。頭か体か……どっちの方が価値高いんやろ。頭のほうが良さげやけど、皮の観点から考えると体か…… そうやな体にしよか」


「造作も無い。決まったのなら早く戻るぞ硬貨にするのだ」


硬貨硬貨って酒好きかよ! 俺も好きやけどな!


「んじゃ体の方持って行くか。頭は放置や! ほなよろしく」


「では乗れ行くぞ」


俺が乗ると蛇の体に牙を立てて引きずる様に走り出す


「蛇の体咥えながら森の中走っとるのにめっちゃ早いの。俺が森走った時は木の根っこで走りにくくて速度出んかったのに流石王様やの」


「……」


「蛇咥えとるから喋れんか」


一方的な話しかけをしながらひた走ってると、何時もの門と門番が見えて来た


「うーす。おつかれーっす」


軽く挨拶して通ろうとすると絡まれる。なんかこの門番やたら俺に絡んでこうへんか?俺の事好きなん?


「まて。なんだその大きな蛇みたいなのは」


いやこんなデカい蛇引きずってたら普通に気になるか。


「森の奥の方で取ってきたねん。今からギルド持っていくわ。じゃあ」


そう言うと素早くダッシュして必殺城門突破や


「じゃあじゃ無い……行ってしまったか」


ギルドまで蛇を引きずり到着すると


ミーアとデカパイのベルがキラキラした目でこっちを見てくる。ベルっていうのは、この前美人エルフが犬族受付嬢の事そう呼んでるの聞いて名前知ったんよ。そのベルちゃんとミーアがこっち見とる。

いや……ロウガの事ガン見しとる


「ミーア帰ったで! お前の為なら俺はこんなデカい蛇さえ倒す事ができるぜ」


「…… 」


なんか反応無くなーい?


「あれ。無視なんミーアちゃん」


「狼様。狼様がこの蛇倒されたのですかニャ」


あれ? 俺には様付け無いのにロウガには様付けだと?格差社会かな


「うむ造作も無い」


「ミーアよ。その狼は先程俺がロウガと言うナウい名前を付けたところだぜ」


「…… 」


「え?ニ連チャンで無視? 」


なぜか犬族受付嬢のベルが受付を超えてこちらにくる


「ロウガ様。ロウガ様の威光を讃えお身体に触れさせて戴きたいのですがよろしいですか」


ベルちゃん。威光を讃える事とナデナデしたいは矛盾してなーい?


「うむ触れる位悪意が無いのなら許そう。なに我は一柱の王である。小さき希望を無下にするほど狭量では無い。触るが良い」



「ありがとうございます! ふぁぁぁ。フカフカですぅ。ここで眠りたいぃ」


「犬族の娘よ。俺の事も触る事を許可しよう」


「ロウガ様ありがとうございますぅ」


今日は良く無視されるなぁ


「ふむ良い。してハレオ。この蛇あやつの所に持って行かないのか」


「勝ったと思うなよ」


悔しくなんか無いんだからね!


「何がだ」


「ふん。買い取りのにーちゃーん。蛇持ってきたで。これ買い取れる」


「でかいな。一人じゃ運べないから人呼んでくるわ」


買い取りのにーちゃんが裏に引っ込んで人を呼びに行って戻って来た


「今回はウサギじゃ無いんだな。この蛇はBランクのブラッディースネークだな。あまり持ち込まれる事ないんだが。まぁその狼なら狩れそうか」


「なんの騒ぎだ」 


地下から上がってきたギルマスを見てハレオは、この筋肉また訓練所で体動かしてるんかよと思った。

たまにギルドで顔合わすと俺に訓練しないのか。とか言うてくるから怖いんよな


「ギルマスこんちわ。今蛇買い取って貰おうとしたら騒ぎになっちゃってメンゴ」


「お前か…… それと狼か」


地下で新人共に訓練を付けてると上が騒がしいから来てみれば。狼とハレオが騒いでいた。

あれはBランクパーティー以上じゃないと狩れないブラッディースネークじゃないか。ハレオの方が倒したとは思えんが狼が倒したとなると、あの時友好的に接しておいてよかったな


「騒ぎが大きくなる前に買い取ってやれ」


「ギルマスあざーす」


話しの分かるギルマスは好きやでぇ。これからも頼むで。特に厄介事になった時よろしく


「頭部が無いとは言えBランクの魔物だから金貨五十枚だな。儲かったなウサギのにーちゃん」


「ご、五十。へへへすげえ高いのな。じゃそれでよろしくでーす」


へぇ…… 突然の大金とか。異世界転移主人公してるやん。来たな俺の時代がよ


「ちょっとまってな」


あ。肉だけ捌いてちょうだい言うん忘れてたけど、もう面倒臭いからええわ。誰が今から肉焼かなあかんねん。ギルドのバーで飯売ってるしそれにするわい


「ほら金貨五十枚だ」


おお! 袋パンパンやがな。中身確認したら金貨一杯やぁぁぁ


「ありがとさん。ロウガいつまで獣人族にチヤホヤされとんねん。ちょっとこっちこいやワシャワシャ」


「なんだハレオ気持ちが悪いな」


「いや…… ベルちゃんの匂いせーへんかなーと。ふへへ。なんか臭いなお前風呂入ってるんかって……俺も当分入ってへんわ。おれの部屋風呂付いてへんのよな。風呂付きの部屋とかあるんかの。まぁええわ、宿のオヤジに聞くか。取り敢えずこっちやロウガ」


大金を持ってウキウキしながらバーの方へ


「マスター。ワイン十杯よろしく。金貨でよろしく」


「まってな」


そう言い後ろでガチャガチャするマスター


「ほれ取り敢えずワイン五杯と、お釣り銀貨七枚だ。あとの注文はそれ飲み終わる位に出してやるよ」


「サンキュー。くはぁ。ウマー。労働の後の一杯はうまいわい。ほれロウガ口開けてみ。ゆっくり流すからな溢すなよ」


素直に口を開けるロウガ何だか餌付けみたいやな


「やはりうまいな。ハレオ次早くしろ」


餌付けしてもろーとんのに偉そうなん何なん


「わしゃ介護職員か。まぁええわほれアーン」


「ふふんふん」


「ごきげんかよ腹減ったし飯も食うか。マスターなんか食えるもんもちょーだいよ肉系で」


「あぁ待ってな」


そう言いまた後ろでガチャガチャしとる


「次」


「はいはい」


「ほれ、そっちの従魔は良く食うんだろ。十人前のカウ肉の野菜炒めだ。一品銅貨五枚だから銀貨五枚だな」


「カウ、魔物かな。銀貨五枚か割と食費かかるなぁ」


「Fランクの魔物だなうまいぞ」


ふーんFランクねぇ。俺よりランク高いやん。負けた


「おおうめえ。牛肉みたいな味やな。ほれロウガ肉だってよ食ってみろ」


ホークに刺した肉を口の中に運んでやる


「この肉もうまいな。人種は肉を美味くできるんだな。ハレオ次の酒だ」


「こう言うの作るの上手い人がおるんよ。ほれあーん。いやこれめんどくさいな。金あるし魔物捌ける人とロウガに飯食わす人雇うか」


「次だ」 


へいへい。よー飲み食いしますねぇ


「ほれ残りワインだ」


「マスターありがと。ロウガほれあーん。はぁ可愛い女にあーんしたいわ」


「美味い」


「それは、ようございましたなぁ。ほれあーん」


久しぶりの賑やかな食事を取り。ギルドを後にして宿屋に帰りオヤジに風呂付きの部屋あるんかって聞いたら、銀貨五枚の部屋なら付いているぞ。って事でその部屋を取って、その後狼泊めれるとこあるかと聞いた所、馬房なら今空いてると言われたのでそこにロウガを押しこんどいた


めちゃくちゃ文句言ってたけど貴方ねサイズ考えなさいよ。大きさ的な意味合いで俺の部屋に入れる訳無いでしょーが。ロウガの言い分は無視した


久しぶりに風呂に入りすぐに寝た。

あ。ちなみに魔石でお湯溜めるタイプだったので宿のオヤジに溜めてもらった。オヤジ嫌そうな顔してたなぁ。がんばれ。



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