限界突破 吸血鬼化
さて、残るは吸血鬼化の強化の確認だけだ。これは相当気合い入れないとな。そもそもうまく扱えないスキルを克服できればもっと強くなれる。得意を育てることも大事だが、苦手をなくすことも大事だ。
(小僧、先に行っておく。今回、そのスキルの使い方には気を付けろ。突然強くなったスキルは暴走することが稀にあるが、今回の場合ほぼ確定で暴走するだろう。気を抜かず、しっかり対処しろ。わかったな?)
(了解。頑張るよ)
ベルにそこまで言われると少し緊張するが、気張りすぎずに行こう。よし、やるぞ。
「スキル 吸血鬼化 発動」
そう唱えた直後、体が沸騰したかのように熱くなった。声も出ない程痛く、苦しい。これが副作用か。体内の血が暴れている。落ち着け、大丈夫だ。耐えれる。俺ならできる。耐えろ耐えろ耐えろ!
「うぉぉぉぉ!!!」
無理やり声を上げ、副作用に全力で耐える。数秒後、全ての副作用が収まり、一息つけるようになった。今まで感じた中の痛みで一番つらかったと言える自信があるが、何とか耐えれるラインだった。痛みが強いというよりかは体内の意識が奪われていくような感覚で、何とか耐えないといけないという感じだった。
(小僧、よく耐えたな。これでまた一段とお前の強さは増した。吸血鬼化を使ってみろ、おそらくだがすべての能力において上昇しているはずだ)
(わかった。だけど、ここでやらないほうがいいよね?)
ここは拠点の訓練場だし、もし破壊したら面倒だし。
(いいや、大丈夫だろう。最悪アルスに直してもらえばいい。外で使う方が多くの魔物を呼び寄せる可能性がある。どちらかと言えば室内でやるべきだろう)
(わかった)
正直、動きを見るんだったら魔物倒した方がわかりやすいんだがな。まぁ仕方ない、じゃあ早速やってみるか。
そう思い軽くジャンプしてみようと足に力を込めた次の瞬間、体が浮くような感覚がした。というか浮いていた。
「……え?」
「りーん、作戦について話したいことがあるんだけど……って、えぇぇぇぇ!!!り、凜浮いてる?!」
「お、おう。なんか、飛んでる」
これ、どうやって下りればいいんだろうか。




