3対3の体験バトル
「ではこれより、3対3の模擬戦を開始します!メンバーは体験組から、グレン、アルス、アデリーナの
三人。ギルド側からは、フロー・ヒール。ガーナー・ラスク。最後に、カナデラ・アルハンド。
ルールは簡単だ。双方のメンバーのうち、二人以上が気絶、降参したら終了。体験だからと言って手は抜かないように!」
ルールががばがば過ぎて何とも言えない。気絶したら終了て、危なすぎやしないか。加減をミスって死亡してしまったら元も子もないだろうに。まぁそこを含めての体験なんだろうけど……。
「まぁ、あの3人の実力を見るいい機会だ。」
「そうだね、こっから先一緒に行動するかもしれないし。にしても、その……ね……。すごいよね、アデリーナって」
華が何かもごもごしながらしゃべっている。アデリーナがどうかしたのだろうか。
「どうした?アデリーナがなんかあったのか?」
「いや、特になんもないんだけどさ。異世界来てから美人な人ばっかり見てたけど、その中でも群を抜いてすっごいんだよね……」
「あー、確かに。前の世界じゃ中々見ることなかったよなあんな美人」
「ね。ぱっと見クール系美女だし、何とは言えないけどおっきいしね。でも、どうやって戦ううんだろう。氷魔術の使い手とか言ってたけど」
「武器は細剣なんだね。なんだかイメージ通りって感じする」
亮もアデリーナの戦いに興味津々のようで、前にのめり込んで三人の戦いを見に来た。
「何にしろ、見ないとわからないからな。じっくり観察させてもらうとしよう」
そして話を終えたころ、審判の合図が響いた。
「では、はじめ!」
「ウォオオオオオ!身体強化!」
開幕直後、グレンが身体強化して突っ込んだ。拳で大暴れするように見せかけて、敵をしっかりと分断している。戦力差はそこまでなさそうだ。
最初に全員に攻撃を当て、軽くノックバックさせたところで、敵の中で一番タフそうやつを狙った。しっかり考えて行動しているようだ、脳みそ筋肉マンだと思っていたことを謝らなきゃな。
「風魔法、ウィンド・バレット!」
グレンが分断させた直後、アルスがグレンが持って行った一人以外に命中するように魔法を放った。
上級の風魔法であるウィンド・バレットを全弾命中させというのは、なかなか難しい技らしい。
俺の場合は血を込めた魔力を操って操作すれば自由にあてられる。だが、実際はそうもいかないらしい。まぁ俺は吸血鬼だし、そういうのもバフがかかっているんだろうけど。
「風魔法!ウィンド・トルネード!」
アルスが魔法を命中させた直後にもう一度別の魔法を放った。今度は竜巻だ。視界を遮りつつ、一度に二人を相手している。
そういえば、さっきからアデリーナはなにをしているんだろうか。そう思い、アデリーナの方に目を向けた、その時だった。
敵陣から雄叫びが上がり、一人が飛び出してきた。その動きに合わせるように、残りの二人がグレンめがけて走り出した。カナデラ・アルハンドという名の女性が、アデリーナを狙い剣を突き出した。
キーン!と一瞬、剣と剣がぶつかり合った音が鳴り響いた。カナデラが突き出した剣は、アデリーナが
振り抜いた細剣によってはじかれ地面に突き刺さった。
アデリーナは剣を地に突き刺し、一つの呪文を唱えた。
「解放。アイスフィールド」
直後、戦場は全て氷に変化し、その場はアデリーナの独壇場となった。
フィールドで優位にたったアデリーナは、すぐにグレンの方へ駆け出した。そしてそのまま、
スケートの選手のように氷上を舞い、二人を撃破。決着はそこで着いた。
「終了!勝者 体験組!」
館内には多くの歓声と拍手が飛び交っていた。気づかぬ間に、この館内はオーディエンスで埋め尽くされていたらしい。三人の戦いは大盛況で幕を閉じた。




