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11. 服ゲットだぜ


「取り敢えず服を何とかせなあかん」


ギルドでミーアをからかったラクオは狼を後ろに引き連れ目的地の方へ歩いていると狼が


「我は衣纏って無いぞ」


そう言い放つ酒好き狼にハレオは


「その狼あるあるもうええねん。あれ、こっちかな」


「まだ狩りに行かないのか」


眉の辺りに皺を寄せて不機嫌そうな顔で言い放つ


「その前にちょっと行く所があんねん」


狼の不機嫌さなんてどこ行く風で聞き流したハレオは、町中を進みやってきたのは金貨一枚を借りてる商人ジルの所だ


「すんませーん。ジルさん居てますか」


店に入ってすぐの所で商品整理っぽい仕事をしてる、痩せ型の店員さんにそう声を掛ける


「どちら様ですか」


商品整理をしてた店員は声を掛けられ客を見た瞬間一歩後退った。

この客全裸だ……前を手で隠しているとは言えまごう事なき全裸だ。しかも凶悪そうな魔物を後ろに連れてる。

全裸と魔物…… 衛兵を呼ぶべきか


けど会長の名前言ったよねこのお客さん。と思い通常対応に切り替える事が出来た自分を褒めてやりたい。


今日、会長に来客が有るとは聞いて無い。

しかし居ますかと聞かれた以上、会長のお客様だった場合自分が困る。どうしようかと考えていると全裸が


「この前お世話になったんですが、ハレオが来たって伝えてもらえますか」


名前を名乗った以上会長に聞かない訳には行かないので


「はぁ。少しお待ちください」


少し訝しげな返事を返して、二階に有る会長の部屋まで足早に向かう


「此処で酒が貰えるのか」


店のちょっと空いたスペースに我が物顔で伏せ、前足に顎を乗せながらハレオに喋りかける


「なんやアル中かよ。ここには俺の服を調達するべく来ただけや」


「つまらん早くしろよ」


「酒以外に興味あらへんのかよ」


「今の所無いな」


「太々しい狼やで。今までどんな教育受けてきたねん。王やからか王やからなんかーい」


「ふん」


「お久しぶりですねハレオ殿。その後どうですか」


狼と戯れついてると奥からジルさんが現れた。

なんか…… 可愛くなってきたな狼よ! ワシャワシャ


「お久しぶりですね、ボチボチやれてるって感じです」


ハレオ殿久しぶりに見ましたね。冒険者としてウサギ狩りに勤しんでると聞きましたが、後ろに居る狼は草原に居座ってた狼ですね。

なるほどハレオ殿が関係していましたか。


「それは良かったです。今日はどうなさいましたか。それにその狼はどうなさったのですか」


「今日はですね、ご覧の通り裸一貫やり直す事になりまして比喩の方の裸一貫じゃ無くマジの裸一貫です。

それでジルさんのお店で服とか売って無いかなと来た所存でありまーす。

それとそこの狼は従魔っぽい何かです」


従魔ですか冒険者を始めて二月程で強そう、いやかなり強いんでしょうね。そんな狼を共にするとは、やっぱり不思議な方ですね。


「そうですか。私の店も手広くやっているのですが服は売って無いのですよ。商売にしてしまうと服屋がうるさいので」


そっか…… 店に入ってグルっと見渡したが見当たらんもんな。

第一案であるちょっと服を融通してもらう作戦から切り替えて第二案でお願いするしかねえ。ちょっと服代貸して貰えませんか作戦に切り替えや


「そうですか。それでご相談なのですが……」


「なるほど。本当に裸なので先立つ物が無いと」


流石。一流の商人っぽいジルさん、いやジル様。裸の俺が困ってるの見抜くとは。カナリやり手やな


「そうなんですよ……で、ご相談何ですがお金貸してください」


「ふむ。良いですよ最低限の服なら金貨二枚もあれば揃うでしょう。ちょっと待ってて下さいね」


そう言い後ろの事務所っぽい所に入って行って


「はい、これ金貨二枚です。通りを少し進んだ所に安目の服を取り扱ってる店がありますので、そこがよろしいかと思います」


「あざーす。でも良いんですか? 最初の金貨もそうですけど、こんな何処の馬の骨か分からない怪しい人間に此処までしてもらっても」


いやマジで。俺としてはすんごく助かるし勿論返す気満々やけども、こんな裸の男にホイホイ金渡すとか心配しかないわ。自分の事こんな風に言いたく無いけど俺……不審人物やと思うで


「ハレオ殿。こう見えても私は商売柄人を見る目はそこそこにあるのですよ。

最初に出会った草原で上半身裸と言う風体なのに身をやつした雰囲気でもなく、盗賊の類いに落ちた者の目付きでも無く、只々困ってると言う言葉通りに見える男。それに手が凄く綺麗なのを見て貴族様かとも思いましたが貴族でも無いと言う。不思議でしょ?

その時に何かこの先可能性の芽みたいな物があるんじゃ無いかと思い少しばかりのお手伝いを申し出たまでで、ご覧の通りハレオ殿は二月もしないうちに見た事も無いような大きな狼と共に私の前に現れました、この先も大きな事を成すと私は思っております。その時に私の商店をご贔屓にしてもらえればこの商店にも大きな益がもたらされると私は考えているのでハレオ殿、気にしなくとも良いのですよ」


期待大き過ぎへんか。俺そんな大それた目標とかも無く生きて行くつもりなんやけど。

まぁ俺みたいな人間に良くしてくれてるし相変わらずええ人やな……拝んどくか。

狼にもジル様の尊さを教えとかなあかんのぉ


あかん……我王であるみたいな顔してあくびしとるわ。まっええか。


「ありがとうございます。なんとかご期待に応えれるように頑張る所存でございます」


全裸の男と年嵩の商人がカウンターを挟んで握手するのであった。傍目から見ていた店員はなんとも言えない視線を送っていた


「では行ってきます」


「お気をつけて。またいらして下さいね」


「はーいありがとでした。でっかい男になってまた来ます」


感謝しながら店を出ようと眠そうにしてる狼に声を掛ける


「おい寝てんじゃねーよ。時は満ちた! 行くぞぉ! 」


「やっと終わったか酒はまだか」


「まだ何にも狩って無いでしょーが。行くぞ! 俺に着いてこーい」


「ふん」


そう言いノソノソと起き上がった狼と手で前を隠した全裸の男が通りを歩いて居るのを、すれ違う住人が怪訝な目で見ていた。


善良なる住人の皆さーん不審者や無いですよ。偶々服着てないだけで危険は無いですよ。と心で思いながら歩いていると


「ここやなジルさんが言うてたんは。狼よこの店小さいから入り口で待てしといてや」


「まだ狩りに行かんのか長いぞ」


そんな不機嫌そうな顔で言う狼に


「そんな事言われても人間は服着とかな衛兵さんて言うのにしょっ引かれて牢屋に入れられてしまうんよ!

俺がしょっ引かれたら明日からのご飯食べられへんようになるで」


「そんな事我は知らん」


喉を鳴らしながらそんな事を言いだす

 

「此処で最後やからもうちょい待てだな」


「ふん我はここで休むとする。早くしろよ」


そう言いながら店の扉の前を塞ぐ様にして伏せる狼


「店の入り口塞いどるやん、どんな教育受けてきとんねん。まぁすぐ済むやろーからええか。

文句言う奴おっても狼が威嚇でもすりゃ逃げて行くやろ。俺は知らん」


「どーもこんちは。服くーださい。全身分の服くーださい」


店に入りカウンターに立ってる恰幅の良いおばちゃんに声を掛ける


「いらっしゃい。って何だい入り口の大きな動物は、アンタのかい? あんな所に居たら商売上がったりだよ避けてくれないかい」 


「俺の共なんやけど、すぐ出るから勘弁してーな。それより服くーださい」


おばちゃんマジな話しアイツあんまり俺の言う事聞かへんねん。そのうち躾けしとくから堪忍やで


「まったく変な客が来たよ。しかも全裸で来た奴は初めてだよ。で……どんな服が要るんだい」


「着れたらなんでも良いよ。予算金貨二枚で全身コーディネートでよろしくぅ」


「コーディネート? よく分からないけどその姿見る限り全身の服を金貨二枚で揃えたいって事かね。そうだね……タグ下げてるって事は冒険者かい」


「それそれ。全身でよろしくです。自分新進気鋭のGランク冒険者のハレオでーす」


「新進気鋭。よく分からないね。まあいいか冒険者なら上着はこれでズボンはこれ後はこのベルトだね。下着も要るね、まぁこれだね。靴は、うーんブーツじゃ予算超えるからこのサンダルしか無理だね、これで良いかい」


「良い良い。兎に角裸からの脱出を可及的速やかに済ましたいだけやから、これで良いよん」


「じゃ合わせてみな」


やっぱ元の世界に比べてってか比べたらあかんねんけども。肌触り悪いわ。服装関係に詳しく無いけど素材が元の世界とちゃうんかな。

それとも単純に手縫いやからか、それとも糸の作り方とかかな。謎だわ。

もっと服装関係を勉強しとくんやったわ。そしたらペロッ……この糸は……こう言う風に使うと、肌触りが良くなります! オオッ! とかゆーて儲けれたかも知れんのになぁ。残念。


「サイズ大丈夫やからこれ貰うわ。じゃあこれ金貨二枚」


「はいよ毎度あり。次からは入り口塞ぐんじゃあ無いよ」


「へいへい次からは気を付けるよん。じゃありがとね」


そう言い外に出ようとしたら狼が邪魔だった


「ほれ。終わったから行くぞ。見てみろこの現代人にパワーアップした俺を! てか退いてくれ出れん」


謎素材のカーキ色の長袖とカーキ色ズボンと謎皮で茶色のベルトと同じく謎皮で茶色のサンダル。中々この世界に溶け込んどる服装ちゃうかな。良いだろう。満足じゃ。


あ。ナイフ買うの忘れたわ。自分で止め刺されへんやん……まぁええか狼が頑張るやろ


「遅いぞ」


「早い方だわ。んじゃー狩りに行くで! つーか乗せてくれぃ」


「仕方ないな」


そんな他愛ないやり取りを狼としながら草原の方へ進んで行く。

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