舞踏会
最新話です!
「で、俺は何をすればいいんだ?」
「踊るのよ。この大広間で」
「誰と?」
「私と」「僕と」
「お、おぉ」
「亮。今回は私に譲ってくれない?二人はずっと一緒にいたんだし。舞踏会くらい良いじゃん」
「ごめんね華。僕はなんと言われようと譲る気はないんだ。たとえ一夫多妻の世界であろうとも、
一番は僕の物だ」
「何を~!私が一番です~!」
「いーや僕だ!」
「あのなぁ、二人と踊ればいいじゃないか。時間はあるだろうし」
『『凜は黙ってて!』』
「ご、ごめん」
なんで俺はこんなに怒られてるんだろう?っと思ったがこれ以上は口出しするのも怖いので一旦
ステイ。俺は横で見ていた領主様と話すことにした。
「領主様、僕らも舞踏会に招待なんて、ほんとにいいんですか?」
「ああ。かまわないさ。なぜなら大事な客人だからね。わが子を救ったということは、この国の危機を救
ったも同然と思ってほしい。あの子は聖女だと話したことがあるだろう。聖女とは神に恵まれし子の
事を指す。神に恵まれた聖女は多くの力を持ち、人を助けるために生まれる。そんな重要人物を
救ったのだ。何もおかしなことなどあるまい」
「そうですか。なら、参加させていただきます」
「あと、一つ訂正だ。私のことはお義父さんと呼ぶように。それから、クラリアを泣かせたら……
わかっておるな?」
「は、はい……」
「ならいい。クラリアの事を、頼んだぞ」
そういうと領主は執務部屋へ戻った。華を泣かせたら俺hはどうなってしまうんだろうか……
考えるのはやめよう。泣かせるようなことがあればそれは俺の落ち度なのだから。
「じゃぁ、そろそろ人が集まってくるから。凜と亮の二人は聖女を助けた英雄!って表彰されるらしいよ。しっかり覚悟しないとね」
「ゲッ。俺目立ちたくないんだけド。でなきゃダメ?」
「当たり前でしょ。凜、仕方ないよ。城も壊しちゃってるし、今回はあまりに目立ちすぎたと思う。
今回はあきらめて華に従おう?」
「表彰するかを決めるのは私じゃないんだけど……まぁいいや。じゃぁ、楽しみましょうか」
「ああ」
「うん」
1時間後 ローズ・レイン北区 領主官邸 大広間
「皆様、今宵は集まっていただき誠にありがとうございます。
今回、魔導皇国により誘拐された我が娘クラリアの生還と救世主への祝として集まっていただきました。
娘のためにお力を添えていただいた方々まことにありがとうございます。では、乾杯」
「お父さんあんなこと言ってるけど、力添えをしてくれた貴族なんて2つしかなかったのよ。
だから本当に助かったの。ありがとうね、二人とも」
「いやいや、そんなかしこまらずに行こうよ。らしくないよ」
「あぁ。まだまだ人生長いんだから」
「そうね。まだまだ先は長いもの。頑張るしかないわよね。こっちの世界で」
いつものように3人で会話をしながらゆっくりしている。こんな時間が一番だなとひっそり思っていた。今考えると、こっちに来てから色々あったな。ゴブリンいっぱい倒して、ドラゴン仲間にして、
お嬢様助けて、町救って、幼馴染助けて。まだこっちにいた記憶がしっかり戻ってからそんなに時間は立ってないはずなのに、かなり濃い思い出ができてる気分だ。……これから先、どうなるかは俺ら次第だ。
この世界には魔法があって、剣があって、魔物がいる。多分、学校もあるんだろう。まだ長い人生を
しっかり楽しみながら生きないとな。
「凜?どうしたの。なんか遠い目をしてるけど」
「ん?何でもないよ。まったくもって誰が誰だかわからないから緊張の方が大きいんだよ。
無作法なことをしたら恥ずかしいし」
「そう?凜なら大丈夫だと思うけど……ゲッ‼」
華が声を出し俺の後ろに隠れた。虫でもいたんだろうかと思っていると、奥からなんか、
なんかすごいのがやってきた。うっざい顔したやつ。ザ・噛ませ犬みたいな厄介野郎感がすごい奴が。
「これはこれは領主令嬢。生還おめでとうございます。踊りの一つでもいかがでしょうか?」
「遠慮しておきます。それに、いい加減私に付きまとうのはやめていただきたいです。
私はこの人を人生の伴侶とすることに決めましたので。どうぞお引き取り下さい」
「……へ?今、なんと?」
「私はこの方を人生の伴侶とすることに決めましたので。あなたに気はないと言っているんです」
わぉ。華とどめ刺しに行ったけど、大丈夫か?それに、なんか伴侶にされてますけど。
いつ結婚したんだろうね俺。後ろで亮が目を虚ろにしながらにらんでくるのがほんとに怖いんだよな。
勘弁してくれ、後ろから刺すのだけはマジで。
「わ、私のような完璧で非の打ちどころのない人間よりもそこの愚民を選ぶと?ばかばかしい。おいそこの愚民。クラリア様に何をしたのだ。下民の考えそうなことだ。どうせ催眠か毒でもかけたんだろう?さぁ、白状しろ」
「いやなんもしてないし、勝手に決めつけないでもらってもいい?あと、さっさとどいてよ。
クラリアが嫌がってるじゃんか」
「きさま、生意気な愚民が!いいだろう、ここで決闘だ!今この瞬間、勝ったほうがクラリア様と過ごす権利を手に入れる!」
「いや、急に何を」
「いいですよそれで。彼が負けたら私はあなたの物にでもなりましょう」
「おまっ、に勝手なこと言って……」
「ん?なんか文句あんの?凜。あなたなら勝つでしょ?」
「いや、勝つけどさぁ。」
「お、なんだなんだ?貴族同士の決闘か?」
「面白い。久々にぶつかり合いが見れそうだ」
「お父様!今から決闘を行います!選手はりn、アルフレッド・クランフィルド!
そしてそこのmobAです!」
「mobAて。おいお前。名前は?」
「我が名はクロス・サードギル。魔法使いであり魔剣の使い手!サードギル家の名においてこの愚民を
切り刻む!」
「いいぞー!やっちまえー!」
「どっちが勝つか見ものだな」
「え貴族の民度ってこんなもんなの?」
「こんなもんよ。時代が時代だもの」
「あ、そうなんだ。まぁやるけどさ」
正直こうなると思ってなくてまったく準備してなかった。どうしようかな、吸血鬼だってばれるとめんどくさいかな。なんかいい武器ないかな……。あんま刀使ったことないから使わないようにしてたけど、今ならいいか。魔力でなるべくこの刀の力を隠す。それなら、危険性もないだろうからな。
「さぁ、武器を手に取れ愚民!一瞬で切り殺してやる!」
「なんでもいいけど、お義父さん、これで死んだ場合はどうするんですか?」
「決闘を申し込むということ。それすなわち死の覚悟しての行動。死んだ場合は自己責任としている」
「つまり、本気でやっていいと」
お義父さんはこくりとうなずき、にやりと歯を見せ笑った。お前なら余裕だろと言われている気がした。なんかわかんないけど。相手が剣と魔法を使ってくるなら、こっちも武器を使わないと失礼だろうしな。俺はマジックボックスにしまっていた吸血鬼の刀を取り出した。
ぱっと見で分かる。この刀は野放しにしてたらいつかやばい事になる。
魔力で隠していてもこの刀自体が放つ覇気がそれを語っている。父さんから少しだけ刀の扱いを教えてもらった記憶があるから、それで頑張ってみよう。
「では、勝負と行こうか。では、はじめ!」
「ウォォォォ!上級炎魔法!フレイムアロー!」
「血刀術 魔斬り」
「なっ!サードギル流剣術 クロスブレイドォォ!」
「血刀術 血桜一閃」
俺の刀は相手の剣を根元から砕き、敵の腹に直撃する瞬間に止まった。
「勝負あり!勝者、アルフレッド・クランフィルド!」
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