バケモンパーティー完成
「アル、どうするか。」
「本当にね……」
まさか黒龍が仲間になってやるって言ってくるとは。戦力としてはこの上ないが、街中で暴れられちゃあな……いや、これを約束してもらって、しっかりと仲間としてやっていけばいいか。
「なあ、仲間になってくれるのは本当か?」
「当り前じゃないか。私はさっきからそういっているよ。」
「じゃあ、町で暴れないでくれよ?」
「ああ。」
「それから、許可なく人を襲うな。いいな?」
「攻撃されても?」
「死ぬってなったら暴れていい。正当防衛なら、殺すなよ?」
これで分かってくれたらすっごい助かるんだけどな……
「ようは、殺さなければいいのね?わかったわよ」
「ありがとう。」
よし。これですっごい仲間が手に入った。これでもっと早く見つけられるかもな。
これでひと段落か……。それから、人間にも伝えないとな。
「なあ、人間。俺らはもうここを離れる。コルジオに向かいたいからな。ここからは自力で帰るか?」
「はい、転移がありますので、大丈夫です。」
「そうか、じゃあな。」
かなり肝の据わったお嬢様みたいだ。これなら、結構いい女王にでもなるんじゃないか。
さて、こっからコルジオに移動だが、どうしようか。
「あ、あの!これ、持ってってください。」
「ん?なんだこれ。紙?」
俺が渡されたのは、少し汚れているがきれいな文字で書かれている、厚めの紙だった。
「これを、コルジオの門兵に見せていただけたら、そこで町内を回れるようにさせていただきます。亜人
の方は私の国では、申し訳ありませんがあまり良い認識をされておらず、もちろん、住民はそんなことはないのですが……」
要は、貴族やらなんやらに絡まれないためのお守りってわけだ。それなら、ありがたくもらっといたほうげいろいろと便利だろうな。
「ありがたく受け取るよ。これで面倒ごとは避けられそうだ。それじゃ、お先に失礼。
兄さん、黒龍、行こう。」
「ねえ、せめて名前は付けてくれないかな。私とて、黒龍と呼ばれるのはあまり好きではない。」
「そうか、悪かったな。名前……」
名前どうしようか……ん-、今の見た目はバカ美人だし、なんてつけようか……
「じゃあ、クロハで。」黒色の花柄の着物に華の髪飾りをつけているから、クロハナでもいいかと思ったが……安直すぎるもんな。
「うん、悪くない。気に入った!」
まんざらでもなさそうでよかった。気に入らなかったら殺すとか言われたら終わってた。
「じゃあ、兄さん、クロハ、行こう。」
「ああ、人間との話は終わったようだな。では、行くとしよう。」
そういうと、俺と兄さん、クロハは勢いよく地面をけりトップスピードで出発した。
コルジオまではもうそう遠くない。着いたら、今日は宿で休むとしよう。