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お釜大戦  作者: @FRON
第四章 怪奇!月夜の廃屋にリトルグレイの姿を見た!?
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∥004-07 我に秘策アリ

#前回のあらすじ:機動戦士ガンニョム



[マル視点]



「・・・一体何が始まるんです?」


「決まってるだろう?―――リセマラだよ」



葉巻型UFOから降り注ぐ怪光線を展開したバブルシールドで防ぐ傍ら、背後で始まった怪しげな動きにぼくは訝しげな視線を送る。

そこには緊張した面持ちで立ち尽くすヒトゴリラ―――もといアルトリア嬢と、その背後で特大のハリセンを構えくつくつと笑う明の姿があった。


そこから少し離れた位置には腕を組み興味深げに――被り物のせいで表情は読めない――経緯を見守る寅吉と、その後ろからはらはらしつつこちらを覗き込む叶君の姿も見て取れる。

ぼくはそれらをちらりと盗み見ると、明から返された微妙に聞き憶えのあるフレーズに首を傾げた。


記憶が定かであれば―――リセマラとは、一部のランダム(ガチャ)入手アイテムの類をアタリが出るまで繰り返す行為を指す言葉だった筈だ。

ゲームならいざ知らず、少なくとも今の状況で出てくるようなフレーズとは思えない。



「・・・ゲームじゃあるまいし、一体何をどうリセットするって言うんです?」


「なあに、すぐに解る。・・・それじゃあ始めるぞ」


「よ、よくわからないけど・・・とりあえず降ろせばいいのね?いいわ。女は度胸、やってやろうじゃないの!」



明の合図にいまいち覚悟の決まりきらない表情のまま、瞑目しむにゃむにゃと何事かを呟き始めるアルトリア。

何が始まるのかと固唾を飲んで見守っていると、やがて彼女の顔から表情が抜け落ちたかと思えば、かくんと頭が落ちた。


両手をだらりと下した姿勢のまま、ゆらゆらと体を前後に揺らすこと数秒。

突如がばりと顔を上げると、アルトリアの顔は理性を感じさせない――獣性に溢れた――形相へと豹変していた!



「キャオラ―――」


「はいそこまで!」



正気になぁーれえー!!

とばかりに勢いよく振り下ろされた特大ハリセンが毛むくじゃらの脳天へ突き刺さる。



「ほぶぅ!!?」


「あ・・・アルトリアさぁーん!?」



スパァァン!と小気味良い音を響かせ頭を落とすアルトリア。

背後に顕現し掛けていた三本角の巨龍(エメラ・ントゥカ)の幻像はたちどころに霧散し、周囲に発散していた獣じみたオーラも同時に消え失せる。


糸が切れたようにぴくりとも動かないアルトリアだったが、数瞬の間をおいてがばりと顔を上げる。

そのままきょろきょろと周囲を見回すと、素っ頓狂な叫びを上げるのだった。



「はっ―――!?私ったら、一体何を・・・」


「残念でした、失敗にめげずじゃんじゃん次いこうか」



そう言い放ちハリセンを振りかぶる明。

眼前に繰り広げられる異様な光景に説明を求め首を巡らせると、ばったりと寅吉の猫面と眼が合った。


にょほほと奇妙な笑い声を上げると、着ぐるみの頭部を傾けた年齢不詳の男は肩をすくめて見せる。



「・・・あるとりあ殿の降霊は何が来るのかわからんでござるからな、突進しかできない地龍(エメラ・ントゥカ)は空の敵に不向き故―――」


「・・・トリケラトプスが来る度叩いて追い出すってコト!?」


「Exactly(その通りでございます)」



ハリセンを構えたまま、唇の端をつり上げ亜麻色の髪の少女が答える。

―――リセマラとはこういう事か。


あまりの事実にぼくが戦慄するなか、事態をようやく理解したアルトリア嬢の表情が盛大にを引きつる。

恐る恐る振り返った先で黒縁眼鏡が怪しく光った。



「じ―――冗談よね?」


「いたって本気だ。さしあたって空中戦に長けた精霊を降ろすまで繰り返すぞ」


「わ・・・私急にお腹が痛くなってきたみたい。それじゃあ―――」



そそくさとフェードアウトしようとするアルトリアの肩をがっしと両手がつかむ。

泣き笑いの表情を浮かべる背後に、ジャージを身に纏った鬼の姿があった。



「時は金なり、敵さんだって何時までも待っちゃくれないんだ。理解したらさっさと次を降ろすんだよ―――ハリーアップ!!」


「ひ・・・ひいいいい!?」


「むごい・・・!」



輝く月の下、乙女(ゴリラ)の絶叫が響き渡る。

ぼくは背後で上がる雄叫びとそれをかき消す殴打音を耳に入れないよう、ひたすら無心にバブルシールドを維持するのであった―――



今週はここまで。

結局2話分しか書き進められんかったー。

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