レーヴァテイン
「移行 モード白狼」
正直、魔法で一掃した方が簡単だし早く終わる。でもこれはそうもいかなくて、一匹一匹の素材がめっちゃ高く売れる可能性がある。
それにこの異常事態を証拠として残すために何匹か持って帰らなきゃいけなさそうだし。正直めんどくさいが、やるしかない。亮に手伝ってもらおうかな。魔力はまだ無事そうだし。
俺は一旦血界を解除し、亮を呼んだ。
「亮!!生きてるか!?」
「うん、大丈夫!状況は?」
「BからSのやつらが約200体。あとは殺した。行けるか?」
「まっかせといてよ!僕もうやることなくて暇だったんだから!」
「暇だったなら、村守っててくれ?」
「住民と低ランク冒険者を避難させてたの!そんなこといいから、やるよ!」
「はいはい、わかったよ」
俺は亮の動き出しと同時に反対方向へ行き、魔物めがけて突進した。この状態、白狼モードは肉体強度が跳ね上がる。おかげでAランクの魔物を一撃で倒すことができる。
まぁ、火力的には吸血鬼の方が高いんだけどさ。ただ接近戦においては確実にこっちの方がいい。まぁ言わなくてもわかっているだろうけどな。
「いっくよー!聖剣術 世界を焼く剣」
亮が剣をふるった瞬間、炎の斬撃がはなたれ、亮をめがけて走っていた魔物たちはあっけなく両断されていった。
……馬鹿げてるなぁ。異常だろ今の技は。超速の炎を纏った斬撃が飛んでったんだぜ?いやどういうことだよ。……でもなんか、できる気がする。シンプルに魔力操作がしづらい状況だが、ちょっと頑張ってみるか。
まずは爪に魔力を込める。斬撃は、風を割くように速くイメージしろ。大丈夫だ、ゆっくり。纏わせるのは炎の魔法。切れ味をよくするため、もっと鋭く。爪に沿って三本出せるようにイメージしろ。
…………来た。
装備していた爪に炎が宿り、腕の振りに合わせて三本の斬撃が放たれた。
「レーヴァテイン!!!」
放たれた斬撃はいとも簡単に魔物を貫通し、燃やし尽くした。正面に立っていた魔物たちの数約70。
そのほとんどが、Sランクに識別される物であった。
「もったいないことしたなぁ…………。もうあとちょっとしか残ってない。それと、この技も封印だな」
この技は亮が使うだけでいい。正直こんなの連発してたら先に体が壊れる。
……よし、考えるのやめ。まずは目の前にいる魔物を倒そう。




