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金魚の願い  作者: 千夢
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応募!

 家に帰って先生がくれたコンテストの応募要項の紙を確認して、パソコンから応募しようとする。

 うう、これをポチるの、勇気いるなぁ。

 何度もマウスをクリックするのをためらう。

 えーい、大丈夫だ、先生のお墨付きっ!

 思い切ってクリックした。大丈夫、落ちても死なない……落ち込むかもしれないけど。思わずため息をつく。ただ、応募できたことで自分が一歩進めたような気がした。

 いつも、人前には出ず、控えめにしていないといけないような気がしていた。強く出ることで争いが起こりそうな気がして。そうしているうちに何もかもに挑戦することが難しく感じていた。

 先生はそんな私の背中を押してくれたのかもしれない。コンテストはただのきっかけで、自分から動きなさいというメッセージなのかもしれない。

 そう、先生の後押しがあったとはいえ、これに応募したのは自分だ。コメットモデルではなく、琉金モデルに魅力があると思っていた自分が選んだ。

 負けるな私! いや、もう応募したんだから負けるなとか言ってられないんだけど。

 もう一度息をつくと、うん、と一人で頷いた。えーと、1次審査通過作発表は6月中旬か……ここだけもいい、通過してくれたらすごい自信になる!

 手帳の6月のページに1次審査発表、と書いておいた。


 ツイッターの知り合いが同じコンテストに応募していた。メイと名乗るその子がダイレクトメールでイラストを送って見せてくれた。

 はぁぁぁぁ、めっちゃ可愛いやん!

 自分が応募した作品が急に貧相に思えてくる。自分の作品と比べて落ち込んだ。メイは私にもダイレクトメールで送ってくれと言ってきた。

 自信、一気に無くなったな……。

 そうは思ったけれど、相手のを見て自分のは見せないわけにはいかない。私はすぐにメールを送った。

 しばらく反応がなかった。ああ、これ、返答に困ってるんだ、下手すぎて。

そう思っていると返信が来た。

「素敵じゃん! 琉金のふっくらした感じとひらひら感、絶妙!」

 今日の私は忙しい。ドキドキしたり、落ち込んだり、褒められて嬉しかったり。

 イラストを描くのは大好きなこと。でも、こうして挑戦することはもっと楽しいことのように思えた。

 うん、これからも、もっともっとイラスト描いて、イラストで生きていけるように腕を磨く!

 私は決意した。今までのグレーな人生に赤い種がまかれたような気がした。活力とでもいうのだろうか。今までにない爽快感だった。

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