コルジオに向かってるはずなんだけど
いつもより長いですが、お願いします!
ゴブリンエンペラーを倒すときに勢いで使った精霊級級炎魔法だったけど案外簡単に使えるもんなんだな。複合魔法もいい感じに使えたし、これなら多少は敵を相手にしても大丈夫そうだな。
「兄さん、魔石回収は終わった?」
「ああ。すべてマジックボックスに入れた。それで、エンペラーの魔石は?」
「ああ、それならここに。」
エンペラーの魔石尾はかなり大きくて、俺の手ぐらいのサイズだった。魔石は小石程度のサイズのものが多く、現代の電池のような使い方をする。コンロを使いたかったら炎魔法を撃つように魔力を込める。夏で気温が高く熱いと思うときは氷魔法の魔力を流す。そうすることで機械を動かしてくれる原動力になる。
たまにもとから氷魔力とかそのまま原動力になる魔石もあるが、普通のよりちょっと高い。魔石自体が最近は高くなってきてるらしいから何とも言えないがな。そして、魔石にはほかの使い方も一つあるが、一旦それは置いとくとするか。
「じゃあ、コルジオに向かおうか。」
「うん、そうしよう。」
その場を離れようとしたその時、少し遠くから
「キャアァ‼」と悲鳴が聞こえた。
「アル、急ぐよ。」
「ああ。」
ここは悪魔の大森林だから、冒険者が魔物に襲われているとかだろうか。声色からして
女性っぽそうだが、近づくにつれて鉄がぶつかり合うような音がしてきた。多分男性の冒険者が戦っているんだろう。
………………!!
「兄さん‼急がないと‼」
「わかってる!お前は人を助けろ!」
俺が見たのはモンスターに襲われてる人間たちの姿。普通の冒険者が襲われているなら、まだ余裕があっただろう。だが、そこで襲われていたのは完全武装をした大量の軍人と、壊れた馬車に横たわっている
女の子の姿だった。そして、俺らが焦った理由。それはその軍隊を襲っているのが、まぎれもないドラゴンだったからだ。何がまずいか、あまりわからないと思うから説明する。生物は普通自分の生活領域をきめ、そこに入ってきたものはそこのテリトリーの主に失礼のないようにするか、従わずテリトリーを奪うかの二択しか与えられていない。
普通なら静かに通り過ぎるか、遠回りをするだろうが、この人間たちはそうじゃなかった。地面を見るとキャンプの痕のようなものが残っている。この人間か、別の冒険者かは知らないが誰かがドラゴンのテリトリーでキャンプをしたんだろう。そして、愚かなことにドラゴンの
素材を取ろうとして逆鱗に触れ、壊滅まで追い込まれている。ドラゴンを兄貴が抑えてるうちに俺は生きてる人たちを影の方に逃がす。
「こっちに来て!危ない!」
「あ、あなたは?」
「そんなの気にしてる場合じゃないでしょ!」
「お嬢様!そいつは危険です!亜人ですよ!」
亜人……ルーシアでは差別対象だったか。人間の国、ルーシア王国は奴隷制度をよしとしている。そして奴隷にされるのは他国から引き抜かれた亜人、獣人や魔族、エルフなどが奴隷として扱われている。その奴隷対象が助けるからこっちにこい!なんて言ったらそりゃ怪しむか…
「じゃあ、俺の方に来なくてもいいから、少し離れてくれないか。少なくともこっちには助ける意思がある。手を出したりはしない。わかったか?」
「え、えぇ。ありがとうございます。」
話の通じるお嬢様のようだ。急がないとまた被害が広がる。
「速く全員陰に隠れろ!危ないぞ!」
「アル!手伝ってくれ!」
兄さんの方に行かないと少しまずそうだ。どうしたもんか。とりあえず人間の避難は終わらせた。
にしても、あのドラゴン、速いけど特有のブレスを撃ってこない。なら、俺が気を引いてるうちに兄さんが仕留めればいけるな。
「兄さん、交代だ!」
「頼む!少し時間を稼いでくれ!」
「了解!」
このドラゴンは、見た目からすると黒龍だな。ドラゴンは、生まれて1000年以上たつと肌が漆黒になり、ドラゴンの上位種、黒龍になるらしい。実際、父さんが生まれた時から面倒を見てた龍が黒龍になったらしい。ちなみにそのドラゴンとはたまに遊んでる。このドラゴンは知能はあるが、今は暴走状態
になってる。強い衝撃を与えて正気に戻ってもらうしかないな。
「あっぶない!」
爪やしっぽなどの単調な攻撃がほとんどだが、急に尻尾で足払いみたいな事をしてきた。当たってたら全身骨折だ。そう思っていると、ドラゴンが上を向いて翼を大きく広げた。
「ドラゴンが上を向いた?!終わったのか⁉」
人間がざわざわと騒ぎ出した。そんなわけがない。俺は一発も入れてないんだから。
ドラゴンの口元をよく見ると、光と炎が漏れ出している。まっずい!
「人間!逃げろ!」
「何を言ってる!ドラゴンの死体を回収するまで帰れん!」
「回収どころじゃない!死ぬぞ!」
「何を言っている!しっかりと説明をしろ!」
あぁ、もう、なんでこう話が通じないんだよ。1000年を生きたドラゴンのブレスだぜ?
人間守りなから無傷で止めることができるのはオーバーランクの冒険者か、父さんか母さんぐらいだ。一つだけ止める方法があるとしたら……
「兄さん!いける?」
「ああ!ブレスだけ回避しろ!」
「了解」
人間を守りながらブレス回避とか………もうめんどくせぇ!
「兄さんごめん!魔石使うわ!」
「精霊級魔法付与」
この魔法をさっきのエンペラーの魔石に付与する!
「グウオォォ‼‼」
まっず、間に合え!
「精霊王之抱擁!」
さっき説明しなかった、もう1つの魔石の使い方。付与した魔法に魔力を上乗せし、そのまま発動する。
さらに、それが吸収、発散するタイプの魔法だった場合さらに強化される。
だから全部吸収できる!
「おおおおりゃあああ!」
衝撃波に飛ばされたおれはドンッという鈍い音を立てて木に衝突した。だけどブレスはすべて受け止めた。
「よくやった、アルフレッド!こいつは俺が倒す!
虚空級固有魔法 複合魔法!
吸血王之憤怒‼」
ドラゴンの頭上まで飛び上がった兄さんは、脳天を打ち抜くようにドラゴンめがけて魔法を放った。
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