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活動開始


 「おーいアルー!そろそろ起きろ!もう9時になるぞ!」


……あ、やばいなんも考えてない。というかこいつらまだ横にいるのかよ。まぁいいか、動けるように放ったし。


「あー、ごめん!すぐ行くから!」


二人も起こさなきゃな。と言うか起きるのか?さっき起こそうとしたけど全然起きなかったし。


「おーい、二人とも!もう起きないと遅刻するよ!……どうなっても知らないからな」


こいつらを起こすのに一番効果的な物。それは、くすぐることである。


「起きないなら、知らんからな」


俺は無言でくすぐり始めた。最初の方は反応がなかったが、徐々に目を覚まし始めた。華のわき腹をくすぐり続け、約15秒。


「……ん、ちょ、凜?まって、めっちゃくすぐったい!ね、ちょっと、マジで!ねぇ!」


「俺は知らんって言ったからな。起きなかったお前が悪いぞ」


「ねぇ、起きたって!だから、やめ、ねぇ!」


ずっと笑いながら頑張って息を吸っている。さすがに死にそうになってるからこの辺でやめるか。


「っはぁ、はぁ……もう!ほんとに苦しかったんだからね!」


「ごめんごめん。まったく起きなかったからさ。さて、あとは亮だ」


「私も亮にやろかな」


「俺は前にやられたから、仕返しの怨念も込めて俺は顔が限界を迎えるまでやめん」


前に足裏をぐりぐりされくすぐられてからその仕返しを企んでいたのだ。さて、どうしてくれよう。


「ん……あれ、二人ともおはよ~、何してんの~?」


「あ、起きた」


「問答無用。起きたなら寝かせるまで」


またしても俺は無言で亮のわき腹をくすぐり始めた。それに便乗した華は、足裏をこちょこちょし出した。


「え、ちょなになに?きゃあ!!」


くすぐったさを堪えるため身を小さく丸めようとするが、そんなの許さん。絶対に限界までやってやる。


「ねぇちょっと、ごめんって!やめて!ねぇ、前やったことなら謝るからぁ!!アハハ、ちょっと!」


笑いながら涙を流しているが、もはや楽しんでんな。もうやめるか?……否、俺は絶対にこいつを泣かせる。前回の恨み、倍にして返してやる。


「亮、恨みは倍にして返すからな」


「え、嘘だよね凜……?ね、嘘……だよね?」


「……ごめん、亮」


俺は無言でまたこちょこちょを始めた。涙目になっている亮がめっちゃ可愛く見えたが、幻だ。俺が可愛い女の子をいいじめてるみたいな絵面作るんじゃない。


「え、ちょ、う、うわぁぁぁぁあ!!」


その後、グレンたちに何があったのか心配されたのは言うまでもない。





「さて、本題に入ろう。今日からうちのギルドは活動開始するわけだが、制服の件は一旦いいや。まだできてないし、なんか学校側がやってくれそうだから、デザインだけ決めたらあとは量産してもらおう。


それで次。ギルドとして活動するにあたって、必ずやることがある。それが、ダンジョン探索。前みたいに突然バケモン級の強さを持った魔物が現れたり、爆発するドロップ品が出てきたりするかもしれない。そういうのを調査して、報告してほしい。いわくつきのダンジョンとか、危険度がしっかりわかって所の調査を言った時にはしっかりそれ相応の調査を出そうと思ってる。


それから、もしギルドに人が増えてダンジョンにその入ってきた奴らだけで行きそうになった場合は、必ずこのメンバーのうちの誰かがついていくか、もしくは信頼できる人に護衛を頼んでくれ。もし本当にどうしようもなかった場合は俺に行ってくれ。何とかして見せる」


ぶっちゃけパワープレイにはなるが、こうするのが一番だろう。この中でリーダーを務めるのは俺だ、

やるってなったならとことんまで筋を通して頑張ろう。


「そんで今日から「境超の英雄」ギルドは動き出すわけだけど、こっちに引っ越そうと思ってる人、もしくは部屋を確保しておきたい人は今日の14時までに荷物を移しておいてほしい。


人が来る想定はそんなにしてないけど、まぁ来ても数十人くらいだろうから気にしなくていい。もし多く来たら手伝ってくれ。見学か体験かはわからないがやることは二つ。ギルド内ツアーと、専用訓練場での体験。もしタイマンを挑んでくる奴がいたら、まぁ好きにしていいよ。やるも避けるも自由だ。ただし、変なトラウマは植え付けない事。


あとは特にやることはないな。じゃあ、いったん解散」


これくらい伝えておけば大丈夫だろう。あとは、時間まで設備やらなんやらを試そう。


「なぁアル、ちょっといいか」


「なんだグレン、改まって。設備でも壊したの?」


「いや、そうじゃないんだ。今日の朝、アルスと俺とアデリーナで話し合って決めたんだが、俺たち3人と戦ってくれないか?」


……どういうこっちゃ。訓練だろうか、決闘だろうか。内容によっちゃ拒否りたいんだけどな。


「別に戦うのはいいが、理由は?決闘とか言い出すなら、普通にやらないぞ?」


「別に決闘ってわけじゃないんだ。ただ今の僕たちの力がアルフレッド君にどれくらい通用するか知りたい。同じSクラスって枠にはいるけれど、その差が実際どれほどのものなのか実感する必要があると思って」


「なるほどな……」


勉強熱心ってことか。それなら別に断る理由はない。それに、訓練室の設備ももっと試しておきたいし、いい機会だ。


「その勝負受けるよ。華と亮はどうする?一緒にやるか?」


「僕は見てるよ。アデリーナと戦ってみたい気持ちはあるけど、今日は凜のせいで疲れたし」


顔を少し膨らませ、こちらを睨んでいる。なんだあの可愛い生物は。いや、見とれている場合じゃない。


「私も見てる。神聖力をもっと使えるようになってから戦いには混ざろうと思うわ」


「了解、それじゃいったん訓練室に移動しよう」


「ありがとう、アル。俺は本気でやる。だから、お前も本気で来てくれ」


「わかったよ」


向上心があるっていうのはいい事だ。それに、お互いの力量の差を知るいい機会にもなる。こういうのがたまにはあってもいいか。





訓練室につくと、あっちの3人が何やら話し合っている。何を企んでるんだろうか。まあ、考えたってしょうがない。気を付けるとすれば、アデリーナのアイスフィールドだろう。それの回避策はもう練ってある。


「じゃあ、審判は亮に任せるよ」


「りょーかい。じゃあ、いっくよ!よーい、はじめ!」


「行くわよ!解放(リリース)アイスフィールド!」


やっぱり来たか。だけど無駄だ。あの術は対象が地に接していることが条件。それを回避するのは簡単だ。風魔法で体を浮かすか、魔力覇気で術アイスフィールドに用いられた魔力を妨害する。


「魔力覇気 (てん)


俺が使ったのは2個目の魔力覇気で妨害する方法だ。魔力覇気を体に纏い周辺の魔力を阻害する。範囲をもっと広げることもできるが、意識がそっちにそがれるから体の周りだけでいい。


「やっぱり、これは効かないのね。じゃあ物理で押し切ってあげるわ!」


氷を使った素早い移動で、レイピアを突き刺してくる。躱すのは簡単だが、もっと魔力覇気を試したいしな。次のやつ使ってみるか。


「魔力覇気 (げき)


魔力覇気 纏で全身を覆い、その魔力の部分に触れた瞬間相手の攻撃が弾く術。これを作用させることができれば、どんな状況でも対応できるようになる。


「くっ、弾いてるだけじゃ何の意味もないわ!グレン!」


「応!身体強化 爆撃蹴破(マグナム・ブレイク)!!」


「魔力覇気 撃」


俺の術とグレンの攻撃が拮抗し、赤黒い閃光が飛び散る。おそらく、グレンも魔力を纏っているのだろう。通常の身体強化は体内の魔力を循環させ、全体の力を向上させるものだ。けどこれは、足に一点集中させ内からも外からも強化している。その強化の仕方が外からの魔力の方が強いため、ぎりぎり俺の魔力覇気と張り合っているのだろう。


「面白いなそれ。あとで教えてくれ」


「ハッ、余裕そうだな!じゃあこれはどうだ!氷瀑蹴破(アイス・ブレイク)!!!」


最初のアイスフィールドで使った氷を、グレンの片足に付与していたのか!そうすることで妨害する魔力を氷の方に割かせ、最初の爆撃蹴破(マグナム・ブレイク)を俺にあてるつもりってことか。やりよるなこいつら。……まずいな、覇気が破られる。


「……しょうがない、やるか。血力解放(ブラッド・バースト) 紅血衝撃波(クリムゾン・ショック)


「なっ!!」


魔力覇気に魔血を使用し、効果をバカみたいに上げた。そのせいで地面にひびが入ってほこりが舞った。この視界のわるさを利用して何か仕掛けてくるか?……なんだこの違和感。アルスの魔力が四方八方に存在する。……そういう事か!


「僕たちの勝ちだ!アルフレッド君!」


アルスは最初からアイスフィールドに魔力を流し、徐々に徐々に力をためていた。アイスフィールドがアデリーナの特権だと思い込んでいた俺は、魔力探知をせず覇気に回していた。そのせいで、グレンの氷付与の違和感に気づけなかったわけだ。


「食らえ!氷瀑結晶(フロスト・コア)!!」


華や亮ならこの状況をどう乗り切るかな。周囲に散らばった氷の破片が自分に突き刺さるようにして収束し、確実に仕留めに来る。亮なら剣ではじき返すだろうし、華なら神聖魔法で砕ききるかもな。だけど俺には、どっちもできない。剣さばきも魔法の扱いも、二人にはかなわないだろうな。だから、俺にしかできない唯一の技で対抗する。


「奪え、魔力強奪(ヴォルロス)

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