帰還
最新話です!
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「やっと着いたね、凜。お疲れ様だよ。」
「ああ、さすがに今回は俺もちょっと疲れた。にしても、華を助けた時に起きたあの現象、なんだったんだろうな。」
俺があのクソ兵士にブチぎれた割には冷静のまま華を助けた時、俺の体に異変が起きた。
その時は、なんとなく吸血鬼の力が目覚めたんだろうと感じた。理由は今までは吸血鬼としては兄さんにも父さんにも劣る魔力操作だったから。でも、変わった瞬間に俺の体内を巡る魔力が意志を持ったかのようにすごい速さで動き出した。
今までにないぐらい調子が良く、吸血鬼としての能力、血の制御も容易にできた。いつもは爪を出して拡張してとか少し時間がかかるけど、あの時は敵に向かいつつ周りを警戒してそのまま手を前に突き出すと同時に爪の装備を付けて攻撃できた。
これができたら、もっとできることの幅が広がる。それに、あの時は身体強化もまったくかけていなかったのにかなりのスピードで攻撃することができた。だから、ちょっとわくわくが止まらないっていうのもあるんだよな。
「さ、凜、領主様に報告だ。行って華を救出するまでに一時間、帰ってくるまでに1時間ぐらいかかっちゃったからね。もう町も動き始める。急いで報告に行こう。」
「あぁ。」
そういうと俺たちはローズレイン北区の領主館に戻った。そして、直行で領主の部屋に華を抱きかかえたまま入った。
「……ノックもなしに何事……だ……ま、まさか、いや、そんなわけはない。君らが来たのは昨日。
その時間から動いていたとしてもまる一日もたっていない。なのに、君たちは、その子を、クラリアを助けて帰ってきたというのか?」
「はい。こいつは、俺たちの大事な幼馴染ですから。」
「ありがとう……ほんっとうにありがとう……!!なんとお礼をしたらよいか、衝撃過ぎて……」
領主は俺から華を受け取り、ソファにゆっくりと寝かせた。号泣だった。あれだけ張りつめていた気持ちが一気に安堵に変わったんだ。そりゃ泣くよな。
「失礼、みっともないところを見せてしまった。君らは私たちローズ家の恩人だ。今日の夜、早速華奪還の祝会を行わせる。その時を楽しみに、もう少し待っていてくれ。」
「わかりました。では、部屋で少し休ませて出ていただきます。」
「ああ、そうしてくれ。では、また後程。」
そういって、俺と亮は領主の部屋を出た。
「カルレイさん、号泣だったね。」
「そら泣くさ。大事な娘が返ってきたんだから。」
「そうだな。」
そんな話をしながら、俺と亮は部屋へと戻り眠りについた。
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同時刻 魔導皇国 中央城2階
「あらぁ、みっともない姿で死にさらしちゃって。あなた、相手の実力も見破れないほど馬鹿だったのね。もうちょっと頭の切れる人だと思ってたんだけど、残念。にしても、あの吸血鬼、いいわ。
すごくいい。私にピッタリの逸材……さて、まえに会った時は全くしゃべれなかったけど、次はしっかり口説き落とすとしましょうか……待っててね、私の可愛い吸血鬼ちゃん♡」




