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お釜大戦  作者: @FRON
第三章 ようこそ揺籃寮へ!
55/319

∥003-05 新キャラは弱気白髪美肌赤目メカクレ系引きこもりシスコン美少年(盛りすぎ)?

#前回のあらすじ:先輩は案外容赦ない



「ダメじゃないか、居留守なんて使っちゃ」


「あぅ・・・ご、ごめん、なさい」



白地の布に数種の草花をあしらったテーブルクロスが掛かった卓を挟み、ぼくたち3名は向かい合っていた。

こちら側にぼくと(フォン)先輩、向かいには白髪の少年――先程この部屋の入口で伸びていた――が肩をすぼめ、実に居心地悪そうに座っている。


小柄な身体――それでもぼくより頭一つ近く高いのだが――をよりいっそう縮こまらせ、先輩とぼくの様子を交互に覗うその仕草は実に小動物的だ。

目元こそ伸び放題の前髪に遮られうかがい知れないが、顎から鼻にかけての輪郭からその素顔は相当の美形と思われた。



「改めて紹介するね―――彼は会取叶(えとりかなえ)、ここの管理人、という事になってるね。・・・ほら、自分でも挨拶して?」


「は、初めまして・・・(かなえ)です。その・・・さっきは思わず隠れちゃってごめんなさい。知らない人だし、どう声をかければいいかわからなくって―――」


「あーうん、そういう時ってあるよね。ドンマイ!・・・あ、ちなみにぼくは丸海人、○×のマルに海の人と書いてマルカイトです。以後お見知りおきを~」


「は、はい。その、よろしくお願いします・・・」



ぼくの自己紹介におっかなびっくりといった様子で頭を下げる(かなえ)少年。

どうやら彼は少々、いやかなり人見知りするたちのようであった。


そんな相手とどうやってコミュニケーションを取ろうかと思案するかたわら、彼が顔を上げた折にちらりとのぞいたものに思わず眼が止まる。

薄紅色の―――えもいわれぬ不思議な色合い。



(フォン)先輩、もしかしてこの子、色が―――?」


「ああうん、彼は先天性の色素欠乏症・・・いわゆるアルビノなんだ。そのせいか幼少の頃には高熱で寝込む事も多かったと聞いているよ」



それはどこか怪しく輝く瞳の(いろどり)であった。

もしや、と確認したところ、先輩から返された予想通りの言葉に、ぼくは改めてちょこんと座っている小柄な少年をじっと見つめる。


病的なほどに白い肌に若白髪、更に緋色の瞳と、大人しい性格とはうらはらに、とかく人目を引く外見だと言えた。

(肌については先程の調子であまり外出していないだけかも知れないが)


アルビノとして生まれついた者には虚弱体質や日光への過敏反応が出る例もあるそうだから、彼の様子もそういった事情が影響している可能性も考えられる。

生来の体質であればこそ、余計に他人には触れて欲しくないデリケートな問題かも知れない。


今後、同じ屋根の下で過ごす上でこの少年とどう付き合って行くか、ひそかに思案しつつぼくは先輩の言葉にゆっくりとうなずいて見せた。



「・・・そうなんだ。話くらいは聞いた事あるけれど・・・実際に目にするのは初めてです。ちなみに顔色が悪そうなのもそれで―――?」


「あ・・・そ、それは、ボクが普段外出しないから・・・。体はもうすっかり良くなったけれど、なんだか癖がついちゃって・・・」


「・・・ただのヒキコモリかーいっ!!(バシッ)」


「ひうっ!・・・ご、ごめんなさい。本当に・・・普段からお姉――姉さんにも外に出て陽に当たれって言われてるのに・・・」


「―――うん。そこはおいおい改善して行けるといいね。・・・あ、そうそう、今話に出てきたお姉さんもここの住人だよ。今は用事で外してるけどね」


「・・・お姉さん、いるんだ?」


「はい。とっても頼りになる―――自慢の姉です」



小さく、しかしはっきりとそう告げて小柄な少年は微笑む。

それまでのおどおどした様子とはうって変わり、その声には確かな意志と憧憬、そして信頼が感じられた。


こんな表情もできるのかと密かに感心する傍ら、シスコンの気配を感じ取ったぼくは(かなえ)少年の人物評へ『お姉ちゃん大好きっ子』の一文を加えるのであった―――



今週はここまで。

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