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同郷

 

 俺は先生がこの世界の人間ではないことに気づいた。その理由はとても単純で、この世界に核兵器があるはずがないのに、その存在を知っていたからだ。この世界に俺ら以外に転生者がいるっていうのは、なんとなく予感していた。魔力に頼っているとはいえ、街灯は常に明かりを保っているし、宿には電気灯も付けられる。コンロのようなものだってある。


まだ断定するのは早いかもしれないが、個人的にはかなり怪しいと思っている。この世界には、魔導皇国のように技術を発達させている国もあるからなんとも言えない部分もある。だが、核という部分にこの世界の文明が追い付くだろうか。


ビーストランドやルーシアのように、中世くらいの文明のところだってある。それに比べると、魔導皇国はかなり発達している。と言うか、進みすぎている。他国が持っていない魔導光線銃をバカみたいに量産しているし。


「凜、さっきから何か考えてるの?ずっと黙りこくってるけど」


「あぁ、実はね……」


俺は亮に小声で今考えていたことを教えた。亮は驚いたように、口を押えていた。


「確かにそうだね……でもま、危害を加えてこなければ一旦この話は持ち帰ろうよ。それにほら、敵も来ちゃったし」


ふと気づくと、目の前にかなりの量のアンデットがいた。ゾンビにスケルトンに、あれはなんだ……?


「えっと、先生?あれってまさか……」


「えぇっと……そのまさかですね……あの後ろにいるのやっぱり、リーパー……ですね……」


リーパー。別名、ダンジョンの死神。出会った冒険者の中で帰って来たものは数名しかおらず、その者たちも重症である。要は、出会ったら死が確定しているような魔物である。見た目は、黒のローブに大きな鎌を持った、いかにも死神と言えるような感じである。


「どうします、先生。あんま余裕ないですけど、とりあえず頑張ります?」


「そうですね、アルフレッド君。僕も全力を出すので、少し手伝ってもらってもいいですか?」


「はい、わかりました。アデリーナ、全域に氷魔法を!!華はサポートとバフに移行して、アルスは後方支援!グレンは手前の雑魚を狩れ!あと、亮!」


「は、はい!」


「お前は俺と一緒にアイツ叩くぞ!」


「うん!任せて!」


「では、参りますか。人類初の死神退治、開始!」


先生の合図とともに、アデリーナの氷魔法が炸裂する。リーパーの周りに群がるアンデッドたちは氷に足を取られ、身動きが取れていない。そこを、グレンの高火力物理でなぎ倒し、華のバフとアルスの風魔法の支援によって手前の雑魚を一掃する。


「先生!行きましょう!」


「えぇ、行きますよ! 烈風斬!」


先生が放った技は、風魔法、ウィンドカッターの完全な上位互換だった。通常のウィンドカッターなのであれば、敵に切り傷が入る程度だろう。しかし、先生の場合はそうではない。


先生から放たれた烈風斬は、エクスプローラーという先生自身の特殊体質によって、現在の威力は通常の約6倍になっていた。


リーパーはそれを躱したが、後ろの雑魚たちは広範囲かつ高威力の烈風斬によって大ダメージを食らい、ほぼ壊滅していた。


「亮!」


「うん!食らえ、光霊剣!!」


亮は、勇者であるため聖属性の魔法を持っている。聖属性を付与された剣から繰り出される技は、リーパーにかなりのダメージを与えた。


「キィィィヤァァァ!!」


リーパーが突然叫び出す。その瞬間、地面の中から無数のアンデッドが湧いてきた。


「まずいよ、凜‼」


「応!」


俺は即座に前に飛び出し、アンデッドの間を通り抜けるようにしてリーパーの背後を取った。


「食らえ!魔血撃破(レッド・インパクト)!!」


俺の技はリーパーに直撃し、技の衝撃でほかのアンデッドが全滅しかけていた。



「さぁ、大詰めですよ!全員でリーパーを叩きます!総員用意!」


次の瞬間、先生の合図が響く。全員が、リーパーに向かって走り出した。


「絶対に勝つ!」


と言う勢いで、リーパーに向かって走っていった。

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