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金魚の願い  作者: 千夢
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描きたいものと描かなきゃいけないもの

 家に帰り、早速パソコンに向かう。ペンタブを使いカツカツと下絵を描く。

 何となくテンションが上がらない。

 やっぱり、琉金モデルのグラマーな子、描きたかったなぁ……。

 コメットモデルを保存して琉金モデルを描いてみる。描きたい絵だからどんどん進む。紅い髪、白い肌、グラマーな体にぴったりとしたチャイナ服、腕や足元に大胆に使うオーガンジーイメージの薄そうな布使い。知らない間に時間は過ぎていた。

「梨乃! また夕飯食べてないでしょ!?はいこれ! 口、開けなさい!」

 母がそう言いながら持ってきたサンドイッチをグイっと私の口に押し込んだ。気づけば時計は9時。確かに夕飯を食べるには遅いのかな。

「ふぉーすふぉしあふぉでたふぇたのに」

(もう少し後で食べたのに)

 口の中いっぱいでふぉごふぉごしながら返事をする。口の中の水分が全部持ってかれた気分だ。

 母はもうっ、と言った後、私のパソコンを覗き込んだ。

「あら、きれいな子ね。課題?」

 お茶を飲んで口の中を湿らせてから返事した。

「ん……これは……趣味のほう……」

「梨乃、趣味は後にしなさい」

 そう言うと母は部屋を出て行った。私は思わず、はぁ、とため息をつくと保存していたコメットモデルを開く。

 やはりペンが進まない。今度は時間だけが過ぎていく。スレンダーな体だけは描けた。でも、服装のイメージが浮かない。ラフ画も適当に描いたため、全然参考にならない。

 日本の金魚がいったんアメリカに行き、フナと配合されて逆輸入。日本とアメリカの融合? うーん、ドレス的な?でも、日本に逆輸入? 着物とドレスの折衷?

 どんどん頭が混乱する。結局、右が着物で左がドレス、足元ひらひらという謎のものが出来上がった。

 こ、これでいいのかしら……。

 自信など全くない。むしろ残念感しかない。彩奈はこれを求めていたのだろうか。メールで送って反応を見てみようかしら。

 時計を見るともう12時30分を超えていた。返事は朝、起きてからになりそうだ。

 画像を添付してメールを送る。もういいや、今日はシャワー浴びて寝よう。

 出した道具を片付けていると、スケッチブックの琉金モデルに目が行く。

 これ、今までで最高にいいと思うんだけどなぁ。

 しばらく見つめてから、スケッチブックを閉じてカバンにしまう。今日の作業はこれでおしまい!

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