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華の行方

最新話です!


 「で、話ってなんだ?こいつ運ぶの結構大変なんだが。」


「ご、ごめんなさい。でも、どうしても気になって……」


 今俺は亮を抱えながら赤毛の兵士と路地裏っぽいところで話をしているのだが、正直内心は亮を寝かせたい気持ちでいっぱいである。


「で、内容は?」


「あ、はい。私はもともとは公爵令嬢だったんです。」


「公爵令嬢?!それはなんというかご無礼を……」


「い、いいんです、昔の話なので。私は次女だったので、許嫁とかそういうのはしなくていいみたいなことを言われて、結構自由に生きていたんです。それで、とある人にあこがれて兵士になったわけですから。」


貴族の出なのに不自由なく生きれるっていうのはまた珍しいもんだな。

 

 女性兵士も少なくはないが、体力関係や力が必要になるとどうしても男性の方が多くなるからな。

それで兵士人なるっていうのはやはり珍しいだろう。


 「それで、まだ私が公爵家の人間だった時の話なんですけど、とある町の領主様と会合?みたいなものを開く機会がありまして、その時に、私より7歳ほど下の女の子に出会ったんです。でも、あり得ないぐらい大人びていて、まるで成人してる方と話してるような感じだったんです。」

 

……これは何とも、聞きずらい質問をする必要がありそうだ。女性に年齢を聞くのはどの世界でも

失礼になるんだろうか?とりあえず聞いてみるか。


「失礼ですが、お姉さんはおいくつで?」


「私は23です。」


 23から7つ下てことは、俺と同い年ぐらいか。そうなると、華の可能性も高まってくるのか?俺と同じタイミングに転生しているのであればズレは生じないはずだけど、亮みたいな例があったらかなり面倒くさい探し方をしなきゃいけないからな。


「それでですね、その子にいろいろお話を聞いたんです。尊敬してる冒険者さんとか、

将来なりたい職業とかを。」


「それで?」


「尊敬してる人の中に、リンとリョウって方がいたんです。二人ともすっごい優しくて、明るくて、

私から離れないでいてくれてたんだーって。その話をするときだけはなぜか急に子供っぽくなってましたけど。」


……。中学生の時、俺ら3人でこんな話をしたことがある。俺らはいつまで一緒にいられるんだろうなって。皆社会人になったら違う道へと向かう。それが普通だと思ってた。俺と亮は将来の夢について話したり、今のうちにやっておきたいことについて話したりしていた。そんな中、ちょっと抜けているところのある華が言った。


「私たち三人は、いつまで立っても離れないよ。というか、私が引っ付いて回るよ。私たちは生まれた時から一緒。幼稚園、小学校、中学校も一緒。これから先、高校、大学、さらには就職先までかぶせに行くよ。だって、凜と亮、目指してるものも入ってる部活も同じなんだよ?そこに私だけいないとかずるいし。昔の約束忘れたの?私を見捨てないって。」と。


俺と亮はそれをしっかり覚えていたし、どちらも華から遠ざかるつもりは一切なかった。だって、三人でいるときがどんな時間よりも幸福なんだから。家族といるときの幸福と同じ。俺らにとってこの三人は家族同然だった。

 

 はぁ……なんか、長い間忘れてた気がするな。俺が今やらなきゃいけないこと。それは、前世の三人での生活を取り戻すことだ。そのために動かないと、三人での約束を破ることになる。だから、絶対にやめちゃいけない。

 

 よ~し、待ってろよ華。すぐに見つけ出してやるからな。





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