問題児
騒ぎが起きている方へ向かうと、何やら刀を抜いた篠川君と、余裕そうに構える赤い髪色の少年が立っていた。フィジカルはまぁそこそこに強そうだが、最強と言われてピンとくるようなイメージはない。
魔力も見た感じだがそこまで飛びぬけて多いとかではない。あまりにも普通だ。普通故に、不気味だ。篠川君と戦おうとしているのに一切の恐怖心を見せない。それどころか、隙だらけの構えをしている。乱桜流の剣技であれば、即座に首をはねられておしまいだろう。
自分が剣を向けられているというのに、安心している。自分は絶対に死なないというような面構えをしている。……危険だな。何かが起きる前に止めるか。
「はい、そこまで。君たち、俺のギルドで何してんの。加入前から問題起こすのとか、面倒だからやめてくれ。それで、何があったんだ?篠川君」
「はい、それなんですが……。簡単に言うと、道場破りみたいなものです。まだだれ一人として戦ってはいませんが。以前、僕とアルフレッドさんで戦った時の班に居合わせてたらしいんですが、その時の剣技を見てぜひ手合わせを……と言う事です」
手合わせしたいだけかい……。変に深読みしちゃったよね。まぁいいか、手合わせくらい。
「なるほどな。教えてくれてありがとう、篠川君。それで君、名前は?」
「はい!自分はラルク・エイバンと申します!以前拝見させていただいた剣技に見惚れ、ぜひ手合わせを申し込みたいと思いはせ参じました!もしよろしければ、こちらのギルドに加入させていただけないでしょうか!」
お、おぉ……。気迫だけで若干気圧されるな。だがまぁ、ひるんでいたところで何にも変わらないしな。
「わかった。だが手合わせはまた今度にしてもらってもいいかな?君らのせいで、後ろにかなりの人だかりができている。うちのギルド、意外と人気らしくてさ。二人にはもう手続き書を渡すから、先に中で待っていてくれ。じゃ、またあとでな」
そういうと俺はすぐに華たちがいる方へと向かい、細かい事情を伝えに行った。。それから、厄災の封印についても考えないとな。




