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規格外


祖霊魂転(アナセスタル・シフト)


 自身に先祖の力や関わりの深い者の力を宿す技。この技の最大の強みは、自分の限界以上の力を引き出せること。器がどうであれ関係なく、宿す魂の力をそのまま再現できる。……ただし、宿す魂が器と関係が深くない者の場合、使用者の肉体はその宿す魂との実力の差に比例して崩壊する。


祖霊魂転とは、基本はエルフなどの長命種が祖先の力を蓄え、さらに強化するために使う御業だ。だから、そう易々と使える代物じゃない。だけど、俺の中には二体の化け物が宿ってるから、何とか使えるってわけだ。俺が今宿してる魂は、完全に血縁なので肉体の崩壊は全く心配ない。心配があるとすれば、この白髪高身長イケメンの見た目から15,6歳の俺の体に戻れるかどうかだ。


それよりも気にるなのは、この二人がどうやってリーパーを倒すのかだ。俺が一人で到達できる最高の状態は、髪色と目の色が半分ずつ赤くなる、半覚醒状態だ。そこからは、戦闘時のアドレナリンとかによって変わるんだろう。完全覚醒は、華を助けた時以来まったく発動していない。


「久しぶりの娑婆よ、ルキ、さてどうする?どちらがやる?」


「そうだな、今回はお前に譲るさ、ベル。さっきお前が言った通り、リーパーは魔法の方がいい。物理で倒せないこともないが、おそらく小僧の肉体が持たない。さっさと片付けて、こいつの修行をした方がいい気もしてきたしな」


「そうか、珍しい。では、今回は俺が頂くとしようか。少しばかり遊ばせてもらおう」


俺に成り代わったベルグは、瞬時に間合いを詰めて下から上へと鎌を振り上げた。リーパーはぎりぎりのラインで身を反らし、鎌の直撃を回避した。……いつ鎌出したんだこいつ?


「ほう、今のは見切れるか。なら、これはどうかな?」


ベルは自分の背丈ほどある鎌を振り回し、魔血の斬撃を放った。その初速は目で追うことはできず、リーパーの右腕を削いだ。


「反応が遅れているな、もうへばったのか。」


ベルはリーパーをあおりながら、魔血の斬撃を雨の如く浴びせた。足、腕と確実に迫る死から恐怖を感じたのか、リーパーは斬撃を回避しようと、透過を発動した。その直後だった。


グサッ!!


透過を発動したはずのリーパーの胸に、ベルの鎌が突き刺さっていた。


「グォォオォ‼」


「キヒヒッ!いいぞいいぞ、その調子だ雑魚!もっと楽しませてみろ!」


ベルは戦いを楽しんでいるように見えた。あの笑い方をしているのを、俺は見たことがなかったから。

にしても、笑いながら普通に追い詰めてるの見ると、改めてバケモンだなって思う。


リーパーはまた透過を発動し、ベルの裏に回って鎌で反撃しようとした。だが、やはりベルの方が動きは速い。リーパーが鎌を振り下ろそうとしたその瞬間、ベルは間合いを詰め、ゼロ距離で魔血の斬撃を食らった。直後、リーパーは塵のようになって消えていった



「ふう……小僧、もう変わっていいぞ。交換ご苦労様だ」


そういうと二人は、自然に頭の中へと消えていった。


「アルフレッドくん……大丈夫ですか?」


「えぇ、全く問題ありませんよ。それより、他言無用でお願いしますね」


「はい、わかってますよ」


先生はそう言うと、先に地上へと戻っていった。やることが山積みなんだろう。


にしても、ベルの動きを見ていると、やっぱまだ自分は弱いんだなって思わされる。もっと強くならないと。華や亮を守るために。





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