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決意。

 

「で、現状はどうなってるの?凛。」


「あぁ、状況はそこまで酷くはない。まだ進行が開始してるわけじゃないし。でも、このままだとコルジオは完全に相手の、魔導皇国の領土と化す。まぁ、現代の戦争と同じようになるのであれば、植民地化と同じ。負けたらどうなるかは分からんけどな。」


 そもそも負けるつもりなんて一切ないし、

 自分が死ぬことを作戦に入れることはしない。有名漫画でもそんなセリフがあったしな。だけどまだ俺は未熟だ。だから最悪を考えなきゃいけないんだ。


「亮。お前の力が今どの程度なのか、俺はまだ知らない。でも、噂は聞いてる。ルーシア最大のダンジョンを一人で踏破したってこともな。」


「その噂は正しいけど、あのダンジョンのレベルは

 そこまで高いものじゃなかった。最近はレベルや

 スキルとかもいちいち確認しないようになったからわからないけどね。」


 そういえば俺も長いこと確認してなかったな。まぁ、今は関係ないか。


「とりあえず時間がない。だから、いったんコルジオまで移動しよう。」


「わかった。外の兵士に伝えて、軍をすぐに出立させる。凛はもう行くかい?」


「あぁ。今超広範囲に魔力探知を作動させた。この国を軽く覆えるぐらいの。その探知に俺の知らない魔力が引っかかった。コルジオから数km離れてはいるが、明日には攻め入ってきそうだからな。」


「わかった。なら、僕も行くよ。最近鍛えてたし、身体強化で追いつけるかもしれないから。」


「了解。じゃあ、外で待ってるよ。なるべく早く頼む。ちなみに、亮の移動手段は?」


「走り。馬車より速いしね。」


「そうか、やっぱそうだよな。そのほうが速いよな。」


「うん。じゃあ、待っててね。」


 そう言うと亮はすぐに衛兵に話を通し、国王の元に向かった。にしても見た目は変わんないな。俺なんて

 黒髪から白銀髪になっちゃったし、最初は誰?みたいな顔されたからな。ホントに、これを華にもやられたら心が折れるかもな。そんなことを考えていると遠くから亮が手を振って現れた。


「お待たせ。軍の采配はもう済んでいるらしいから、早速移動しよう。じゃあ、行こう。」


「おう、よーい、ドン!」

 合図と同時に俺と亮は走り出した。さっきの4分の一ぐらいのスピードで走ってみたが、亮はかなり余裕そうだった。


「亮、飛ばすぞ。」


「了解。」


 もう一段階ギアを上げ、さっきの2分の一ぐらいまで上げたところで、亮が視界から消えた。


「ほら、亮!もう少しだぞ!」


「速すぎ‼ちょっと待って!」

 この感じがすっごい懐かしい。小学校の時の下校時間、俺と亮はよく一緒に走って帰ってた。俺、亮、華の順番で走ってた。


 おんなじ通学路を毎日毎日ダッシュしては競争して、楽しかったな。あの世界に帰れるのかすらわからないけど、でも、頑張るしかない。今は。


「さあ、着いたよ。じゃあ、すぐに準備を始めちゃおう。明日にも攻めてくるかもしれない。」


 住民の避難は終わってそうだ。よかった、これで心置きなく敵と戦える。でも、街中で戦うつもりはな

 い。まずは、コルジオ全体に防御魔法を展開する。


「精霊級 防御魔法 精霊王之抱擁(スピリットエンブレス)


 この魔法は本来はこうやって広範囲の魔力障壁を作るものなんだ。前回は一か所に集中して作ったから

 ただの吸収型魔法になったけど。


「それにしても、亮はこっちに来てどれぐらいなんだ?」


「だいたい3,4か月ぐらいじゃないかな?あんま覚えてないけど。まあ、こっちも悪くないっちゃ悪くないよね。」


「そうだな。」


 こっちの生活を始めて約15年間。もはやこっちの生活が体に染みついてる。

 戦って生きることが基本のこの世界は、亮はなかなか慣れないんじゃないかなって思ってた。顔も、声も、女性らしいしぐさが多い亮は、意外と適応能力が高かったりする。


「なぁ、亮。この作戦終わったら俺らと華を探しに行かないか?」


「ん?死亡フラグかい?」

「違うわ。いやそれっぽいけどさ。俺は、今までの生活を取り戻したいと思ってるんだ。俺と亮と華の3人で楽しく過ごしてたあの日の生活を。だから、この作戦が終わったら俺と一緒に来てくれないか?もちろん、勇者の役目について責任を果たせだの、恩を返せだの言ってくる奴はいると思う。でも、もしそん

 な奴いたらそいつらは俺がぶっ飛ばしてやる。だから、これから先の旅俺と一緒にいてくれないか?」


「……え、何プロポーズ?それはダメだよりん~、いくら僕の顔や声が女性っぽいからって

 僕にそんな熱いプロポーズをしちゃあ。僕だって本気にしちゃうかもよ?なんちゃって。」


 いや、完全に言葉選びミスったわ……くそ恥ずかしい!というかもはや悔しい!前世でも同じような

 事でからかわれた気がする。


「でも、嬉しいよ、凜。君からそういってくれて。実は僕、今すっごい不安だったんだ。この作戦が終わったらまーたすぐに別々になるんじゃないかってね。誘ってくれてありがとう。僕は、これが終わったら勇者の役目を終えるよ。君と一緒にいたいからね。なんか僕まで死亡フラグ立てたみたいじゃないか。」


「いや、ありがとう。これでまた一緒だな。これからもよろしく。」


「いいえ、こちらこそ。じゃあ、今日はゆっくり休もうか。あ、魔力探知変わるよ。」


「ああ、お願い。」


 亮が承諾してくれて本当に良かった。亮の性格だから、


(ごめん、僕にもお世話になった人がいるんだ、見捨てられないよ☆彡)


 みたいなことを言い出すかと思ってすっごい不安だった。よかった~。よし、切り替えていこう。

 思い出にふけるのはもうやめだ。まずは目の前の敵を倒してから、その先を考えよう。


「ほら、リン~、速くこっち!」


「はーい、今行くよ。」


 絶対に失敗しないようにしなきゃな。

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