三人測定不能?
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「し、少々お待ちください」
魔力測定で黒が出るのは初らしい。あのアルバートという名前の代表だって相当な量だった。おそらく白で止まったのだろう。にしても、この水晶高くないかな……。一番気がかりなのはそこなんだよな。お金はあるにはあるけれどあんまり使いたくないしな。
「凜、あんた何したの」
「な、なんもしてないよ?」
「凜、嘘つくのはダメだよ?華が悲しんじゃう」
「いや、本当になんもしてないの!魔力流しただけなんだって!」
「じゃ、やっぱり凜がおかしいのね。てか、凜。あの水晶いくらだと思う?」
「え、金貨一枚とか?」
「馬鹿。金貨10枚は超えるわよ!」
「なんだ、よかった」
「よかったって、そんな大金あるわけないじゃない!一か月が金貨5枚で富裕層が暮らせるレベルなのに!」
「金貨なら450枚くらいあるぞ」
「え?450?」
「うん。なぁ、亮」
「そういえば持ってたね。なんだっけ、熊倒した報酬だっけ」
「そうそう。一番最初の換金した熊の金だよ」
ずーっと使ってなかったからまんま残ってる。10枚くらいなら大丈夫だ」
「お、お待たせしました。次、クラリア・f・ローズ」
「はい」
そういうと、いつもの騒がしい雰囲気の華ではなく凛々しい感じの華になって前に上がった。
そうしてゆっくりと手をかざす。炎は燃え盛り、色は次々と変わっていく。最終的には、白で止まった。
「測定範囲外が二人も……き、奇跡の世代なのかしら……。とはいえ、水晶は壊れてないので次の方。
リョウ・サカタさん」
「はーい」
亮が水晶に触れると同時に、炎は紫になった。そこからじわじわと白の炎に変わっていき、最終的には
真っ白の炎になった。
「さ、三人目……。どういうことなの……?」
「二人とも同じじゃんか。これでおかしいのは俺だけじゃないよな?」
「私たちは水晶壊してないもん。ね?亮」
「それはそうだね。第一、凜の色は黒だったじゃん」
「それはそうだけど……」
別に悪くなくない?と言いながら、気絶しそうな測定係さんを見る。三人連続で魔力量が異常だったのか、見たことがなかったのか。なんにせよ倒れそうである。
「大丈夫ですか?体調が悪ければ保健室に……」
「い、いえ。大丈夫です。それより、クラスの確認を行ってください。会場をでて左の魔石版に、クラスと名前が魔力によって反映されています。そこで確認を済ませましたら、係員がクラスまで案内しますので」
「ありがとうございます。あの、水晶ってどうしたら……」
「あぁ、あれなら大丈夫です。前例のない事なので、今は対処できないといいますか。まぁ、気にしないでください」
「わかりました。迷惑をおかけしてごめんなさい」
そのまま俺たちは石板の方まで移動していった。途中、さっきのかませ犬貴族が口をあんぐり開けていたのは言うまでもない。
「えーっと、クラスは……俺も華も亮もSクラスだね。同じでよかった」
「Sクラスだね。じゃなくて、結構すごい事なのよ?この学校でSクラスになるの。魔力量が異常なほど多くなければ無理だもの」
「魔力量ね……」
「なんか不満気だね、凜。私も亮も魔力量が凜より劣ってるから何とも言えないけどね」
「強さって魔力量だけで決まるもんなのかね」
「そりゃそうでしょ。魔力量が使える魔法の威力や回数に直結するんだから」
「でも、なんかなぁ。例えば少量の魔力で肉体強化を行うときに、一部を瞬時に強化させるだけにして節約するとか。色々やり方はあると思うんだけどね」
「まぁ、そんなこと今考えても仕方ないと思うよ。さ、クラスに行こう」
「案内係の人って誰かな」
「案内でしたら、私が承ります。校内ガイドのルルアと申します」
声をかけてきたのは黒髪ロングのお姉さんだった。すらっとした体にきれいな顔がのっかっている。
糸目のメイドさんだ。なのだが……違和感を感じる。魔力だ。あまり説明をしていなかったから、今回
説明しようと思う。
この世界には魔力がある。それは人間や動物が発するものや、木々や岩から漏れ出すものもある。
それらにはすべて波長がある。その魔力の波長はその発生源によって異なってくる。そして、俺が違和感を感じた理由。それは、このメイドのような見た目をしている女性在学生代表で前に出てきた、あの
アルバートという男と魔力の波長が被ったからだ。
おそらく華と亮はこれに気づいていない。一応様子見だけにしとくか。
「では、こちらについてきてください。お三方のクラス、Sクラスは3階の一番手前にあります。
次からはガイドが付くことはないと思われますので、ご注意ください」
そもそも学校にガイドが付く方が珍しいんじゃないかなとか思いつつ、ルルアさんについていく。
周りを見渡すと、かなり広い構造になっている。門入ってすぐ右側にでかい体育館棟、正面に食堂と後者の兼ね備えた本校舎、左側には受験時に受付をした職員室や準備室、小体育館など様々。
つくりもわかれていてわかりやすいが、本当にでかいのである。
そこから1分ほど歩く。なぜかはわからないが視界が悪くなり、違和感を感じ取った。
「亮?華?」
二人を呼んでも返事が無い。やられたか。
「お二人なら心配ございません、私の分身がしっかりと教室に送りましたよ」
「……何が目的だ?」
「……私は、あなたに会いたかった。ただそれだけなの」
そういうと彼女はロングのウィッグを取り、黒髪のつやつやしたボブになった。顔には特に変化はなし。俺は、この人を知らない。最初は前世の知り合いかと思った。でも、違う。クロハでもない。
「申し訳ないが、俺にはあなたと出会った記憶がない。いつ知り合った?」
「それは、まだ話せない。ごめんなさい。でも信じてほしいのは、私は貴方に危害を加えるつもりはないということ。そして……「気づいていたかもしれないけど、僕はアルバートだということ」
「やっぱりか!」
俺の予想は間違っていなかった。この人はアルバート・ブルーノであり、俺のことをしている。もうよくわかんない。
「それで、何が目的なの?」
「単刀直入に言おう。僕の率いる学内ギルドに入ってくれ」
「学内ギルド?」
「あぁ。最初の演説は君も聞いていただろう?それのことだよ。おっと、もう時間みたいだ。返事はまたあとで聞くから。じゃ」
「え、ちょっと」
何か言葉を発する間もなく俺はSクラスの目の前にいた。いったい何だったんだろうか。まぁ、今はまだ待つしかないよな。
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