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お釜大戦  作者: @FRON
第一章 恐怖!町内巡回バスUFO襲撃事件!!
8/340

∥001-08 にゃーんにゃーんでございます

#前回のあらすじ:女性陣は偉人縛り、男性陣は明治大正縛り



[マル視点]



「・・・【()()()()()()()()】」


「(にゃあ)」



少女の、鈴が転がるような声が響く。

―――と、同時に小柄なローブ姿の足元に()()()()()影に異変が生じた。


()()()、と波紋が広がりると、それは意思を持ったかのように()()()と彼女の前へと移動する。

二次元の生命体のように蠢く()()は、一点に集うと()()()()の姿を象った。


それは、一匹の小猫であった。


幼児の描いたイラストのように、()()()のみで構成された黒猫。

その顔にあたる部分に()()()()と二つの眼が瞬き、小さく可愛らしい鳴き声を上げる。


あたかも生身の生物であるかのように、影の猫は空中へぴょん、と飛び上がると、バスの床の上へ器用に降り立つ。

それは直線で構成された輪郭と体色を持ち、目と口があり、しかし―――()()()()()()()


影絵の世界から飛び出してきたかのような存在。

【ネフェルティティ】(美しい人が訪れた)と呼ばれた猫は()()()、とローブに覆われた左上を登り、幼い主人の頬を舐めた。



「私も参ります。【五色筆】(ごしきふで)よ―――お出でませい!」



続いて上がったのは、凛とした淑女の声。


黒髪の乙女が両手を掲げると、床面より生じた影が一瞬、地蔵のような像を結ぶ。

―――それは次の瞬間には一本の大筆へと姿を変え、細い指先によって掴み取られた。


流れるような所作で、大筆が舞う。


宙に描かれた軌跡は蝶々の群れを象り、それはひとりでに翅をはためかせ、()()()と頭上へ舞い上がった。

差し出された少女の指先に止まり、翅を休める蝶々たち。


ゆっくりと開閉するその翅には艶やかな文様が浮かび、しかし―――()()()()()()()()()()()()()


色の濃淡のみで描かれた、()()()()()

奇跡の筆によって命を吹き込まれた()()は、生物さながらに宙を舞う。



「さあ、ダンスの時間でしてよ―――【ノーシュ(nosh)】!!」


「(なぁう)」



そして、トリを務めるのは黄金の少女。

イブニングドレスと同じ真紅のヒールを()()、と鳴らすと、眼前の虚空がぐにゃりと歪む。


突如として沸いた虚空の渦から黒褐色の影が走ると、少女の足下へしなやかに降り立った。

それは、艶やかなダークグレイの毛並みを持つ、一匹の猫。


―――()


一般的な『()』はその長さ30cm以上にもわたる、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

それは既存の種から外れた生物であり、夢幻の領域(ドリームランド)に住まうという幻獣の一つ。


【土星猫】と呼ばれる存在―――それが、エリザベスの従える【神使】(ファミリア)であった。


ノーシュは重力を無視するように動く髭をたなびかせ、真紅の令嬢の下へ歩みを進める。

喉を鳴らし足元へ首を擦り付ける相棒の姿に、エリザベスは束の間微笑みを浮かべる。


しかし、無言のまま片手を差し出すと、それに呼応するようにノーシュは動きを止め、己が主を琥珀色の瞳で見つめた。

再び()()、と靴音が響き、猫の姿を象る幻想は宙へと舞い上がる。


次の瞬間、その姿は一条の鞭へと変じ、少女の掌へと収まる。

若干サディスティックな笑みを浮かべ、エリザベスは声高らかに宣言するのであった。



「さあ―――わたくし達の戦いを始めましょう!!」


※2023/09/04 文章改定

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