努力は楽しい
作品応募以来、私は1日に一つ、ノルマを課した。学校の課題のほかに、自分でラフ画、できそうならパソコンで作品を描き上げるという作業をすることにする。
私は天才じゃない。でも、これを続けていれば秀才にはなれるかもしれない。勝手な思い込みでいいんだ、とにかく、やってみる。
それから自分がどんな作品が好きか、今までに読んできた漫画や映画、ゲームの画像をチェックした。
どちらかというと女性が描きやすい。きりっとしたタイプではなく、ふんわりとした笑顔に惹かれていた。入門編として、自分の好きなもののほうが描きやすいのではないかと思って、とりあえずそのような作品を何作か描いた。
自発的に描いているせいか、毎日が楽しかった。
ある日、先生が、私のパソコンを覗き込んだ。
「応募した?」
「はい。応募しました」
「どう? 気分違うでしょ? 楽しみでしょ?」
「はい、ドキドキします」
「最近、あなたの目つきがキラキラしてるのよ。自覚ある?」
自覚なんて全くなかった。でも。
「最近、努力するのが楽しくなったんです。先生、見てもらっていいですか?」
私はそういうと、最近描きためていたオリキャラのページを開いた。
先生はうんうん、と頷いてた。
「楽しそうにできているのは何より。ただ、自分よがりなだけではイラストは採用されない。いろんな方法で勉強しなさい。授業のほうも手を抜かないで……と、これはあなたには言わなくてもよさそうね。課題、しっかり提出してるし。勉強は授業だけではないわよ? どんな分野に描くネタが転がっているか分からない。わからないことはどんどん調べる。糧にする。最初わからなくても繰り返している間にしみこんでくる。とりあえず、男性キャラも描いてみなさい。いろんなタイプいるわよ?」
先生は私の肩をポン、っと叩いてから隣の席の子に話しかけていた。
先生、私、できる限りのことをします!