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地上に戻って

 

 俺は、ダンジョンで起きたことの大体の予測を先生に伝えるため、直ぐに地上へと戻った。


さっき起きた内容をまとめると、あのダンジョンは一体のモンスターを生成するのに大量の魔力を費やしたようで、ほかが異常に手薄になっていたのはそのせいだという事。あの破壊の三岩の破片は人為的に用意されたものだという事。


正直、誰があの岩を用意したかは見当が付く。コルジオで最後に見かけたあの少女。あいつが俺たちを殺しに来てるのか、それTも他の目的があってこうしているのかはわからない。だが、ほぼ確実にアイツだってことはわかる。アルバートと共にいるあの聖女の分身体。いったい何だっていうんだ?


「あ、凜‼リーパー倒したってホント?」


「あぁ、倒したよ」


まぁ倒したのはベルなんだけど、そんなの話すわけにもいかないしな。世界の命運握ってるご先祖様がリーパー倒したよなんて言った暁には、もう卒倒してしまうだろう。


「アルフレッド君。お疲れ様です。その転移陣から帰って来たということは、ダンジョンは全制覇したということですか?」


「うん。リーパーのほかにボスっぽいのもいなかったし、ただ走って来ただけだけどね」


「そうですか……何はともあれ、皆さんギルド設立条件の達成おめでとうございます!これで晴れて学内ギルドとして認められます!お名前はもう決まってるんですか?」


「はい、恥ずかしいですが。俺たちのギルド名は、境超の英雄です」


「いい名前ですね。その名に恥じぬよう、ギルド活動頑張ってください!では、いったん帰りましょうか。それと、アルフレッド君。少々話したいことがあるので、残ってもらってもいいですか?」


「はい、わかりました」


きっと話すのはさっきのことについてと、前世の事だろう。俺が聞かなかったら言うつもりもないだろうが、一応聞いておきたいことではあるしな。


(なぁ、あんま前世の事とか聞かないほうがいいと思うか?)


(別に、どっちでもいーんじゃねぇか?嫌がってたら無理に聞こうとはしないほうがいいと思うが、そうでもなかったら聞きゃいい)


(俺もそこまで興味はないしな。どちらかと言えば、あのエクスプローラーと言う能力の方が興味がある。あの特性が応用できるようになれば、化け物のように強くなることもあるやもしれぬ)


のんきだなぁ……。まぁ、プライバシーがどうとか言われるよりは断然いいか。


「お待たせしました。ダンジョンで起きたことについて、あなたの見解を聞いておきたくて。報告をお願いします」


「はい、わかりました」


俺はさっきの考えていた内容を全て話した。特に、破壊の三岩については注意するようにとくぎを刺して。


先生も予想していた通りのようで、グレンの魔力量からあの速さで爆破するのはおかしいと思っていたらしい。誰かが先に少量の魔力を流しこみ、時限爆弾のようにしてタイミングよく俺たちの方に投げたんだろう。


「にしても、よくそんなことまでわかりましたね。核と同等のあの岩を防ぎ、さらにはリーパーも倒す。

いよいよあなたが私の生徒だということに疑問を持ち始めましたよ」


また、核という言葉が出た。今までこの世界で会った人間の誰からも出てこなかった言葉なのに、まさかまた行ってくるとは。これはもう聞くしかないか。


「先生、つかぬ事をお聞きしますが、出身はどちらで?」


「この国の最南東の村です。そこで両親二人と兄、弟と共に暮らしていましたよ」


「そうですか……先生は、日本と言う国を知っていますか?」


「……やはり、アルフレッド君もでしたか。私は北海道出身ですよ、アルフレッド君は?」


「自分は東京です。17歳の時に死んでこっちに来ました」


「若いですね……ご家族もつらかったでしょう」


先生との昔話はかなり長引いた。先生は28で死に、こっちに来たと言っていた。色々忙しかった時期に死んでしまって、家族や仕事仲間に申し訳ないと言っていた。


「懐かしいですねー……。また話す機会があれば、今度はアニメやドラマの話でもしましょう。リーパーと岩の情報提供、ありがとうございました。ではまた明日」


「はい、また明日」


正門前で別れ、俺はすぐに寮に戻った。初めてのダンジョンで様々なアクシデントがあったが、何とか乗り越えられた。今日はちゃんと寝て、明日またやることを色々片付けよう。そう考えながら、亮の扉を開ける。


部屋に入ると目の前にいたのは、目をこすっている華と亮だった。


「あ、おかえりー!もう、遅いよー。寝るとこだったよ?」


「なんで平然と俺の部屋にいるんだよ……」


「そりゃ彼女だもんねー?亮」


「うん、彼女だもんねー、華」


二人は今にも寝そうな目をしながらしゃべっている。こう見ると、とてもかわいい。すんごい可愛い。もうほんと癒し。今日は俺も疲れたし、早く布団に入ろう。


「ほら、早く自室に戻りんしゃい。俺も寝るから」


「やだ!凜と寝る!」


文字だけ見たらとんでもない語弊が生まれそうだ。まぁまぁな声量で言うなよ。ばれたらめんどくさいぞこれ。


「ほーら、お二人さんいお願いだから自室に戻って?ね?」


「いーやーだー、僕ぁ凜と寝るんだー」


こりゃ行っても聞かないパターンだな……しょうがない、この二人が寝るまで待つか。


「わかった、寝るのはいいから、せめて風呂に入らせてくれ。今日は疲れたしさ」


「ん-、はやくしてねぇ」


亮と華は寝室へ向かっていった。よほど眠いのか、足がふらふらしていた


「……やっぱ恵まれてんだな、俺は」


二人がいる幸せを噛みしめながら、俺は風呂に入った。また明日も、頑張ろう。

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