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お釜大戦  作者: @FRON
第四章 怪奇!月夜の廃屋にリトルグレイの姿を見た!?
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∥004-05 死ぬかと思った/Webや○の目

#前回のあらすじ:トリケラ形意拳ッッッ!!



「―――大丈夫か!?」



勢いよくふっ飛ばされ、そのまま十数mほど転がりしまいには杉の大木へと突っ込んだところへ、慌てた様子の(あきら)が駆け寄ってくる。

もうもうと立ち昇る土煙が晴れたそこには、2m大の青く輝く球体(バブルシールド)が横たわっていた。


予想外の光景に思わず立ちすくむ彼女の前で、球体は唐突にぽんと弾けて割れる。

中から現れたのは地面の上にぐでんと伸びたまま目を回しているマルの姿だった。


おそるおそる覗き込む明の視線を感じたのか、ぱちりと目を開き周囲を見回すマル。

そのまま身体のあちこちをつねったり伸ばしたりして異常が無い事を確認すると、おもむろに素っ頓狂な叫びを上げた。



「し・・・死ぬかと思った~~~!!!」


「―――無事なようで何よりだ。自分がどうなったかわかるか?」


「あ、叶くんのお姉さん、何とかこうして五体満足です―――じゃなくて。・・・えーっと確か、トリケラトプスを背負ったゴリラが物凄い勢いで突っ込んで来たんで、とっさにシールド張ったんだっけ」



顎に指をあてて小首を傾げ、先程の出来事を思い起こす。

あの時、勢いあまって突っ込んで来たアルトリアと正面衝突する寸前、辛うじてバブルシールドを展開していたのだった。


『絶対に割れない』というだけあって、見事攻撃(誤爆)を防ぎ切ったバブルシールドであるが、派手に吹き飛ばされたせいで中身(マル)はすっかり目を回してしまったという訳だ。

このへんは今後の改善課題だね。



「・・・今回はしょうがないとは言え、一応気にしてるんだからゴリラ呼びは止めてやれよ?」


「はーい」


「それで―ーーさっきのがお前の神業(スキル)か」



どこか安心した様子でひとつ息を吐くと、彼女はぼくの傍に浮かぶ水塊をしげしげと眺める。

その背後にはぼく達のやりとりに興味が湧いたのか、微妙な距離からこっそり聞き耳を立てる(かなえ)君の様子が目に入った。


寮での発言を思い出し、ひっそりと彼のシスコン疑惑に確信を深めつつぼくはメルに指示を送る。

こぽりと小さな気泡を上げ、メルの形状が30cm大の球体へと変化した。



「【バブルシールド】っていいます。割れない泡で攻撃を防いだり、逆に中に閉じ込めたりーーーってカンジの使い道ですかね?2つ目の神業(スキル)は・・・まだ練習中ってことで」


「初手から防御とはまた随分思い切ったな。付与した概念は【絶対防御】もしくは【不壊】ってところか」


「あ、はい【不壊】の方で合ってます。・・・やっぱ、最初は攻撃神業(スキル)の方が良かったのかな?」


「人によるさ」



会話の流れで、つい普段は抑えている不安を口にしてしまう。

それに対し、明の返答は実にシンプルなものだった。


これは真っ白な空間でヘレンに聞いた話だが、大半の【神候補】が最初の神業(スキル)として攻撃系のものを選ぶという。

お兄さんは変わってますねー、とけらけら笑っていたヘレンの姿ももはや懐かしい記憶だ。


あの時の選択に後悔は無い。

でもそれはそれとして、やっぱり周囲との違いが気になってしまうのが日本人的メンタルというものだ。


そんなぼくの内心を知ってか知らずか、ゆっくりと明滅するメルのボディを注視したまま彼女が続ける。



「・・・最初に攻撃神業(スキル)を選ぶ奴は確かに多い。だが何がいつ役に立つかなんて、決まった応えなどある筈も無いさ。私のように攻撃手段は別に用意すればいいしーー―実際、こうして今役に立ったろう?」



思わず顔を上げる。

ぼくを見つめる彼女の表情は特大の黒縁眼鏡のせいで読めないが、どこか微笑んでいるように見えた―――


今回はここまで。

年末年始にもう一回くらい投下したいところですね。

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