誕生日!
第1章第3話です
「「「アル、誕生日おめでとう!」」」
「ありがとう!」
今日は俺の誕生日!この世界は元の世界と同じで、
毎年誕生日のイベントを開くらしい。プレゼントは15歳になったらもらえる仕組みだとか。そして、今日初誕プレがもらえるのだ。ワクワクが止まらないね。
「アルはもう15歳になったのか。時が立つのは早いな。」
「父さんは今何歳だっけ。」
「俺か?あんま覚えてないけど、四千年は生きてると思うぞ。これだけ長く生きてて、人間の生活に触れたのはつい200年前だがな。」
「あたしと会ってからだもんね。人間のように生活するってなったのは。」
2人の年齢を聞いたことはなかったが……母さんもクソ長寿だな。その割には一切老けているように見えない。むしろ20代の見える。
この世界の人間は平均寿命が150歳を超えるらしい。これが異世界パワーか〜……羨ましいぜ。
俺前世の年齢足したら30超えるのか。やだなあ〜年取るの。まぁいっか。親どっちもバカ長寿だし、吸血鬼だし。
「そういえば、父さんは今日どこ行ってたの?」
「今日か?今日は、前の住処に置いてあった財宝やらなんやらを整理してきてな。そうそう、誕生日だからプレゼントもあげないとって思って、全部持ってきたんだ。」
そう言って、父はマジックボックスを取り出し、こっちにおいでと、俺を近場に呼ぶ。
「キアラ、ここで選ばしても大丈夫かい?」
「いいよ。でもちゃんと片付けてよ?めんどくさいのは嫌いなんだから。」
「わかったよ。」
そして父がマジックボックスを開けた。その瞬間、目の前には大量の金貨や剣やらがたくさん出てきた。
俺等が住む家はかなり広いと思う。5LDKでダイニングは10畳以上はあると思う。机と椅子を置いて、まぁ4.5畳だとして、残りの5.5畳が金貨やらなんやらで埋まったのだ。さすがに多すぎる。
「な、何この量。」
「そんなに驚くことか?これでもまだ半分もいかないぐらいなんだが。といっても、残りは金銀とかしかないけど。」
とんだば金持ちだぜまったく。何をしたらこんな大量の金銀が集まるんだか……まぁ四千年も生きてりゃ集まるか。
「この中にあるものから、好きなのを2つ選んで、それを誕生日のプレゼントにする。まぁ、一種の試験みたいなものだ。目利きのな。」
「なるほど。」
まったく何を言ってるかわからんけど、
2つだけ違和感があるんだよな。このお宝の山の中から、なぜか二つ、異常な量の魔力を感じる。父さんの魔力に酷似しているのと、母さんの魔力に似てるやつ。とりあえずその違和感の正体を取ってみるか。
「1つ目は、これだね。」
金貨の山から少しはみ出ていた父さんの魔力に似ていたのをとってみたが、出てきたのは少し錆びた紅色の刀だった。
「ほう……面白い。それを見つけるか。やっぱりアルは俺の血を濃く引いてると思うんだけど、どう?キアラ。」
「いーや、私のほうが濃いね。見た目からしてそうでしょ。」
何を言い争ってんだか。そんでもってもう一つ、母さんと似てる魔力を帯びた指輪。残りの宝の山の中で一番、これを取れ!って主張してる。……これにするか。
「2つ目はこれにするよ。」
「ほら!言ったとおりだ。あたしの血のほうが濃い!」
「2人とも、さっきから何を言ってるの?」
結構なボリュームで騒いでるので、こっちもびっくりしてしまった。それに、血が濃いって、俺のことか?
「ああ、アルも知っての通り、俺とキアラ、母さんは種族が違う。だから、ヴァンパイアの血が濃く出るか、獣人の血が濃く出るかで少し争ってたんだ。」
「なるほどね。」
「それで、二人で何を取るか予想しようってなって、私なら指輪とるわーっていって、レオが俺なら刀とるけどねって言ってたから、二つ選ばせて、その中に片方のしか入ってなかったら、それを予想した人の血が濃いっていうのをやってたのよ。」
「んで、俺がどっちも選んだと。」
「そういうこと。」
まあ、俺は見た目的にも母さんの血を色濃く引いていると思うけど、何とも言えないよな。まだ15年しか生きてないし。
「俺がどっちの血を引いてようが、二人の子供に変わりないんだし、まあいいじゃん?」
「それもそうか。」
「そうね。」
納得してくれたみたいでよかった。
「え、なんか俺除け者みたいじゃない?」
兄貴がそういって、みんな少し笑ってた。除け者になんてしてないよ?だとか、今日はアルが主役なだけだよ~って兄貴を赤ちゃんみたいに扱ってる。兄貴は兄貴で、ちょっと安心した表情だ。
「んで、アル。お前はなんでその二つを選んだんだ?ものの量的にはかなり別の物もあったはずだが。」
「えっとね、どっちも父さんと母さんの魔力にすっごい似てたんだ。それで、これほしいなって思ったから選んだ。」
「……」「……」
なぜか少しの間みんな黙ってしまった。何か言っちゃいけない事とか言ったのか?
「な、なんで急に静かになってるの。なんかおかしなこといった?」
「アル。魔力が似ているって言った?」
「う、うん。刀は父さんの魔力に、指輪は母さんのに似てるって思ったんだけど。」
「レオ…」「キアラ、多分思ってる事は同じだ。せーので言うか?」
「そうしようか。いくよ、せーのっ」
「「この子天才だ。」」
俺は全くぴんと来ていない。なぜなら俺は魔力を感じ取って選んだだけだから。元の世界に魔力がなかったといえど、こっちに来て15年もたっている俺からしたら、魔力があって当然の生活に変わりないのだ。いつも魔力のある生活をしてるから何を言ってるのかわからないんだが……
「これ、あたしたちの魔力が見えたってことでいいんだよね?アル?」
「うん、そうだけど。」
「えっとね、あなたが選んだ指輪と刀には確かに私たちの血縁の魔力が混ざってる。あなたが選んだ指輪は、私の種族に伝わる白狼の指輪そして、刀の方は父さんの種族に伝わる
吸血鬼の刀」。確かに、あたしたちと似てる魔力が見えてもおかしくはないんだよ、魔力隠蔽をかけていなければ。」
ああ~、なるほど。つまり、俺は魔力隠蔽を見破って二人の魔力を選んでいるわけだ。そら驚くわな。
「魔力隠蔽ってだれが使ったの?」
「レオが使ったよ。」
父さんか。ヴァンパイアの最上位クラスで最強のヴァンパイアがかけた魔力隠蔽を見破ってるみたいなもんか。「でも、隠蔽なんて見えなかったよ?」
「じゃあ、かけ忘れ?」
「いや、しっかりかけた。」
じゃ、やっぱり……俺が見やぶったってこと……?」
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