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【悪逆の翼】  作者: 渦目のらりく
最終章 【悪逆の翼】
526/533

第514話 Ain Soph Aur

長く続いた、魂のダークファンタジー

今週末に完結!!


どうか、ブクマ評価レビューで最期の応援を


 いがみ合いながらも、同時に走る黒と白の閃光――

 激しき光に晒されながらも、天上の“神”の元へと雷鳴と共に駆け上る。

 すると空を突き抜ける光の巨人は、まず左の掌を中空へと掲げた。


『“(アイン)”より――』


 そこより怒涛の闇の波動が溢れ出す光景を認め、ダルフは面食らいながら額の汗を拭った。


「な……また“虚無”を打ち出そうというのか!?」

「いや違う――――!!」


『“無限(アイン・ソフ)”が生まれ――』


 更にヤハウェは残る右の掌をも掲げ、そこより明滅する“無限”を打ち放っていった。しかしそれを直接鴉紋とダルフへと照射するでも無く、神は“無”と“無限”の解き放たれる波動の柱を、その胸の前で組み合わせる――


 繰り出されんとする衝撃のエネルギーを察知し、二人は視線を通わせて左右に全力で旋回して行った――次の瞬間!


『“無限(アイン・ソフ)”より――“無限光(アイン・ソフ・オウル)”が生まれる――』


 終焉(しゅうえん)開闢(かいびゃく)が混ざり合い――超新生(ビッグバン)が巻き起こる――


『あるべき世界へ――“無限光(アイン・ソフ・オウル)”』

「んナ――――っ!!!?」

「うっアア――――?!!」


 解かれた両の掌が差し向けられると、何よりも濃密な白銀の光線が、細く無数に放射して地に降り注いぎ始めていた――


「ヌ――っおおおおお!!」

「アガッ……っうう!!!」


 身を捩るも、光を掠めるしか無かった二人。

 その白銀は、光でありながら透けて通らず。この世の奇跡の全てを濃縮した事で、刃よりも過密な質量を得ていた――


「なんだこれは、実態のある……光!?」

「質量があり、触れれば肉を抉り取られる!!」


 されど、それもあくまで光明の一つであり、性質として、光ともあり粒ともあり、流動的に変異したまま、何よりも速く果てへと達し、反射し、屈折し、散乱し、分散し、干渉する――


『無限の光は神秘の形。地を(なら)し、生命を産み出し、あるべきでない異分子を排他する』


 頭上より降り注ぐ()。その全てが脅威となりながら、乱反射してダルフと鴉紋を襲う――


「くっ……逃げ場がねぇ、どんどん拡散していきやがる!」

「っ……ただでさえ避けるのに精一杯なのに、大地からも反射して来ている! この光が害をなすのは俺達だけか!」


 地に届いた光明は屈折し、散乱して分散する――無数の脅威に板挟みにされた二人を、海が囲い、灼熱の空が焼き焦がす――


「ヤベェな……っ」

「このままでは……っ」


 空を惑う白雷と黒雷の閃光――

 圧倒的絶望。詰みの形。もう数秒となく、人類の生存出来るスペースがこの惑星より取り払われるだろう。反射を繰り返す白銀は増幅を繰り返し、無限の脅威で地球を埋め尽くしていく――


「迷ってる時間なんてねぇ……ククッ」

「道は一つだ――ッ」


 ――だがしかし、未だ勝機を信じて疑わない二人の眼光が、同時に天を仰ぎ見ていた!


「――ッ行くぞぉおおおおっ!!!」

「応――ッッ!!!」

『――――っ!?』


 天上へと、何処までも飛翔していく二人の翼。けたたましいまでの雷鳴を轟かせながら、光線を避けて神の喉元目掛けて迫り上がって行く――


『分からぬのか。お前達には、この絶望さえ』

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↑の☆☆☆☆☆を★★★★★にして頂けると意欲が湧きます。 続々とスピンオフ、続編展開中。 シリーズ化していますのでチェック宜しくお願い致します。 ブクマ、評価、レビュー、感想等お気軽に
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