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ダンジョン②


 ダンジョンに潜り、約8時間がたった。ダンジョンがⅭ級のため魔物のレベルも低いし、正直楽々進んでいる。

前世のイメージだと、ダンジョンは百階層!みたいなイメージがあるが、意外とそうでもないらしい。

 

 低級ダンジョン、主にⅭ級以下は階層もそこまで多くない。今回俺たちが挑むカプティナダンジョンも

Ⅽ級ダンジョンの一つだ。Ⅽ級の中では珍しく数の多い40階層で、10階層ごとにボスが出てくる。ボスと言うだけあって、少しはてこずるだろうと思っていたんだが……


「はぁぁぁぁぁぁ!!光霊剣(こうれいけん)


 目の前で亮が30階のボスをぶった切っている。この光景を見るに、そこまで強いわけじゃないのかもしれない。

俺が気を張りすぎなのか。もう少し気楽に行ってもいいな。


(それはやめておけ、小僧。あくまでここはダンジョンだ。いつ何が起きるかわかったもんじゃない)


(わかったよ。気は緩めずに行く)


吸血鬼の始祖はかなりまともだった。フェンリルの始祖も、始祖と言うだけあって本当に馬鹿なわけではないらしい。先人の知恵は役に立つことを実感させられるよ。


色々考えていると、先陣を切って次の階層に行こうとしている先生が俺たちを招集していた。


「皆さん、次から魔物のレベルが格段に替わってきます。私はあくまで監視係なので手出しはしません。しっかり戦況を見分け、リーダーの判断に従うこと。では、最後の10階層、頑張ってください」


そういうと先生は後ろに下がり、俺たちを見守っていた。


「じゃあ、行こうか」


 俺たちは31階層に入りこんだ。転移してすぐに骸骨騎士(スケルトンナイト)が襲い掛かってきたが、すぐにグレンによって殴り飛ばされた。壁に衝突した骸骨騎士はバラバラに崩れ散った。


「案外、手応え無いな。本当にここをクリアで条件達成なのか?」


「グレン、あまり突っ走らないほうがいいよ。あまり強くないとはいえ、あと9階層のこってるんだ。

それに、ここは一応ダンジョン。何が起こるかはわからないし、気を抜かずに行こう?」


「あぁ、アルスの言う通りだ。ここはあくまでダンジョン。しっかり集中していこう」


「あぁ、わかった。それより、骸骨がなんか落としてるぞ。見た感じ宝石みたいだが」


グレンは手に握っていた青く光る宝石を俺に手渡した。それを見たとたん、先生が声を荒げこっちへ向かってきた。


「今すぐその石を捨ててください!大変なことにな!」


グレンは速攻指示に従い、宝石を投げ捨てた。その瞬間、宝石が発光し始め、光があたりを飲み込んだ。


「皆さん!絶対に魔力強化を解かないでください!死にたくなければ、全員全力で自分を守ること!」


先生がそう言い放つと、直ぐに光が強くなり、大爆発を起こした。


(小僧!今すぐに防護結界を張れ!全員死ぬぞ!)


俺はその言葉に焦りを感じ、即座に魔血で結界を張った。爆破の威力は 尋常じゃないくらい強く、軽々と血の結界を破壊していった。爆破が収まるまで結界を張り続け、気づくと体は自然と半覚醒状態になっていた。


「ウォォォォ!!」


俺は全力で結界を修復、発動し続け、爆破を抑え込んだ。


「あっぶな……」


俺はそのまま気を失った。


(よくやった小僧。結界をまさか血で作るとは。魔力消費量も格段に抑えられていながら、さらに硬度の高い結界。欠点は、視界が悪くなることか。だがおかげで、お前のその状態が何なのかわかった。)


吸血鬼の始祖は淡々と話を続ける。もう少し労ってくれてもいいんじゃなかろうか。というか、俺の半覚醒状態っ結局何なんだろうか。それに、名前知らないな。



(なぁ、あんたたち名前はなんていうんだ?)


(あぁ、そういえばまだ名乗ってなかったな。俺の名前はベル・クランフィルドだ。そこのさぼり狼は

ルキード・フェンリーという。)


(そうか。教えてくれてありがとう。じゃあ、一回戻るよ)


「凜!何してんの!」


「ちょっと、三途の川を渡りかけてた。傷は案外軽く済んだ見たいでよかった」


「よかったじゃないでしょ!なんであんな無茶したの!一人だけ結界の中入って防ぐなんて!」


「ごめんって。次は気を付けるよ」


「この馬鹿!二度とやらないで!」


俺は華にこっぴどく怒られ、亮にぽかぽか殴られた。少し心がほっこりした気がする。


「にしても先生。今のって何だったんですか?」


「……今のは、破壊の三岩(ブレイク・ロック)と呼ばれる三つの岩のうちの一つ、そのかけらです。

人の魔力に触れると時間差で発動し、その威力は核兵器をも上回るとも言われています……。皆さんが無事で本当に良かった。アルフレッド君、本当にありがとう」


「いえ、俺も皆が無事でよかったです」


先生は、今は休んで、少ししたら次に行きましょう。と言い残すと、少し離れていった。


俺はその時、気づいた。先生はこの世界の人間じゃないということに。

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