転移してきたお友達
「まさか、アル、魔力感知をもう覚えたの?」
魔力感知?そんなの習った覚えはないな…第一、魔力に関することはあまり得意じゃないはずなんだが。
「何それ。聞いたことないんだけど。」
「魔力感知っていうのは、名前のまんまで魔力を感知する技のこと。魔力隠蔽は、ベテランのシーフとかじゃないと基本は見破れない。ましてや、レオの魔力隠蔽なんて、誰も破れないよ?」
「うっそぉ……」
「アル、一回ステータスのスキルを確認してごらん。もしかしたら、15歳になったから何かスキルがもらえているのかもしれない。人間は15歳で成人すると、ランダムでスキルがもらえるらしいし、何かわかるかもしれない。」
確かに。まあ、特に何もなかったし、変わってることはないと思うんだけど。
俺の前のステータスは
Lv650/800
ATK 330/350
DEF 330/350
INT 250/350
AGI 330/350
luck240/350
だった。そんでもって、今のステータスが
Lv 3000/5000
ATK 1800/2500
DFE 1600/2500
INT 2000/2500
AGI 1700/2500
lusk 1600/2500
スキル
ブラッドブレイド 魔力吸収
だ。………は?ちょっとまて。おかしいにもほどがある。今日なんか特別なことしたか?魔力吸収って何?今日は普通に過ごして、魔物倒して、今夕飯食べてるよな……魔物倒して。魔物倒して……
「ああ~!」
「どうした、アル。」
「魔物倒したからか、Lvがすっごい上がってる。それで、スキルに魔力吸収っていうのが増えてる。」
「そういえば、倒したな。ブラックオーラベアー。」
「へ?あれレッドベアーじゃないの?」
「ああ。ブラックオーラベアーだよ。にしても、いとも簡単にたおしてたね。」
なるほど。レッドベアーは嘘だったわけだ。俺が見たのはレッドベアーの3段階上のやつだったなら
辻褄が合うな。にしても、兄貴何とんでもないのを運んで来てんだよ。一瞬気絶させて持ってきた~、
じゃねえわな。
「なるほど。ブラックオーラベアーを倒したか。それなら納得だな。それに、魔力吸収。それで隠蔽についてた魔力も吸収荒れたのかもしれないな。にしてもよく倒せたな。キーアに騙されたか?」
「うん、まんまと。」
こりゃやられた。あっさりと倒していたのは想像の数倍上をいく敵だったようだ。にしても、この量の進歩はバグと言っても過言ではないでしょ。熊倒しただけで1000近くも増えたんだから。
「ま、理由はわかったわけだし、片付けちゃおっか。」
「りょーかい。」
「片付け終わったらアルの誕生日ケーキあるからね!」
「やった!」
とりあえず、頭を整理しよう。熊を倒したらその熊がすっごい強くて、レベルも爆上がりスキルもゲットってなったってことか。なるほど。そんな強かったのかあの熊。
なんてことを考えていたら片付けが終わり、ケーキを食べながら町で起きた話を母さんから聞いていた。
「今日知り合いのとこのケーキ屋さんでケーキを買って帰ろうとしたときの話なんだけどさ、レオならわかると思うんだけど。勇者召喚ってしってる?」
「もちろんだ。人間が何回も私を倒そうと行ってきたよ。返り討ちにさせたのがほとんどだってけどな。」
「それでさ、ケーキ屋の友達に聞いたんだけど、人間の国、ルーシア王国がまた勇者召喚を行ったって。」
召喚か……なんか主人公感あって少しうらやましい。おれも転生を経験した身だけど、やっぱ召喚の方が夢あるよな。
「それで、その勇者がどうかしたのか。」
「そうそう、勇者が召喚されてから1ヵ月なのに異常なスピードで成長してるらしくて。なんかソロで
ルーシア最大のダンジョンを攻略したとか。もうルーシア軍の指揮を執るまでには上り詰めてるってさ。」
「そのダンジョンの名前は?」
「えっとね、確かローツルイだった気がする。レオなんか関係してるの?」
「してるっていうか、ダンジョンマスターと仲いいからね。クリアしたなら名前ぐらいは知ってるかなって。」
うちの父親やっぱおかしいよなあ。吸血鬼で洞窟の主でダンジョンマスターと仲良くて……小学校とかである「僕のお父さん」とかの作文だったら絶対にかけない自信がある。まあ、父親が強いおかげで危険な目にあったことは一度もないが。
「名前わかったよ。異世界からの召喚者で、リョウ・サカタだってさ。年齢は18。」
「坂田亮⁉」
「どうした、アル。なんか知ってるのか?」
知ってるも何も、転生する前の友達だよ!って言いたいところだが、そうもいかないよなあ。
「いや、珍しい名前だなって思ってさ。それに、異世界から来たんでしょ?あってみたいなって。」
ごまかしたはいいけど、まぁさかここで亮が来るとは。これは……やっぱ会いに行くしかないだろ!