表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

74/103

指輪の実験

翌日、朝早くから俺は一人で訓練場にいた。今日やるのは、この白狼の指輪の力を調べることだ。それと、刀で戦うときの体の調整だ。正直この指輪は何が起きるのかわからない。刀も正直どんな力が込められているのかわからない。


試さないとなんもわからないから、とりあえずやるだけやろう。なんか爆発とかしそうだったら即結界発動だ。


まずは魔力を流してみる。すると、指輪の模様の線に沿って少し青く光った。だが、直ぐに光は消えてしまった。


どうする?もっと多く魔力を注いでみるか?それとも、魔力を白狼族に寄せてみるか?それともほかに条件があるのか?一旦冷静に考えよう。まず、白狼族の特徴からだ。


近接に特化し、魔力の保有量はそこまで多くない。むしろ多種より少なく、基本は肉体強化等フィジカルだけで戦う。そう考えると、魔力の消費をバカみたいに多くする必要はなさそうだな。


となると次は、魔力の質を白狼側に寄せてみることだ。取り合えずやってみよう。


「移行 モード白狼(フェンリル)


この状態になると魔力を操る感覚がかなり鈍る。理由は単純で、自分を完全な白狼種に移行しようとすると、近接特化の体になってしまうからだ。まぁ見た目に影響はないけどさ。


この状態で魔力を流したらどうなるのかやってみるか。白狼族の魔力を指輪に流し込む。すると、さっきよりも光が強く長く反応した。だが、その光も時間がたつと消えてしまった。


「……どうすりゃいいんだ?」


ただ魔力を流すだけじゃダメなのか。もっと構造とかも見てみるか。見た目は白銀の普通の指輪で、側面に二つ赤と青の宝石がついている。指輪の上には狼が彫られている。この宝石も関係あるのだろうか。赤と青。俺からすると、吸血鬼と白狼のように感じる。まぁただ目の色がそうなってるってだけだがな。それに、この二種族は母さんと父さんを除いて全く関係がないから、わざわざ吸血鬼をイメージして宝石を埋め込むことなんてないだろう。


困ったな。このままだとなんもできずに終わるぞ。どうしたものか……。


……この指輪に宿ってる魔力、全部奪おうとしたらどうなるんだろう。一回やってみるか。


魔力強奪(ヴォルロス)、奪え」


小さな黒い霧が指輪を包み込む。白狼の魔力が徐々に吸い出され、指輪が霧の中からすさまじい光を放った。その時だった。


「なっ!」


俺の体に白狼族の魔力が一気に流れ込み、その勢いも収まることを知らないようだった。このままじゃパンクするな。魔力強奪(ヴォルロス)、この魔力を全て奪え」


流れる込んでくる魔力を止めるため、魔力強奪を発動しずっと奪い続けている。……いつになったら収まるんだこれ。奪えば奪うほど出てくるぞ。


…………そうか、わかった。昔母さんに聞いた話で、こういうのがあった。大昔、黒龍に襲われた白狼族の村をたった一人の白狼の戦士が守り切り、黒龍を退治したという話だ。その話に出てくる英雄は、白銀の指輪を付け、大魔法を使い黒龍を怯えさせその肉体で黒龍の鱗を貫いたと言われている。


大魔法なんて普通の白狼族じゃ使う事なんて不可能だ。だが、この指輪があればそれが即座に可能になる。これは恐らく、無限魔力炉なんだ。無限にあふれる魔力を止めるには、この赤い宝石に白狼の魔力を流し込む。……やはり止まったな。青く光り続けていたのは、青色の宝石が魔力を生み出し、赤がそれを止めるための魔石になっているんだ。


……いや馬鹿かこれ作った人。こんなもん世に出回ったらどうするつもりだったんだ?無限に魔力が使える魔法の指輪なんて、世に出たら大問題だろう。だから母さんは隠しておけって言ってたのか。なるほどな。


まぁ、これで指輪の使い方はわかった。次は、この吸血鬼の刀。こいつの特性は少し知ってる。使うには特に種類関係なく魔力を流す必要がある。だが使用できる者は吸血鬼のみで、他のものが使おうとしても鞘から出すこともできない。


……まて、この組み合わせならいくらでも刀使えるんじゃないか?


とんでもないことに気づいてしまったぞこれは……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ