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ギルド体験

 「とりあえず白狼の牙を見に行こうか。先生がくれた予定表によると、もうそろそろ実践演習場で活動開始するらしい」


「じゃあ急ごう。見逃したらかなり痛いかもしれない」


 そして俺たち6人は実践演習場に向かった。そこではちょうど、白がベースの制服に、背中に黒色で狼の爪が刺繍されている服を着た人が大勢やってきていた。それに続き、色違いの服を着た人が白服の人たちの倍ほどいた。色違いの人たちは紺がベースで背中に白の爪のマークがある。


「これは、どういうこと?」


「ぱっとみ一軍と二軍って感じで別れてるみたいだね。魔力の差もかなりある」


白服の人たちは魔力量が色違いの人たちよりも全体的に多い。それに魔力を常時抑えている。俺は魔力吸収と魔力感知を併用して行えるようになったから抑えている状態でも大体の魔力量はわかる。

 

 そういえば俺の魔力量って数字で表すとどのくらいなのだろうか。ステータスも久しく開いてないからわからないが、そのうち確認するか。


 「ねぇ、アルフレッド君。見学だけじゃなく、体験もできる見たいだけど、どうしようか。せっかくの機会だし、実力を試してみたくない?」


そう声をかけてきたのはアデリーナだった。見た目は水色の長髪にすらっとした体形。そして長い耳。これぞ俺たち地球人が知るエルフだろうと言い切れる。そしてボンキュッボンだ。


っと、煩悩はさておき、おとなしそうな見た目をしている割にはかなり好戦的なようだ。今も腰に掛けた武器を抜き出さんとワクワクしている。


……ん?こいつ、氷魔術の使い手って言ってなかったか?


「やぁやぁ。君たちはSクラスの生徒だね。待ってたよ。……そこの雑種はなんだ?気色の悪い」


「雑種?俺の事か?」


確かに俺は吸血鬼と獣人の混血だが気色悪いとは言わなくていいだろうよ……。まぁここはもともと

多種族国家じゃないしな。サラダボウルを嫌う人間も多くいるんだろう。


「ああ、君もそこの二人もだ。ここは人間様が通う人間様のための学校なのだ。貴様のような気色の悪い人の血すら入っていない雑種はさっさと消え失せてくれないかな?」


「あのさ、俺はSクラスの生徒として見に来てるんだ。それに差別発言はよした方がいいと思うよ?

俺はいいけどさ、俺以外にもハーフの人はいるんだからさ」


その時俺は背後から迫る二つの圧に気づいていた。覇気と魔力で押しつぶされるんじゃないかと思った。


「ねぇ、アルフレッド君。三秒くらい目を閉じててもらっても?」


「そうだな。少し、目をつむってもらいたい」


「いや、ダメだ。目離したら何しでかすかわかんないからな」


グレンとアデリーナ。この二人は今プッツン状態だ、目を離したすきに殺しにかかってもおかしくない。何があっても止めなければ人が死ぬな。今種族差別がなくなってきている中で、気色悪いだの下等生物だのとどこぞの野菜の王子様みたいな発言をしてしまうのは危険だ。言われる側にとっちゃ自分の家族全員を侮辱されているようなものだからな。


「すまないが、こればっかりは抑えられん。種族差別の発言だけは、俺は見逃せないんだ」


「同意するわ。申し訳ないけど、やらせてもらうわ」


「あのなぁ……」


この二人はもう聞く耳を持たなそうだな。それにあの問題発言をした男。まだ一人でぶつぶつ言ってやがる。


「そこの雑種三人組!いいからさっさと出ていけ!ここには汚れた血の種族などいらないのだ!

嫌悪感が止まらない。見るだけでも吐き気がする。人の形をした化け物どもが」


その発言を皮切りに、グレンが駆け出し、アデリーナは剣を抜いた。もう止められなさそうだ。

こうなったら力づくで止める。魔力を一気に放つ魔力覇気で。少し、強者を演じようか。


《全員動くな》


「っ⁉」


「なっ?!」


俺の声が魔力を乗せて部屋全体にびりびりと響く。空気が一変し、注目がこちらに集まる。グレンと

アデリーナは魔力覇気によって硬直。あの男に至っては泡吹いて失神している。

魔力覇気は効果対象を指定できない広範囲の業だから、華や亮にもダメージが行ってしまうリスクがあった。ま、この二人は俺の魔力そこまで効かないけど


「よく止まった。偉い子だ。アデリーナ、グレン」


「……お前、何者だ?」


「……少なくとも、この中で一番敵に回してはいけないようね。私が悪かったわ。だから、その技を解いてくれないかしら」


「そうしてあげたいのは山々なんだけどね。どうもそういうわけにはいかない。この覇気を解けば、統制の取れた動きで俺も君たちもすぐに捕獲されるだろうしね」


「ああ、そうだ。よくわかっているじゃないか。さすがはSクラス主席のアルフレッド君だね」


「……あんたか、アルバート・ブルーノ」


「アルバートで構わないよ、アルフレッド君。それより、なんだいこの状況は。説明を願おうか」


「そこの泡吹いて倒れてるバカが差別発言を大量にぶちかましやがってな。それでこの二人が殺しに行きそうだったから。動きを止めるために魔力覇気を使ったまでだ。被害が及んでしまっていたら申し訳ない」


「なるほどね、それは申し訳ない。僕の監督不行き届きだ。それで、今日は体験かな?」


「そうさせてもらえると助かるな。こんな状況で言えることじゃないが俺たちは活動を見たかっただけ案でな」


「それはそうだろうね。じゃあ、一旦魔力覇気を解いてもらっても?」


「ああ」


俺は言われた通り魔力覇気を解いた。まあ解かなくてもあおアルバートって人は動けていたから関係ない。


「ごめんな、アデリーナ、グレン」


「いや、俺も悪かった。急にカッカしちまった」


「私も悪かったわ、ごめんなさい。あと、アル君。あとで話したいことがあるのだけれど、いい?」


「アル君?なんだそれ。まぁいいけど」


初めて呼ばれる呼び方で、歩くん?って聞かれてるみたいで違和感があるがまあいいや。


「じゃぁ、そこの6人全員、こっちに来てくれ」


「呼ばれてるから速くいこう。やっと体験ができるよ」


「だね、凜もお疲れ様」


「華もだよ。亮は大丈夫だった?」


「うん、多分。若干魔力で酔い掛けたけどね」


「それは、ごめん」


などと軽く会話を交わしながら、俺たちは呼ばれた方へと向かった。色々ごたごたがあったが、一旦忘れよう。








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