受付
「ほら、着いたぞ。ここだ」
「ここかぁ……でっかいな」
「ね。何このサイズ。なんか、どこぞの魔法学校だねってくらい大きい」
「ホ〇ワーツ?」
「言うな言うな。にしても、こんなでかい所に招待されるなんて、ほんとに俺らでいいのかな」
「いいでしょ、別に。勝手に招待してるんだし、行きたいって言ったのはうちらだけど」
「それはそうだけど」
正直、俺の能力じゃまだまだ通用しないことの方が多いと思う。確かに、親の血筋からしてもう自分でも思うほどチートだ。でも、だからと言って何もしなのは多分意味がない。母さんだって、血反吐を吐く思いを経験してオーバーランカーになってるんだ。頑張らないとな。
「こっちの世界じゃ俺らの常識は通用しないかもだからな。気を付けていこう」
「そうだね。まぁ、楽しくいこう。張りつめ過ぎず、けじめをつけて」
「懐かしいなそれ。小学校のころ先生によくけじめつけなさい!って言われた」
「あー、いたね。なんだっけ。藤川先生?」
「そうそう。小2の時とかさ」
「ね。懐かしいよね……。はぁ、帰れたらいいんだけどね。まぁ、考えずに行こうか」
「あぁ。そのほうがいいな。帰れるかどうかなんて、今のところわかったもんじゃないからな」
「うん。てかさ、凜。さっきのお兄さんのなりすまし野郎はなんだったの?」
「野郎て。いやー、よくわかんない」
魔力を似せるどころかしゃべり方すらも寄せてこなかった。やりたいだけやって逃げる厄介ファンみたいだ。正直、兄貴が学園に来てくれたらうれしいけどそれはないからな。
「そういえば兄さん。なんでこっち来たんだっけ」
「クロハ……のことは別として学園に興味があってな。俺は虚空級を使えはするが、まだまだ父さんと比べたら魔力量も足りないし、アルみたいに魔力吸収ができるわけじゃない。それを何とかしたくてな」
「なるほど。虚空級の魔術かぁ」
「え、まってまって。凜のお兄さんって虚空級使えるの?」
「あぁ。数発しか打てないがな」
「凜は?」
「虚空級は無理だけど、精霊級を重ねまくって虚空級の威力にちょっとなら寄せられるよ。まだ全然だけどね」
「亮、これ知ってたの?」
「ん?華を助けるときの移動でフツーに精霊級バンバン打ってたからね」
「それはまぁ、それが一番速かったし。魔力吸収とか諸々含めてさ」
「え、魔力量馬鹿ってレベルじゃなくない?何発くらい撃ったの?」
「うーん……よくわかんない。なんかあの、アイア〇マンみたいにして飛んでたから」
「あぁ……両手からバーッて出すやつね……。なんか聞いてる方がバカバカしくなってきちゃった。
とりあえず学園で受け付け済ましちゃおっか。急がないと」
「受付場所は……あぁ、あそこみたいだ」
そこから俺と亮、華は急ぎ足で受付場に向かい受付を行おうとした。
「受付をお願いします」
「ではまず、お名前と冒険者の方は冒険者カードと、職業が決まっていたら職業もお願いします」
「アルフレッド・クランフィルドです。職業は特に決まってません。冒険者カードはこれです」
「はい、ありがとうございま……え?Sランク冒険者……?し、少々お待ちください!」
「あ、はい……」
この間念のため冒険者ギルドよってランク更新だけお願いしたら気づいたらSランクになってたんだよな。正直実感とかなかった。やってきた内容が内容だからな……。まぁそこまで驚くものでもないと思うんだが。
「凜?どうしたの?」
「あぁ、なんか冒険者カードを提示しろって言われたから見せたら驚いて待っててくださいって」
「何その展開。S級冒険者だったの?」
「うん」
「うんって、そんなわけ……いや、何でもないわ。あんたそういう人間だもん。じゃぁ、私たちはあっちでまってるね」
「あぁ。早めに行けるようにするよ」
待てと言われてから数分、さっきの職員が駆け寄ってきた。
「お、お待たせいたしました!アルフレッド様ですね。推薦枠となっておりますので、この後入学式
にご参加ください。こちらが制服となっておりますが、着用するかどうかは自由となっております。
では、失礼いたします」
「ありがとうございます!」
俺は満面の笑みで挨拶を返し、その場を去ったなぜか受付嬢さんが顔を赤くしていたが、全く気にせず戻った。
速くみんなのところに戻らないとな。




