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 前の世界で暮らしていたころは、華は手芸部の部長として活動していた。高2の時先輩に押し付けられ、断れなかったそうだ。だが腕は本物であり、顧問に推薦されてドレスのデザインコンテストに出場させられたこともある。俺は傍らで見てただけだけど、アイツの頑張りは誰よりも知ってるつもりだ。それに、どうせ着るならかっこいいやつがいいしな。華に任せるのが適任だろう。


「てわけで華、ギルドの制服デザインよろしく」


「まっかせなさい!で、ご要望は?」


「そうだな~、エンブレムとかどうしようか。なんか丁度良さそうなのないかな」


境超の英雄って名前だからな。何もかも超えていけるようなイメージがいい。日本だと龍とか鷹とかだよな……。いくら何でも安直すぎるか。もう一捻り欲しいな。どんな壁も超えれる存在。なんかなかったっけ。日本の神の導き手みたいな鳥。


「……八咫烏とかどう?」


「あ~、あの足3本のカラス?」


「そうそう。神の導き手って言われるくらいだしギルドの名前にも合いそうじゃない?」


「いいねそれ!じゃあそうしよう!」


すぐ決まってよかった。これで他の事に時間をさける。次に、一旦旧校舎の確認か。もうすでに手配されてるらしいし、確認しに行くのは問題ないだろう。あと問題なのは噂がどれくらい広まってるかだな。その広まり方がわかれば、どのくらいの人が見に来るかとかはわかるだろう。とりあえず兄さんに依頼しておくか。


(兄さん、今ネズミ使える?もし使えたら、学園内の噂で俺たちに関するものがどれくらい広まってるか教えてほしい)


(そういうと思って、もうネズミを操ってる。あと少ししたら集まるから、先に旧校舎の様子っでも見ておいてくれ)


(了解、さすが兄さん)


いつも頼りになるな。ってか、仕事速すぎないか?俺まだ頼んですらなかったのにネズミ動かしてるとか。まぁ一旦置いとくか。さて、次は旧校舎だ。


「とりあえず皆旧校舎がどんな感じになってるか見に行こう。今の校舎がSクラス含め一つの学年に8ラスだっけ?位あって、旧校舎は6クラスで部屋が足りなくなって増設されたらしいし。まぁとにかくでかいので、校内の確認だけしに行こう」


「「「「「はーい」」」」」


ってことで、旧校舎に移動したわけなんですが……。


「……デカすぎんだろ!6人でこんな要塞みたいなとこいらねえよ!」


「まぁまぁ。これから人が増えるっていうのを見越してだろうし、しょうがないよ。使わない部屋は物置とか特訓部屋とかにすればいいし」


「それはそうだな……まぁ考えたってしょうがない。早速なかを見学しよう」


「「「「「おー!」」」」」


 勢いよくドアを開け、俺はその光景に驚きを隠せなかった。目の前がまばゆい輝きを放ち、床やがわけわからん位に白かったからだ。


「目が……目が痛いっ!!」


ギリ大佐になることを回避したか。にしてもめっちゃきれいな内装だな。ここまでやられてしまうと、もはや使うのがもったいなくなってくるな。まぁしょうがない。時間もそこまでないし、早く見て回ろう。


「えーっと、一回の一番奥が大会議室になってて、その横がランチルーム。そっから手前に行くとシャワールームやらトレーニングルームやらが併設された魔法型特化訓練室。2階に上がるとギルド長や重役のための執務室的なのが大会議室と同じくらいの大きさであって、その横にさっきと同様の設備を併設した近接特化型訓練室と医療特化訓練室。最後3階に休憩室やベッドルーム等々、癒し施設があると」


すげぇな。ここまで施設が完璧とは思ってなかった。ギルドのメンバーがしっかり休めるような施設も完備されてるし、めちゃくちゃ鍛えられるようにもなってる。学内ギルドって実質部活みたいなものじゃないんだっけ。ここまでやられてしまうと何かしら結果を残さなきゃいけない感が出てくるな。


「すっごいね……。これ全部僕たちが使っていいんでしょ?でもなんか複雑だなぁ……」


「なんで?」


「嫌だってさ、一応Sクラスって肩書はあるけど、ポッとでの僕らにここまでの設備を用意して、ほかのギルドには同じようなな待遇はしないのってなんか恨み買いそうじゃない?」


「そうなんだよ。それも問題なんだよな」


前世で言う、野球の強豪校に名前も知らない1年生が入ってきていきなり甲子園メンバー入りするようなもんだからな。周りから変な恨み買ってもしょうがない事ではあると思うが……。


まぁそうなったら力で分からせてやればいいさ。俺たちにはそれができる強さがある。なぁみんな!俺たちは強い!周りの人間なんか眼中にない位!だから、周りの目なんて気にせず行こうぜ!」


「「「「「おー!」」」」」


「いい返事だ!よし、こっから気合い入れていくぞ!」


亮が思っている不安を吹き飛ばすように、俺たちは大きな声で掛け声をした。実際、弱くはない。ただ全員が同じように強いかと言われたらそういうわけじゃない。確かにこの学校では強いほうだ。だけど世界で見たらそんなことはない。俺より強い奴なんてまだまだいるだろう。もっと強くなるために、いろんなことを頑張らないとな。


(アル、今いいか?さっきの噂の件だ)


(お疲れ兄さん。どれくらい広まってた?)


俺の予想は広がってても2学年まで位だと思う。3年はそんなの気にしてる場合じゃないと思うし、何より1年の事なんて中々見てないだろう。


(それなんだが、稼働限界までネズミを使ってあたり一面を調べた結果、学校はもちろん、イーリア王国首都周辺の町まで広がっていた。首都であり学園のあるこの場所レオグリニアはもちろん、ここを囲む周辺の町の冒険者ギルドまでしっかりと広まっていた。知らないやつはいないかのようにな)


「……は?」

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