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覚悟 告白

最新話です!

 「ぶぇっくしょい‼あー、やばい。ちょっと体調崩したかも……」


「大丈夫かい?凜。昨日部屋着のおなか出して寝てたからね。しっかり毛布かぶりなよって言ったのに……」


「亮は俺のおかんか。いやさ、夜暑かったんだもん。なんか気づいたら横にいる奴おるしさ……」


 本来はシングルベットが二つ並んでいるこの部屋。だが、朝気づいたらなぜか亮が俺の真横にいた。

マジで死ぬところだった。寝相が悪いんだよなアイツ。一緒にいるとよく毛布持ってかれるし、

踵落とし食らうし……あとは顔面が可愛すぎてキュン死しそうになるし。

でも、こいつは男。惚れるわけにはいかん。亮は男。亮は男。亮は男。亮は男。亮は男。亮は男。……


「亮は男だ‼」


「ど、どうしたの凜。落ち着いてよ。確かに僕は女の子みたいな顔立ちだけど、男だよ。

一緒にお風呂入ったことないから見せた覚えないけど。何なら見る?凜になら見せてもいいんだよ?

後でこっそり裏の方で……」


「見ねぇわ!!」


「凜の意気地なし……。まぁいいや。とりあえず速く華のところに行こう。」


「ああ。了解だ。」


「お!おっはようお二人さん!待ってたよー!15年間!」


華の部屋をノックすると、なんだか懐かしい感じの華が出てきた。冗談抜きで泣きそうになった。


「おう、おはよう。やっぱお前は元気じゃないと。もう泣くなよー?」


「えぇ~?泣いたら凜ちゃんと亮ちゃんがブチ切れて泣かせた人を襲っちゃうからでしょー?」


やっぱうざい。うん。涙とか吹っ飛んだわ。今すぐにここでこちょこちょしてやってもいい。

息ができなくなるぐらいに。


「ちょ、凜。魔力抑えてっ!華が泡吹いてるから!」


「あぁっ!ごめんな華!」


「ガハァッ!復帰早々死亡とか……マジ、簡勘弁だぜ。りん……ちゃん……グハッ。」


「は、華――!」


「って、茶番は置いといて。今日の準備できてる?お二人さん。」


こいつマジでぶっ飛ばしてやろうか。


「凜。2回目はやばい。マジでやばい。」


「ああ、ごめん。」


でも、久々に全員そろってよかった。皇国を潰しにかかった甲斐があったな。


「で、準備って?」


「舞踏会だよ、舞踏会。踊る準備できてる~?二人ともぎこちなさそーじゃん。」


「俺は踊らないよ。端の方で見てる。」


「僕もそうしようかな。どうせ踊るなら凜とがいいし。」


「相も変わらず凜へのデレが止まらんなァ亮嬢ちゃん。もう秘密は明かしてたり?」


「秘密?なんのことだ?」


「ワーワーワーワー!な、何でもないよー!」


くそほど怪しいが、問い詰めたってしょうがないだろうからな。何も聞かないでおこう。


「でも、二人のうちどっちかは必ず踊っても合わないと。少なくとも凜は私と。絶対。一回は。

必ず。」


「ヤダ。メンドクサイ。オレ メシ クッテ ネル。」


「だめです。」

 

 正直なところ、踊りはあんまり得意じゃないんだよな。特に舞踏会のダンスなんて十中八九

ホークダンス?ってやつなんでしょ。あんな硬いダンスなんて俺にはできない。てかやりたくない。

見られんのはずいし。


「てなわけで。お父様!私、凜と踊る!」


お父様?え、どこにもいないぞ?


「わかった。クラリアの好きにしたまえ。しかし、そこの吸血鬼よ。華に見合うものと感じなければ即座にその場で切り捨てるぞ。」


「へ……?」


え、俺死ぬじゃん。踊り下手すぎて殺されるとかダーウィン賞まっしぐらもいいところでしょ。


「お父様!?だめだよ!」


「冗談冗談。いささかおふざけが過ぎてしまった。では、大広間で待っているよ。」


「で、お父さんはどこから話しかけてんの?」


「通信魔道具。高いから市場には中々出回ってないけど、私の家みたいにお金があるとこういうは普通に家にあるみたい。そんなのはいいのよ。大広間に行きましょ。」


「ああ、そうだな。」


「ねぇ。凜。ちょっとこっちこれる?」


「あ?でも、亮が。」


「りょうー!先行ってて―!」


 この野郎。俺を完全に引きはがそうとしやがって。まぁ仕方ないか。久しぶりだし。


「で何。何が目的なの。前世みたいなパンチはもうお断りグフッ!っちょ、華さーん、痛い。」


「……」


「……華?どうしたんだ?」


 俺が質問しても、華は下を向いたままだった。下を向き、顔を見せてくれない。

ふと、地面に視線を落とした。点々と雫が落ちぬれていた。華は、泣いていた。


「華……」


俺はゆっくり華を抱きしめ、そっと頭を撫でた。


「ごめんな。15年も待たせて。ほーら、前よりイケメンな幼馴染が迎えに来たんだ。泣くことはないだろー?」


少し茶化しながら華を落ち着かせていると俺をぽかぽかと殴り始めた。


「何でっ!なんであんなに危険なことをしたの!私の攻撃を避けないで、受け止めたりなんかっ!

死んでたら、どうするのっ?!」


 なんだ、そんなことか。正直腹に穴が開くとは思ってなかったけど、まあ吸血鬼は再生能力あるしな。

それに、華が辛そうな顔してるの見ると足動かなかったんだよな。っていうのは言わないでおくか。


「死なないよ。俺は華を守る。それに、俺は吸血鬼だ。いくら刺されようが生き返ってお前の前に

現れてやるよ。」


「もう、バカなんだから……」


華は涙を拭き、無理やりに笑顔を作って見せた。やっぱ、華は笑ってないとな。もう二度とあんな辛い思いさせたりするもんか。


「華。行こう。亮が待ってるだろ?」


「うん。でも、一つだけ、話したいことがあるの。」


「なんだ?言ってごらん。」


「凜、私と付き合って?」


……へ?いや、ちょっと待った。理解が追い付かない。


「へ?華が?俺と?あのクラス一の天然美女が、あの竹内 華が?」


「いつの話?それにその天然ヤメテ。私バカじゃないもん。」


「あ、そう。え、あー、うん、ちょいまち。」


え俺これどうしたらいいの。皆はさ、速くok出せよって思うかもしれんじゃん。でもさ、俺ら幼馴染なんだぜ?今まで3人で仲良くやって来たのにそれが壊れるって思っちゃうとちょっと億劫と言いますかその何と言いますか……。いや、最上凜男を見せろ。もう昔のお前じゃないだろう。お前なら、できるだろう。


「華。」


「はい。」


「俺からもよろしく。」


「ッ!やった!今日はお祝い!記念日‼やった!凜がok出してくれた!あ、でも亮になんて言おう。

え、どうしよこれいった方がいいかな。」


「いや、いいよ。いつも通り、3人で。付き合ってても、そこは崩したくないから。」


「そうね。そうしましょ。じゃ、凜速くいこ!亮が待ってる!」


そういうと華は俺の腕を引っ張り強引に連れて行った。

多分一歩でもミスったらお父様に殺されるな……という可能性があることを、俺はその時少しも考えていなかった。

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