ラルクの実力
開始早々、距離をギリギリまで詰めてくるような奴らには、カウンターを狙ってくる習性がある。挙動に隙があるように見せ、そこを狙ってきた敵をねじ伏せるのだ。さて、これの対処法だが、カウンターに移行される前に仕留める。何よりも早く、一撃で終わらせる。
だがこれは実力を見極めるための物でもあるし、もう少し動きを見てみようと思う。
「うぉぉぉ!!二式 地粉砕!!!」
そう叫び、唐突に剣を床に突き立てた。突如、俺の足元から先端のとがった岩が突き出てきた。刺さったらとんでもないことになってたぞ……。でも、今ので分かった。初撃の閃光といい、今の技もそうだが魔力にだいぶ頼っているな。実践で扱いやすく、不意を突いて敵を倒すためのような技。見る限り、とても剣技とは言えない。ほぼ魔法だ。
「三式!怒気斬」
「……は?」
一式、二式とは全く異なるエネルギーの質。魔力じゃないから魔力強奪でも奪えない。まずい、死ぬ。
「四の型 桜影」
俺は咄嗟に技を発動し、斬撃を受け流した。……なんなんだ今の。俺の知らない類の術だ。さっきの一と二は全て魔力を使ていたのに、急に雰囲気が変わった。
「アルフレッドさん、強いですね。これなら、本気でも大丈夫そうです」
「……別にどうしてくれても構わないが、やるなら最初から本気で来いよ」
「申し訳ありません。じゃあ、こっからは本気で行きます!」
そういうと体に真っ赤なオーラを纏い、さっきと同じ一式を打ち込んできた。
「四式 憤怒の炎刃」
手に持っていた剣に真っ赤な炎が宿り、その炎を飛ばすように攻撃してきた。受けるのは簡単だ。だが、こっからどうやって近づくかだ。
……あまりこういうのは好きじゃないが、少し煽ってみるか。
「おい!距離とって戦ってばっかで、首を取れんのか?さっさと詰めて来いよ!」
「……わかりました。では、お言葉に甘えて。
五式 火龍斬り」
「ぐっ!!」
ギリ首前で止めたが、一撃が重い。というかなんでこの技だけ名前日本語なんだよ。英語で統一するならしろよ。
……これくらいでいいか。もう十分データはとれたし、実力も大体わかった。これなら、試験を終えても問題ないだろう。
「いい一撃だった。お礼に、俺も最高の一撃をお見舞いしよう」
「こい!!どんな技でも受けて立ちます!」
威勢は変わらずいいんだな。だが、もう見たいものは見れたし十分だろう。じゃあもう、一撃で仕留めよう。最速、最強の一撃
「乱桜流 一の型 零桜」
「なっ!!!」
俺が放った最速で最強の斬撃は、ラルクの首筋をかすめていた。




